住民監査請求による監査


2016.8.3


監査公表

 地方自治法第242条第1項の規定に基づく、平成28年6月17日付けの請求について、同条第4項の規定に基づき監査を実施したので、結果を次のとおり公表する。

 平成28年8月3日

第1 請求人

   (略)

第2 監査の請求

1 請求の受理

 平成28年6月17日に提出のあった本件請求については、所定の法定要件を具備しているものと認め、平成28年7月8日にこれを受理した。

2 請求の要旨

 本件請求書の記載事項から、本件請求の要旨を次のように解した。

(1)  平成27年9月1日に契約を締結した秋田市固定資産土地評価業務委託(以下「本件事業」という。)の入札は、次の事象から競争性・公平性・中立性を欠く不適切なものである。
 本件事業は公募型指名競争入札により契約を締結したものであり、その入札参加要件の主たる事項は以下のとおりであるが、入札参加要件全てを満たす業者は1業者しか存在しない。
@ 秋田市内に事務所を持ち、不動産鑑定士が2名以上常駐すること。
A 秋田市内の事務所に常駐する2名以外に、固定資産土地評価の実績がある2名以上の不動産鑑定士がおり、当該業務を担当すること。
B 過去10年以内に政令指定都市又は中核市の自治体と種類及び規模をほぼ同じくする業務の履行実績を有すること。
 入札参加要件を満たす業者が1業者しか存在しない要件で入札を行うことは、入札の目的を阻害するものである。
 本件事業の業務内容として、審査申出や困難事例等への対応が存在することから不動産鑑定業者に限定したものと思料されるが、一般社団法人秋田県不動産鑑定士協会や不動産鑑定士により対応できるものであることから、限定する理由とはならない。
(2)  以上のことから、契約は不適切なものであると言わざるを得ない。本件事業の契約額は、3年間で50,500,000円(税抜き)であり、同内容の業務を委託している山形市や青森市と比較しても、819〜1,132万円高額となっており、秋田市が被っている被害額は大きい。
 よって、本件事業の契約の締結により市が多額の損害を被っているのは明らかであることから、市は本件事業の契約を解除し、競争性・公平性・中立性を整備の上再入札を行うよう求める。

3 請求人の提出証拠(事実証明書)

 別紙参照
 (注)提出証拠(事実証明書)の内容については、記載を省略した。 

4 請求人の証拠の提出および陳述

 地方自治法第242条第6項の規定に基づき、平成28年7月19日に請求人に対して陳述の機会を設けたが、請求人から新たな証拠の提出および陳述はなされなかった。

第3 監査の実施

1 監査対象事項 

 本件請求書の記載事項および請求書に添付された事実証明書を検討し、本件事業について、違法又は不当な契約の締結に当たるか否かを監査の対象とした。

2 監査対象機関

 企画財政部資産税課を監査の対象とした。  

3 監査対象機関の監査

(1)  監査資料の提出
 平成28年7月8日に、企画財政部に対し、本件事業に係る契約事務に関する資料について提出を求め、同月12日に資料の提出を受けた。
(2)  関係職員の調査
 平成28年7月19日に、企画財政部長および企画財政部資産税課長ほか同課職員5名から本件事業について説明を求めた。

4 監査対象機関の説明

(1)  入札参加要件の設定について
 本件事業は、固定資産税の算定に当たり、課税標準額の基礎となる路線価を評定するために、用途地区、標準宅地および路線の見直しなどを図るものであり、高度な客観性、公平性および専門性が求められることから、土地の価格形成要因を熟知している不動産鑑定士が業務に従事する必要がある。
 このことを踏まえ、本件事業に係る入札参加要件については、次の理由により設定したものである。
 秋田市内に本社、支店、営業所等を有しており、かつ当該事務所に不動産鑑定士が2名以上常駐することについて 
 現地調査および事務対応を速やかに進めるため、秋田市内に活動拠点となる本社等を有し、かつ不動産鑑定士が常駐することを要件として設定したものである。
 本件事業は、28か月の間に用途地区や標準宅地の見直しを行いながら約13,000件の路線に路線価を付設する必要がある。路線価の付設に当たっては、価格の均衡を加味しつつ全体のバランスを調整する必要があり、その業務量は膨大である。
 また、不動産鑑定士が1名しか存在しない場合、当該不動産鑑定士に不測の事態が生じた際に、業務が停滞して固定資産台帳への価格の登録や課税事務に遅延が生じる恐れがあり、市民生活に多大な影響を及ぼす可能性がある。
 こうしたことから、不動産鑑定士が複数人常駐することを要件として設定したものである。
 秋田市内の事務所に常駐する2名以外に、固定資産土地評価の実績がある2名以上の不動産鑑定士が社内に在籍し、当該業務を担当することについて
 適正な土地評価のためには、全国的な地価動向、他都市の状況および税制改正等の情報提供ならびに助言を受けることが必要不可欠であることから、要件として設定したものである。
(2)  入札参加要件を満たす業者が1業者しか存在せず、入札の目的を阻害していることについて 
 本市には、他都市において本件事業とほぼ同様の業務を受託している航空測量会社や大手不動産鑑定業者の営業所等が複数存在しており、当該事業者が、市内の営業所等に不動産鑑定士を常駐させることで入札に参加することが可能である。
 公募型指名競争入札として入札参加要件を公表することにより、当該事業者が体制を整備することも十分に考えられる。
 従って、入札参加要件を満たす業者が必ずしも1業者に限定されているとはいえないことから、入札の目的が阻害されているとはいえない。
(3)  審査申出および困難事例等への対応について
 請求人は、審査申出および困難事例等については、秋田県不動産鑑定士協会や標準宅地の鑑定評価を行った不動産鑑定士によって対応できるものであり、特定業者に限定する理由にはならないと主張しているが、秋田県不動産鑑定士協会や標準宅地の鑑定評価を行った不動産鑑定士は、標準宅地の鑑定評価に関して対応することは可能であるものの、評価替えの中核をなす用途地区および状況類似地域の分類や街路への路線価付設等の業務には携わっておらず、路線価付設等に至る一連の経緯などを熟知していないことから、対応は困難である。
(4)  市の損害について
 請求人は、他市の同事業と比較して契約額が高額となっており、市に損害を与えていると主張しているが、そもそも他の地方公共団体とは業務の仕様や市域、人口、土地の筆数および路線価付設数等が異なるため、契約額をもって単純に比較することはできない。
 従って、市に損害が生じているとは認められない。
以上、本件事業に係る入札は適正に行われており、不当な契約ではない。

第4 監査の結果

 本件請求については、請求に理由がないものとして棄却する。
 以下、事実関係および判断を述べる。

1 事実関係

(1)  本件事業の概要
 土地に係る固定資産税(以下「固定資産税」という。)の課税標準は、土地の価格であり、当該価格は適正な時価によるものとされている。
 土地の適正な時価は、市長が当該土地を評価して決定するものであるが、評価は客観的であることおよび全国的に統一される必要があることから、評価の方法や基準については、地方税法の規定により総務大臣が定める固定資産評価基準によらなければならないとされている。
 また、固定資産税は、納税者が所有する土地に対して毎年度課税するものであることから、本来は、課税対象となる土地について毎年度評価することが望ましい。しかしながら、対象となる土地の筆数が膨大であり実務上困難であること、課税事務の簡素化を図り徴税コストを最小に抑えることが望ましいことなどから、3年ごとに評価し価格を見直すものとされている。
 土地のうち市街地的形態を形成している地域の宅地については、市街地宅地評価法により評価する。
 市街地宅地評価法の手順は以下のとおりである。
@用途地区の区分
宅地の利用状況を基準として、商業地区、住宅地区および工業地区等に区分する。
A状況類似地域の区分
用途地区を、街路の状況、公共施設等の接近状況および家屋の疎密度などから判断して、状況が類似している地域ごとに細区分する。
B主要な街路の選定
状況類似地域ごとに、標準的で宅地評価の指標となる街路を主要な街路として選定する。
C標準宅地の選定
主要な街路に沿接する宅地のうちから、奥行、間口および形状等が標準的な宅地を標準宅地として選定する。
D標準宅地の評価
不動産鑑定士が、標準宅地の不動産鑑定評価価格を算出する。
E標準宅地の適正な時価の評定
地価公示価格、都道府県地価調査価格および不動産鑑定士による不動産鑑定評価価格等を活用し、その7割を目途として標準宅地の適正な時価を評定する。
F主要な街路の路線価の付設
主要な街路に沿接する標準宅地の適正な時価に基づき、主要な街路に路線価を付設する。
Gその他の街路の路線価の付設
主要な街路の路線価を基礎として、街路の状況、公共施設等の接近状況および家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便の相違を総合的に考慮して、その他の街路に路線価を付設する。
H各筆の評点数の付設と評価額の算出
各街路に付設された路線価を基に、個々の宅地の状況に応じて、画地計算法を適用して各筆の評点数を付設し、評価額を算出する。
 本件事業は、固定資産税の賦課の基礎となる路線価評定までの一連の評価手段について根拠を明確にし、評価の客観性および合理性を立証するとともに、大量評価における評価の均衡化および適正化を確保することを目的とし、平成30年度に実施する土地の評価替えに当たり、現在設定されている用途地区、状況類似地域、主要な街路、標準宅地および路線価等の見直しを行い、路線価の付設までの一連の業務(上記@からGまでの業務(ただしDの業務を除く。))を委託するものである。
(2)  契約の概要
 契約に関する事務は、すべて企画財政部資産税課で行われた。 
件名 秋田市固定資産土地評価業務委託
契約方法 公募型指名競争入札
応募者 一般財団法人A
請負者 一般財団法人A
契約日 平成27年9月1日
契約金額 54,540,000円(うち取引に係る消費税額および地方消費税の額4,040,000円)
契約期間 平成27年9月1日から平成30年3月31日まで
(3)  支払額
 平成28年4月14日に、出来高に対する委託料の部分払として、13,165,200円が支払われた。
(4)  本件事業の契約締結までの手続きは次のとおりである。
 秋田市企画財政部業務委託等業者選定審議部会
 秋田市事務決裁規程別表第2の2の備考によれば、歳出予算の執行に係る契約の契約方法および業者選定に関し副市長又は部長が専決するときは、それぞれ別に定める業者選定のための審議委員会又は審議部会の合議を経なければならないとされている。
 本件事業は、契約の契約方法および業者選定に関して部長が専決すべきものであったことから、秋田市企画財政部業務委託等業者選定要領の規定に基づき設置された、秋田市企画財政部業務委託等業者選定審議部会(以下「審議部会」という。)において平成27年8月4日に契約方法が審議され、審議部会の合議を経て、同日、契約方法を公募型指名競争入札とすることが決定された。
 また、地方自治法施行令(以下「施行令」という。)第167条の11第2項の規定によれば、普通地方公共団体の長は指名競争入札において施行令第167条の5第1項に規定する入札参加資格をあらかじめ定めなければならないものとされており、秋田市財務規則第117条では、施行令に規定する入札参加資格について市長は別に定めるものとしている。
 このことを受け、企画財政部では、秋田市企画財政部公募型指名競争入札実施要領により基本的な入札参加資格を定めるとともに、本件事業に必要となる入札参加資格をあらかじめ定めるため、平成27年8月4日に審議部会において審議が行われ、本件事業に係る入札参加要件が定められた。
 秋田市ホームページへの掲載
 本件事業で採用した公募型指名競争入札は、一般的な指名競争入札とは異なり、地方自治体が設定した業務の仕様や入札参加資格をあらかじめ公表し、事業者等がそれらを閲覧したうえで、入札参加資格を満たす事業者等が入札に参加する意思を示し、当該参加の意思を示した事業者等について入札参加資格を満たすかどうかを地方自治体が審査し、入札参加資格を満たす事業者等を地方自治体が指名して入札に参加させる手法である。 
 従って、発注者である地方自治体は、発注する業務の仕様や入札参加資格等をあらかじめ適切な方法で公表する必要がある。
 また、指名競争入札において入札参加資格を定めた場合には、施行令第167条の5第2項の規定により公示しなくてはならないものとされていることから、市は「入札のお知らせ」と題して、平成27年8月5日に以下の内容を秋田市ホームページに掲載した。
(ア)入札の対象となる業務
  秋田市固定資産土地評価業務
(イ)業務の概要
  以下の業務を行う
@
A
B
C
D
E
F
G
H
路線の検討および新設街路の設定
価格形成要因の調査
用途地区および状況類似地域区分の検討
主要な街路および標準宅地の検討
土地価格比準表の見直し
路線価の評定
評価に関する他都市の状況や法令の動きなどの情報提供
評価困難事例や審査申立て等の際の助言と、技術面での理論補強などの提供
その他報告書の作成等本件事業に関すること
(ウ)入札参加要件の概要
  主な入札参加要件は以下のとおりである。
@ 秋田市内に本社、支店、営業所等を有しており、かつ当該事務所に不動産鑑定士が2名以上常駐すること。
A 秋田市内の事務所に常駐する2名以外に、固定資産土地評価の実績がある2名以上の不動産鑑定士が社内に在籍し、当該業務を担当すること。
B 過去10年間に政令指定都市又は中核市の自治体と種類および規模をほぼ同じくする業務の履行実績を有すること。
 入札
 本件事業は、平成27年8月5日から同月19日を入札参加申込みの受付期間とし、同月18日に一般財団法人A(以下「法人A」という。)が 公募型指名競争入札参加申込書を提出した。受付期間中に入札参加の申込みをした事業者は法人Aのみであり、市は平成27年8月24日に審議部会を開催し、法人Aが入札参加要件を満たすかどうかにつき審査を行った。
 審査の結果、入札参加資格を満たすことから法人Aを指名するものとし、平成27年8月24日、同法人に入札通知書を発送して、同月27日に入札を行った。
 入札の結果、予定価格の範囲内である50,500,000円(税抜き)で法人Aが落札した。
 契約の締結
 ウの入札結果に基づき、平成27年9月1日に市と法人Aとの間で契約が締結された。

2 判断

 以上の事実関係、関係書類および調査結果を総合的に勘案し、本件事業に係る公募型指名競争入札が、競争性・公平性・中立性を欠く不適切なものであるとの請求者の主張について次のように判断する。

(1)  本件公募型指名競争入札による入札参加資格の合理性について
 本件事業の入札は、上記1(4)に記載のとおり、平成27年8月4日の審議部会の合議を経て契約方法を公募型指名競争入札とすることが決定されたものであり、秋田市財務規則第117条の規定により設定された秋田市企画財政部公募型指名競争入札実施要領に基づき、本件事業に係る入札参加要件が定められたものである。
 地方自治法第234条では、地方公共団体が締結する契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法によるものとされ(第1項)、指名競争入札、随意契約又はせり売りについては、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができるとされ(第2項)、また、競争入札に加わろうとするものに必要な資格等に関して必要な事項は政令でこれを定めるとされている(第6項)。
 このうち、指名競争入札における指名は、当該契約の入札参加資格を有する者の中から、当該指名競争入札に参加させようとする者を選択する行為である。この点、上記地方自治法の規定を受けた施行令は「普通地方公共団体の長は、指名競争入札により契約を締結しようとするときは、当該入札に参加することができる資格を有する者のうちから、当該入札に参加させようとする者を指名しなければならない。」と定める(第167条の12第1項)のみで具体的な指名基準や手続きを定めていない。これは業者の指名については、業者の能力、技術力、経営および信用の状況等の諸事情を考慮して的確に判断する必要があるから、いかなる者を指名競争入札に参加させるかの判断を契約担当者である地方公共団体の長の広範な裁量に委ねる趣旨であると解される。
 しかしながら、地方公共団体の締結する契約については、その経費が住民の税金で賄われるものであることから、契約締結に当たっては、公正性、透明性および適正な競争を通じた経済性を確保することが必要である。そのため、地方公共団体の長において、あらかじめ、指名競争入札に参加できる者の資格要件を定めることが義務付けられ(施行令第167条の11第2項)、これに加えて、各地方公共団体において、指名基準が定められており、恣意的な運用がなされないようにすることが求められている。
 従って、指名競争入札による入札参加資格を定めるに当たっては、恣意的な運用は許されず、本件参加資格を定めるにつき、極めて不合理であり、社会通念上、著しく妥当性を欠くと認められる場合には、裁量権を逸脱又は濫用したものとして違法又は不当となるものと解する。
 そこで、市が定めた指名基準である本件指名競争入札の参加資格について、請求人が違法又は不当であると主張する以下の点について、具体的に検討する。
 秋田市内に本社、支店、営業所等を有しており、かつ当該事務所に不動産鑑定士が2名以上常駐することを要する旨の指名競争入札参加要件について
 もともと、本件事業は、市の歳入の根幹をなす固定資産税の賦課に当たり実施する業務であり、税の基本原則である公平性、中立性および簡素性にのっとり、土地評価の客観性と合理性を立証することを目的としているものであるから、本件事業を遂行するためには、不動産鑑定士という専門性を有した者が従事する必要があり、また、秋田市の不動産について企画財政部資産税課と連携して事業を行っていく必要がある以上、現地調査および事務対応を速やかに進めるため、秋田市内に活動拠点となる本社等を有し、かつ不動産鑑定士が常駐することを要件として設定したことには相応の合理性が認められる。
 その上で、秋田市内の営業所等に2名以上の不動産鑑定士が常駐しなければならないとしている点については、監査対象機関は、不測の事態に備え、より万全を期すため地域事情に精通した不動産鑑定士が複数人必要であるという認識のもと設定した旨説明しているが、これは、業務の確実な履行の確保という観点からは一定の合理性が認められるといえる。
 秋田市内の事務所に常駐する2名以外に、固定資産土地評価の実績がある2名以上の不動産鑑定士が社内に在籍し、当該業務を担当することを要する旨の指名競争入札参加要件について
 監査対象機関によれば、本件事業は28か月の間に用途地区や標準宅地の見直しを行いながら約13,000件の路線価を付設するというものであり、この限られた期間内で現在設定されている路線等の妥当性を判断し、均衡を保ちつつ路線価を付設しなければならない以上、その業務量は相当程度膨大であるものと認められる。従って、受託者が契約を確実に履行してこの業務量を処理していくためには、綿密な計画のもと専門家によって業務を組織的に遂行する必要があり、秋田市内の事務所に常駐する2名以外に更に実績のある2名の不動産鑑定士が在籍し、当該業務を担当することを要したことには一定の合理性が認められるといえる。
 過去10年間に政令指定都市又は中核市の自治体と種類および規模をほぼ同じくする業務の履行実績を有することを要する旨の指名競争入札参加要件について
 この点に関しては、本件事業が上記アおよびイに記載のとおりであり、また、受託者は全国的な地価動向や他都市の状況と照らしながらや膨大な業務量を処理していかなければならないものである以上、少なくとも過去10年間に所定の履行実績を有することを要件としていることには相応の合理性が認められるといえる。     
 まとめ
 以上のとおり、本件事業に係る入札参加資格は、固定資産税の賦課という市民生活に密接に関連した事案について、遅延等が生じないよう契約期間内に業務を確実に履行するため設定されたものであり、当該指名競争入札による参加資格の設定は、社会通念上著しく妥当性を欠くとはいえず、この点に関する請求人の主張は理由がない。
(2)  入札の目的が阻害されているか否かについて
 請求人の主張は、現実に当該指名競争入札の参加資格に該当する事業者は法人A1事業者のみである以上、入札の目的が阻害されているというものである。しかし、上記(1)で検討したとおり、本件指名競争入札の参加資格には不合理な点はなく、入札を実施した結果、現実に当該指名競争入札の参加資格に該当する事業者が1事業者だけであったとしても本件事業に係る入札の目的が阻害されたということにはならない。従って、この点に関する請求人の主張は理由がない。
(3)  市の損害について
 本件事業の契約は、地方自治法等の関係法令に基づき適正に締結されており、入札を実施した結果が市に損害を与えたとは認められない。

 以上、本件事業の契約の締結に関して、違法又は不当であったとする請求人の請求は理由がないものと判断する。

別紙

○ 提出証拠(事実証明書)

1号証 平成27年「秋田市固定資産土地評価業務委託」関係
  ・ 入札のお知らせ
秋田市固定資産土地評価業務仕様書
契約締結伺(平成27年8月28日決裁)
業務委託契約書(平成27年9月1日契約締結)
支出負担行為書兼支出負担行為書(債務負担行為)、支出命令書
2号証 平成24年「秋田市固定資産土地評価業務委託」関係
入札のお知らせ
秋田市固定資産土地評価業務仕様書
契約締結伺(平成24年8月10日決裁)
業務委託契約書(平成24年8月10日契約締結)
3号証 他市の入札関係資料
仙台市入札説明書
酒田市入札公告
4号証 他市の入札・契約状況
山形市
入札結果(平成24年5月22日実施、平成27年5月26日実施)
固定資産(宅地)評価に係る基礎データ調査業務委託仕様書
青森市
平成25年度及び平成26年度青森市契約実績報告書
固定資産(土地)評価更新業務委託契約書(平成25年4月19日契約、平成26年3月26日一部変更契約)、固定資産(土地)評価更新業務仕様書
固定資産税(土地)の路線価格及び路線精査業務委託契約書(平成26年10月9日契約)
5号証 平成27年度固定資産税評価替えに係る標準宅地の鑑定評価委託業務に従事する不動産鑑定士の選任について(平成25年10月11日決裁)
6号証 平成27年度固定資産税評価替えにかかる標準宅地の鑑定評価業務地点毎の担当者リスト及び担当者毎の地点数合計
7号証 不動産の鑑定評価に関する法律(抄)
8号証 不動産鑑定士等登録数(平成27年1月1日現在)(国土交通省ホームページから)
9号証 不動産鑑定業者情報(国土交通省ホームページから)
10号証 不動産鑑定士名簿(平成27年3月19日現在)(秋田県資料)

秋田市トップ監査委員事務局監査の結果PDF版(38KB)


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