○秋田市中高層建築物の建築に係る紛争の予防および調整に関する条例
平成11年9月30日
条例第37号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 建築計画の事前公開(第6条・第7条)
第3章 建築計画の事前説明(第8条―第11条)
第4章 あっせん(第12条・第13条)
第5章 秋田市建築紛争調停委員会(第14条―第17条)
第6章 調停(第18条―第21条)
第7章 雑則(第22条―第27条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、中高層建築物の建築に係る建築計画の事前公開および事前説明、紛争についてのあっせんおよび調停その他紛争の予防および調整に関し必要な事項を定めることにより、良好な近隣関係の形成および保持を図り、もって健全な生活環境の維持および向上に資することを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この条例における用語の意義は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)および建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)の例による。
(2) 紛争 中高層建築物(高さが10メートルを超える建築物に限る。)の建築に伴って生ずる日照の阻害、風害、電波障害、工事中の騒音および振動その他の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する近隣居住者等と当該中高層建築物の建築主との間の紛争をいう。
(3) 近隣居住者等 中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から当該中高層建築物の高さの2倍の水平距離の範囲内にある建築物又は土地の所有者、占有者および管理者をいう。
(4) 工事施工者等 中高層建築物に関する設計、工事および工事監理の請負人をいう。
(適用除外)
第3条 この条例の規定は、次に掲げる場合にあっては、適用しない。
(1) 建築物を増築し、又は改築する場合であって、当該増築又は改築に係る部分の建築物が中高層建築物とならないとき。
(2) 法第85条第1項および第2項に規定する応急仮設建築物を建築する場合
(市長の責務)
第4条 市長は、紛争を未然に防止するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に調整するよう努めなければならない。
(当事者の責務)
第5条 中高層建築物の建築主および工事施工者等は、中高層建築物の建築を計画し、又は建築するに当たっては、周辺の生活環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係の形成および保持に努めなければならない。
2 中高層建築物の建築主、工事施工者等および近隣居住者等は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、誠意をもって自主的に解決するよう努めなければならない。
第2章 建築計画の事前公開
(標識の設置等)
第6条 中高層建築物の建築主は、近隣居住者等に建築計画の周知を図るため、規則で定めるところにより、標識を設置しなければならない。
2 中高層建築物の建築主は、前項の規定により標識を設置したときは、速やかにその旨を規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。
(1) 法第6条第1項の規定による確認の申請書の提出
(2) 法第6条の2第1項の規定による確認の申請
(3) 法第18条第2項の規定による計画の通知
(4) 法および都市計画に関する定めに基づく認定又は許可の申請のうち規則で定めるもの
(標識の記載事項の訂正)
第7条 中高層建築物の建築主は、建築計画を変更したときは、速やかに標識の当該記載事項を訂正しなければならない。
2 中高層建築物の建築主は、前項の規定により標識の記載事項を訂正したときは、速やかにその旨を規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。
第3章 建築計画の事前説明
(建築計画の説明)
第8条 中高層建築物(高さが10メートルを超える建築物に限る。第3項を除き、以下第10条までにおいて同じ。)の建築主は、第6条第2項の届出を行った日から起算して20日を経過した日以降で、かつ、同条第3項各号に掲げる手続をしようとする日のうち最も早い日の20日前までに、近隣居住者等に当該中高層建築物の建築計画について、規則で定める事項を、説明会の方法により、説明しなければならない。ただし、商業地域等で、高さが15メートル以下の中高層建築物を建築する場合にあっては、近隣居住者等から当該中高層建築物の建築計画について説明を求められたとき、又は市長が必要と認めるときは、説明会を開催しなければならないものとする。
2 中高層建築物の建築主は、前項の説明会を開催しようとするときは、開催日の7日前までに、説明会の日時および場所を近隣居住者等に周知させなければならない。
3 高さが10メートル以下の中高層建築物の建築主は、近隣居住者等から当該中高層建築物の建築計画について説明を求められたときは、規則で定める事項を説明しなければならない。
(説明の状況等の報告)
第9条 中高層建築物の建築主は、前条第1項の規定により説明会を開催したときは、遅滞なく、規則で定めるところにより、説明の状況等を記載した報告書を市長に提出しなければならない。
(建築計画の変更等)
第10条 前条の規定による報告書を提出した中高層建築物の建築主は、建築計画について変更したときは、速やかにその旨を規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。
第4章 あっせん
(あっせん)
第12条 市長は、近隣居住者等および中高層建築物の建築主(以下「紛争当事者」という。)の双方から紛争の調整の申出があったときは、あっせんを行う。
2 市長は、前項の規定にかかわらず、紛争当事者の一方から紛争の調整の申出があった場合において、相当の理由があると認めるときは、あっせんを行うことができる。
3 前2項の申出は、当該紛争に係る中高層建築物の建築工事の着手前に行わなければならない。ただし、建築工事中の騒音、振動等の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する紛争については当該工事の完了時までに、テレビジョン放送の電波の受信障害に関する紛争その他市長が必要と認める紛争については当該工事の完了時から1年以内に申出を行うことができる。
4 市長は、あっせんのため必要があると認めるときは、紛争当事者に対し、意見を聴くため出席を求め、および必要な資料の提出を求めることができる。
5 市長は、紛争当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、紛争が解決されるよう努めなければならない。
(あっせんの打切り)
第13条 市長は、あっせんに係る紛争について、あっせんによっては解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。
第5章 秋田市建築紛争調停委員会
(秋田市建築紛争調停委員会)
第14条 市長の付託に応じ調停を行うとともに、市長の諮問に応じ紛争の予防および調整に関する重要事項について調査審議するため、秋田市建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)を置く。
2 調停委員会は、委員10人以内をもって組織する。
3 委員は、法律、建築、環境等の分野に関し学識経験を有する者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
4 委員の任期は2年とし、補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任は妨げない。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
(会長)
第15条 調停委員会に会長1人を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、調停委員会を代表し、会務を総理する。
3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。
(調停小委員会)
第16条 調停委員会に、付託された調停を行うため、調停小委員会(以下「小委員会」という。)を置く。
2 小委員会は、委員3人以上をもって組織し、小委員会の委員は、調停委員会の委員のうちから、事件ごとに、会長が指名する。
3 小委員会に委員長を置き、会長の指名する委員がこれに当たる。
4 委員長は、小委員会の事務を掌理する。
5 委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、委員長があらかじめ指名する小委員会の委員がその職務を代理する。
6 小委員会は、調停のため必要があると認めるときは、紛争当事者に対し、意見を聴くため出席を求め、および必要な資料の提出を求めることができる。
(規則への委任)
第17条 この章に定めるもののほか、調停委員会の運営に関し必要な事項は、市長が規則で定める。
第6章 調停
(調停の申出)
第18条 市長は、第13条の規定によりあっせんを打ち切った場合において、紛争当事者の双方から調停の申出があったときは、調停委員会の調停に付する。
2 市長は、前項の規定にかかわらず、紛争当事者の一方から調停の申出があった場合において、相当の理由があると認めるときは、他の紛争当事者に対して、調停に移行するよう勧告することができる。
(調停案の受諾勧告)
第19条 小委員会は、必要に応じて調停案を作成し、紛争当事者に対し期間を定めて、その受諾を勧告することができる。
(調停の打切り)
第20条 小委員会は、調停に係る紛争について、紛争当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。
2 前条の規定による勧告が行われた場合において、定められた期間内に紛争当事者の双方から受諾する旨の申出がないときは、当該紛争当事者間の調停は、打ち切られたものとみなす。
(調停終了の報告)
第21条 小委員会は、調停が終了したときは、その経過および結果を調停委員会の会長に報告するものとする。
2 調停委員会の会長は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに調停の経過および結果を市長に報告するものとする。
第7章 雑則
(あっせん又は調停の出席者)
第22条 紛争当事者以外の者は、市長が行うあっせん又は小委員会が行う調停に出席することができない。ただし、市長が相当と認める紛争当事者の代理人については、この限りでない。
2 市長は、あっせん又は調停の手続のため必要があると認めるときは、紛争当事者の中からあっせん又は調停の手続における当事者となる1人又は数人の代表者を選定するよう求めることができる。
3 紛争当事者は、前項の規定による代表者を選定したときは、代表者の氏名および住所を規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。
(あっせん等の非公開)
第23条 あっせん、調停ならびに調停委員会および小委員会の会議は、公開しない。
(工事着手の延期等の要請)
第24条 市長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、建築主に対して、期間を定めて工事の着手の延期又は工事の停止を要請することができる。
(措置命令)
第25条 市長は、第6条第1項の規定による標識を設置しない者に対して、相当の期限を定めて、標識を設置することを命ずることができる。
2 市長は、第9条の規定による報告書を提出しない者に対して、相当の期限を定めて、報告書を提出することを命ずることができる。
(委任)
第27条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成12年1月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)から平成12年1月28日までの間に法第6条第1項の規定による確認の申請書の提出又は法第18条第2項の規定による計画の通知をしようとする場合において、施行日前に設置された標識、開催された説明会および提出された書類があるときは、この条例の相当規定により設置された標識、開催された説明会および提出された書類とみなし、この条例の規定を適用する。この場合において、第8条第1項中「第6条第2項の届出を行った日から起算して20日を経過した日以降で、かつ、同条第3項各号に掲げる手続をしようとする日のうち最も早い日の20日前までに」とあるのは「第6条第3項各号に掲げる手続をしようとする日の15日前までに」と、第9条中「遅滞なく」とあるのは「第6条第3項各号に掲げる手続をしようとする日の15日前までに」とする。
(平16条例63・追加)
(平16条例63・追加)
附則(平成16年11月15日条例第63号)
この条例は、平成17年1月11日から施行する。
別表(第2条関係)
| 地域又は区域 | 建築物 |
1 | 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域 | (1) 軒の高さが7メートルを超える建築物 (2) 地階を除く階数が3以上の建築物 |
2 | 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域 | 地階を除く階数が3以上の建築物 |
3 | 商業地域、工業地域もしくは工業専用地域又は用途地域の指定のない区域 | 高さが10メートルを超える建築物 |