○秋田市火災調査規程

平成20年7月18日

消防本部訓令第2号

秋田市火災調査規程(平成8年秋田市消防本部訓令第3号)の全部を改正する。

目次

第1章 総則

第1節 通則(第1条―第7条)

第2節 調査体制(第8条―第15条)

第3節 調査員の心得(第16条・第17条)

第2章 原因調査

第1節 通則(第18条―第20条)

第2節 火災時の調査(第21条・第22条)

第3節 現場保存(第23条―第25条)

第4節 鎮火後の調査(第26条―第29条)

第5節 質問(第30条―第32条)

第6節 調査資料(第33条―第36条)

第7節 立証のための調査(第37条―第39条)

第8節 少年等に対する取扱い(第40条―第43条)

第9節 原因の判定(第44条・第45条)

第3章 損害調査(第46条―第54条)

第4章 調査事務

第1節 調査書類の作成(第55条―第57条)

第2節 概況即報等(第58条・第59条)

第5章 り災の証明(第60条)

第6章 雑則(第61条―第65条)

附則

第1章 総則

第1節 通則

(趣旨)

第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 調査は、火災の原因および火災により受けた損害を明らかにして、火災予防施策ないし措置の成果を検討し、その充実を図り、もって火災予防の徹底に資することを目的とする。

(用語の意義)

第3条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 火災 人の意図に反して発生し、もしくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、もしくは拡大した爆発現象をいう。

(2) 爆発現象 化学的変化による爆発の1つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスおよび熱を発生し、爆鳴、火炎および破壊作用を伴う現象をいう。

(3) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根および柱もしくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下もしくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいう。

(4) 収容物 原則として柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物をいう。

(5) 森林 木竹が集団して生育している土地およびその土地の上にある立木竹ならびにこれらの土地以外で木竹の集団的な生育に供される土地をいい、主として農地又は住宅地もしくはこれに準ずる土地として使用される土地およびこれらの上にある立木竹を除く。

(6) 原野 雑草、かん木類が自然に生育している土地で人が利用しないものをいう。

(7) 牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料もしくは敷料の採取の目的に供される土地をいい、耕地の目的に供される土地を除く。

(8) 車両 自動車、汽車、電車および原動機付自転車をいう。

(9) 被けん引車 車両によってけん引される目的として製作された車および車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。

(10) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船および端舟ならびに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。

(11) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に規定する航空機をいう。

(12) 調査員 調査業務に従事する消防職員をいう。

(13) 本部調査員 調査員のうち消防本部予防課員をいう。

(14) 関係者等 法第2条第4項に規定する関係者(以下「関係者」という。)、火災の発見者、通報者その他調査について参考となる情報を提供できる者をいう。

(15) 鑑定 火災にかかわる物件の形状、構造、材質、成分および性質ならびにこれらに関連する現象について、科学技術的手法により必要な試験および実験を行い、その結果を基に火災原因の判定のための資料を得ることをいう。

(令5消本訓令1・一部改正)

(調査の区分)

第4条 調査は、火災原因調査(以下「原因調査」という。)および火災損害調査(以下「損害調査」という。)に区分する。

2 原因調査は、出火原因、延焼経過、避難状況および消防用設備等又は特殊消防用設備等の活用状況を明らかにするために行うものとする。

3 損害調査は、火災および消火のために受けた人的および物的損害を明らかにするために行うものとする。

(火災の件数)

第5条 1件の火災とは、原則として1つの出火点から拡大した火災であって、出火してから鎮火するまでのものをいう。

(損害の種別)

第6条 損害の種別は、次に掲げるとおりとする。

(1) 焼き損害 火災の火炎又は熱による焼損、破損、変質等の損害および煙による汚損等の損害をいう。

(2) 消火損害 消火活動により受けた水損、破損、汚損等の損害をいう。

(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた損害であって、前2号に掲げる損害以外の損害をいう。

(4) 人的損害 火災による死者および負傷者をいう。

(火災の種別)

第7条 火災の種別は、次に掲げるとおりとする。

(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。

(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。

(3) 車両火災 車両もしくは被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。

(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。

(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。

(6) その他の火災 前各号に掲げる火災以外の火災をいう。

2 1件の火災について、前項各号に掲げる火災の種別が2以上複合する場合は、焼き損害額が最も大きいものの種別を当該火災の種別とする。ただし、その態様により焼き損害額が最も大きいものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。

第2節 調査体制

(調査の責任)

第8条 消防署長(以下「署長」という。)は、管轄区域内において発生した火災の調査責任を有する。

2 車両火災および船舶火災の調査は、主として火災防ぎょをした場所を管轄する署長が行うものとする。

3 航空機火災の調査は、航空機が墜落し、又は着陸した場所を管轄する署長が行うものとする。

(調査体制の確立等)

第9条 消防長又は署長(以下「消防長等」という。)は、調査に必要な人員および資機材を整備し、調査体制を確立するとともに、調査員の調査能力の向上に努めなければならない。

(調査の開始)

第10条 署長は、管轄区域内の火災を覚知したときは、直ちに調査を開始しなければならない。

(調査員の指名)

第11条 消防長は、署長が行う調査の指導および協力のため本部調査員を指名しておかなければならない。

2 署長は、管轄区域内の調査を行うため、所属職員の中から調査員を指名しておかなければならない。

3 消防長等は、必要があると認めるときは、調査員以外の消防職員を調査に従事させることができるものとする。

(本部調査員の派遣)

第12条 署長は、調査上特に必要があると認めるときは、消防長に対し本部調査員の派遣を要請することができるものとする。

2 消防長は、前項の規定により要請があったとき、又は必要があると認めるときは、本部調査員を派遣して調査に従事させるものとする。

(調査指揮者)

第13条 署長は、調査を行うときは、調査指揮者を指名して調査全般の指揮および安全管理に関する業務を行わせなければならない。

(調査本部の設置)

第14条 消防長は、大規模火災又は社会的影響の大きい火災の発生に際し、効率的な調査を行うため必要があると認めるときは、調査本部を設置するものとする。

2 調査本部に調査本部長を置き、その他調査本部の組織、編成等について必要な事項は、その都度消防長が定める。

(調査本部の解散)

第15条 消防長は、調査が完了したときは、調査本部を解散する。ただし、調査の状況によっては、調査完了前であっても調査本部を解散することができる。

2 前項ただし書の規定により調査本部を解散したときは、火災現場を管轄する署長は、調査本部長から調査方針等の指示および関係資料の引継ぎを受け、引き続き調査を行わなければならない。

第3節 調査員の心得

(調査員の心得)

第16条 調査員は、調査上必要な知識の修得および調査技術の向上に努めるとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。

(2) 調査に際し、個人の自由および権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らさないこと。

(3) 調査のため法第2条第5項に規定する関係のある場所に立ち入るときは、秋田市消防立入検査証規則(平成16年秋田市規則第23号)第2条に定める立入検査証を携帯し、関係のある者の請求があるときは、これを提示すること。

(4) 警察機関その他の関係機関と密接な連絡を保ち、相互に協力して調査を進めること。

(5) 関係者等の民事的紛争に関与しないこと。

(6) 調査の結果その他参考となるべき事項を記録しておくこと。

(調査の立会い)

第17条 法第34条第1項の規定による立入検査は、関係者の立会いを求めて行わなければならない。ただし、関係者の所在が不明な場合等、関係者が立ち会えないときは、この限りでない。

第2章 原因調査

第1節 通則

(原因調査の原則)

第18条 原因調査に当たっては、常に事実の究明を主眼とし、先入観念にとらわれることなく、科学的な方法および合理的な判断により事実の立証に努めなければならない。

(原因調査の方針)

第19条 原因調査は、物的調査および人的調査を相関的に行わなければならない。ただし、原因の判定に当たっては、物的調査に主眼を置かなければならない。

(令5消本訓令1・一部改正)

(原因調査資料の収集)

第20条 調査員は、火災又は火災現場の状況を観察し、現場付近のすべてのものについて原因調査上必要な情報および資料を収集しなければならない。

第2節 火災時の調査

(火災出動時の調査)

第21条 火災現場に出動した消防職員(以下「出動職員」という。)は、出動途上および火災現場において、消火活動等を行うとともに火災の状況、関係者等の言動について見分するよう努めなければならない。

2 署長は、原因調査のため必要と認めるときは、出動職員に出火出動時における見分調査書の作成を指示するものとする。

(令5消本訓令1・一部改正)

(火災現場における情報収集)

第22条 出動職員は、火災現場その他関係のある場所において、関係者等から出火前後の状況等について積極的に情報を収集するよう努めなければならない。

2 出動職員は、前項の規定による情報収集を行ったときは、その内容を質問調査書に記載しておかなければならない。

(令5消本訓令1・一部改正)

第3節 現場保存

(消火活動中の現場保存)

第23条 消火活動中の消防隊員は、出火点と推定される場所およびその付近(以下「出火場所付近」という。)の迅速な消火を心掛け、出火前の状態が推測できるよう火災現場の保存に努めなければならない。

2 火災を防ぎょするため、やむを得ず出火場所付近の物件を移動し、又は破壊しようとするときは、原状が分かるよう必要な措置を採らなければならない。

(焼死者等の取扱い)

第24条 署長は、火災現場において焼死者その他変死者を発見したときは、速やかに消防長に報告するとともに所轄警察署長に通報し、必要な措置を採らなければならない。

(鎮火後の現場保存)

第25条 署長は、消火活動が終了したときは、所要の措置を講じた上で火災現場を保存しなければならない。ただし、調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。

第4節 鎮火後の調査

(実況見分の原則)

第26条 調査員は、火災現場その他関係のある場所および物件について綿密に実況見分を行い、原因調査資料の発見および入手に努めなければならない。

(写真の撮影等)

第27条 調査員は、調査内容を明らかにするため、り災物件および周囲の状況について写真の撮影および図面の作成を行わなければならない。

(火災前の状況把握)

第28条 調査員は、実況見分を行うに当たっては、関係者を立ち会わせて説明を求め、火災前の状況を明らかにして行わなければならない。

(違反処理)

第29条 調査員は、調査において消防関係法令等に違反し、又はその疑いがある事実を認めたときは、速やかに消防長等に報告しなければならない。

2 消防長等は、前項の規定による報告を受けたときは、その事実を調査し、消防関係法令等に違反していると認めるときは、秋田市査察規程(平成16年秋田市消防本部訓令第4号)に定めるところにより違反処理を行うものとする。

第5節 質問

(質問の委任)

第30条 消防長等は、法第32条第1項の規定に基づき行う質問を調査員に行わせるものとする。

(関係者等への質問)

第31条 調査員は、出火原因の判定および損害状況の把握のため必要がある場合は、関係者等に対して質問し、その事実の確認に努めなければならない。

2 調査員は、前項の規定による質問を行ったときは、質問調査書を作成するものとする。

(令5消本訓令1・一部改正)

(質問の原則)

第32条 調査員は、関係者等から任意に真実の申述を得られるよう、場所および時間を考慮して質問を行わなければならない。

2 調査員は、質問を行うときは、自己が期待する内容を相手に暗示する等の方法により申述を誘導してはならない。

第6節 調査資料

(資料の提出等)

第33条 消防長等は、調査のため必要があると認めるときは、関係者ならびに製品の製造者および輸入者(以下「製造者等」という。)に対し、任意の資料の提出を求めるものとする。

2 消防長等は、前項の規定による資料の確保が困難と認めるときは、法第32条第1項の規定に基づき製品の製造者および輸入者に対し、又は法第34条第1項の規定に基づき関係者に対し、資料提出命令書により資料の提出の命令又は報告徴収書により報告の徴収を行うものとする。

3 消防長等は、第1項又は前項の規定により製造者等が資料を提出するときは、当該資料の所有権を明確にするため、当該資料を提出する者に資料提出書を提出させるものとする。

(平25消本訓令1・令5消本訓令1・一部改正)

(資料の保管)

第34条 消防長等は、前条の規定により資料の提出があったときは、当該資料を提出した者に対し、資料受領書を交付しなければならない。

2 消防長等は、前条の規定により提出された資料(以下「提出資料」という。)を保管品台帳に記載し、保管票を付して保管しておかなければならない。

(資料の返却)

第35条 消防長等は、提出資料を返却するときは、資料受領書と引換えに行うものとする。

(官公署への照会)

第36条 消防長等は、調査について必要があるときは、法第32条第2項の規定に基づき、関係のある官公署に対し、火災調査関係事項照会書により必要な事項の通報を求めるものとする。

第7節 立証のための調査

(立証のための調査)

第37条 調査員は、調査現場において焼損物件等の分解や見分が困難な場合には、改めて出火原因等の究明に関する詳細な見分および実験を行うものとする。

(鑑定の嘱託)

第38条 消防長等は、収集した資料又は特定事象について、原因調査のため必要があると認めるときは、鑑定嘱託書により官公署又は学識経験者に鑑定を嘱託することができる。

(鑑定の承諾)

第39条 消防長等は、前条の規定により提出資料の鑑定を嘱託するときは、鑑定承諾書により当該資料を提出した者から事前に承諾を得ておかなければならない。ただし、当該資料の所有者がその所有権を放棄した資料については、この限りでない。

第8節 少年等に対する取扱い

(少年に関する特例)

第40条 調査員は、少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)の関係する火災の調査を行うときは、少年の将来を考慮して調査に当たらなければならない。

2 調査員は、実況見分に少年を立ち会わせてはならない。

3 調査員は、少年に対する質問を行う場合には、立会人を置かなければならない。

(特例の除外)

第41条 前条第2項および第3項の規定は、年齢、心情その他諸般の事情を考慮して支障がないと認めるとき、又は立会人を置くことにより真実の申述が得られないと判断されるときは、適用しないことができる。

(氏名告知の禁止)

第42条 未成年者の関係する火災の情報を新聞その他の報道機関から求められたときは、その者の氏名を告げ、又はその者を推知させるような方法を用いてはならない。

(準用)

第43条 心神喪失又は心神耗弱の状態にある者、聴覚障害者等の関係する火災の調査については、この節の規定を準用する。

第9節 原因の判定

(令5消本訓令1・改称)

(原因調査結果の検討)

第44条 原因調査を行った調査員は、実況見分、質問、資料等により知り得た事実を総合的に検討し、科学的な考察を加えて火災の原因を判定しなければならない。

(令5消本訓令1・一部改正)

(原因判定の区分)

第45条 出火原因の判定の区分は、次に掲げるとおりとする。

(1) 判定 実況見分調査書等の調査書類および収集した資料(以下「調査書類等」という。)のみでは具体的かつ科学的にその出火原因を決定することができないが、多少の推理を加えることにより疑う余地を残さないものをいう。

(2) 推定 調査書類等によってはその出火原因を直接決定することはできないが、調査書類等を基礎として専門的立場から多少の推理を加えることにより合理的にその出火原因を推定できるものをいう。

(3) 不明 出火原因を決定するに足りる内容の調査書類等が極めて少なく、これに推理を加えてもその出火原因を合理的に推定できないものをいう。

(令5消本訓令1・一部改正)

第3章 損害調査

(り災申告書)

第46条 署長は、損害調査の資料として、り災物件の関係者に対し、り災申告書の提出を求めるものとする。

(焼損棟数)

第47条 焼損棟数は、焼き損害を受けた建物の棟数を算定するものとする。

(建物の焼損程度)

第48条 建物の焼損の程度は、次に掲げるとおりとする。

(1) 全焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又は70パーセント未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。

(2) 半焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のものであって、全焼に該当しないものをいう。

(3) 部分焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のもののうちぼやに該当しないものをいう。

(4) ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満のもののうち焼損床面積もしくは焼損表面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみ焼損したものをいう。

(建物の構造区分)

第49条 建物の構造区分は、次に掲げるとおりとする。

(1) 木造建物 柱およびはりが主として木造のものをいい、次号の防火構造建物を除く。

(2) 防火構造建物 外壁および軒裏が建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第8号に定める構造のものをいう。

(3) 耐火建物 建築基準法第2条第9号の2に定める構造のものをいう。

(4) 準耐火建物(木造) 建築基準法第2条第9号の3に定める構造のもののうち柱およびはりが主として木造のものをいい、同号ロに定める構造のもののうち柱およびはりの一部が木造のものを除く。

(5) 準耐火建物(非木造) 建築基準法第2条第9号の3に定める構造のもののうち準耐火建物(木造)以外のものをいう。

(6) その他の建物 前各号に該当しない構造のものをいう。

(世帯数の算定)

第50条 世帯数の算定は、一般世帯および施設等の世帯に区分して算定するものとする。

(世帯のり災程度)

第51条 世帯のり災程度の区分は、次に掲げるとおりとする。

(1) 全損 建物(その収容物を含む。以下この条において同じ。)の火災損害額(以下「損害額」という。)がり災前の建物の評価額の70パーセント以上のものをいう。

(2) 半損 建物の損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント以上であって、全損に該当しないものをいう。

(3) 小損 建物の損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント未満のものをいう。

(損害額の算定)

第52条 損害額は、次に掲げる方法により算定するものとする。

(1) 建物は、規模、構造その他の状況に応じて、り災時における再建築費単価を算出し、建物の耐用年数、経過年数および損耗の程度を考慮して、減価償却の方法による。

(2) 車両、船舶、航空機、構築物、器具、備品、機械および装置は、取得価格を基準として耐用年数および経過年数に応じた減価償却の方法による。

(3) 家具、じゅう器、工具等は、取得価格、使用年数および使用状況を考慮して減価償却の方法による。

(4) 商品は、り災時の販売価格による。

(5) 衣類、布団等は、り災した物と同程度の古物の価格による。

(6) 製品および半製品は、原料又は材料の価格に工賃を加算した原価による。

(7) 書画、骨とう、美術工芸品、貴金属および宝石類は、社会通念上評価されている価格による。

(8) 原料および材料は、購入したものは仕入価格、自家製造のものは原価による。

(9) 前各号以外の物件は、り災時の価格による。

(火災による死傷者)

第53条 火災による死者および負傷者とは、火災現場において火災に直接起因して死亡した者(病死者を除く。以下同じ。)又は負傷した者をいうものとする。ただし、消防吏員、消防団員および消防活動に関係のある者については、火災を覚知したときから火災現場を引き揚げるときまでの間に死亡した者又は負傷した者をいうものとする。

2 火災による負傷者が、その負傷が直接の原因で48時間以内に死亡したときは、火災による死者として取り扱うものとする。

(負傷の程度)

第54条 火災による負傷の程度は、次に掲げるとおりとする。

(1) 重症 傷病の程度が3週間の入院加療を必要とするもの以上のものをいう。

(2) 中等症 傷病の程度が重症又は軽症以外のものをいう。

(3) 軽症 傷病の程度が入院加療を必要としないものをいう。

第4章 調査事務

第1節 調査書類の作成

(調査書類の作成基準)

第55条 調査書類の作成基準は、次の区分によるものとする。

(1) 1号処理 次のいずれかに該当する火災

 焼損床面積が50平方メートル以上の建物火災

 死者(放火自殺者を除く。)の発生した火災

 出火原因が特定できない火災(林野火災およびその他の火災を除く。)

 その他署長が必要と認めた火災

(2) 2号処理 1号処理に該当しない火災のうち、損害額が計上される火災

(3) 3号処理 1号処理に該当しない火災のうち、損害額が計上されない火災

(調査書類の作成)

第56条 署長は、前条の作成基準に基づき調査書類を作成するものとし、処理に当たっては別に定めるものとする。

(調査書類の併合)

第57条 署長は、2以上の火災が相互に関連するため一括して処理することが適当と認めるときは、調査書類を併せて作成することができるものとする。

第2節 概況即報等

(概況即報)

第58条 署長は、調査を開始したときから進行状況に応じて、随時その概況を火災調査概況(即報)により消防長に即報しなければならない。

(調査事項の入力)

第59条 署長は、調査の過程において判明した事項について、速やかに消防情報ネットワークシステムに入力するものとする。

2 署長は、前項の規定による入力をした場合において、入力した内容と異なる事実が判明したときは、速やかに訂正しなければならない。

第5章 り災の証明

(り災証明)

第60条 署長は、火災の損害を受けた者からり災証明申請書によりり災の証明について申請されたときは、調査書類等と照合し、り災証明書を交付することができるものとする。

(令5消本訓令1・一部改正)

第6章 雑則

(調査書類の保存)

第61条 署長は、この訓令により作成した書類その他関係書類を、秋田市文書取扱規程(平成26年秋田市訓令第2号)に基づき保存しておかなければならない。

(平27消本訓令3・一部改正)

(調査結果の活用)

第62条 消防長等は、調査結果を検討して火災の実態を明らかにするとともに、消防行政に活用できる資料の整備に努めなければならない。

(照会等の対応)

第63条 署長は、官公署等から調査事項について照会を受けたときは、その内容、目的および理由を審査し、必要な事項について回答することができるものとする。

2 署長は、前項の規定により回答した結果を消防長に報告しなければならない。

3 署長は、秋田市情報公開条例(平成9年秋田市条例第39号)又は個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、調査書類についての開示請求がなされたときは、消防長と協議して対応するものとする。

(令5消本訓令1・一部改正)

(職員の出頭等)

第64条 消防本部予防課長又は署長(以下「予防課長等」という。)は、捜査機関又は裁判所から調査に関して所属職員の出頭等を求められたときは、その事実および内容について消防長に報告しなければならない。ただし、犯罪の捜査等で緊急の場合は、事後に報告することができるものとする。

2 予防課長等は、前項の規定による出頭等の求めに応じたときは、その結果を消防長に報告しなければならない。

(委任)

第65条 この訓令に定めるもののほか必要な事項は、別に定める。

この訓令は、平成20年9月1日から施行する。

(平成25年3月13日消防本部訓令第1号)

この訓令は、平成25年4月1日から施行する。

(平成27年11月17日消防本部訓令第3号)

この訓令は、平成27年11月17日から施行し、平成26年4月1日から適用する。

(令和5年3月7日消防本部訓令第1号)

(施行期日)

1 この訓令は、令和5年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 改正後の秋田市火災調査規程第60条の規定は、この訓令の施行の日以後に発生した火災に係るり災証明の申請について適用し、同日前に発生した火災に係るり災証明の申請については、なお従前の例による。

秋田市火災調査規程

平成20年7月18日 消防本部訓令第2号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第14編 防/第2章
沿革情報
平成20年7月18日 消防本部訓令第2号
平成25年3月13日 消防本部訓令第1号
平成27年11月17日 消防本部訓令第3号
令和5年3月7日 消防本部訓令第1号