○秋田市災害対策基本条例

平成24年3月26日

条例第3号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 自助(第5条・第6条)

第3章 共助(第7条―第9条)

第4章 公助

第1節 基本方針(第10条―第12条)

第2節 協働による災害対策の推進(第13条―第17条)

第3節 災害に強いまちづくりの推進(第18条―第25条)

第5章 雑則(第26条)

附則

平成23年3月に発生した東日本大震災は、多くの生命と財産を一瞬にして奪い、人々の暮らし、地域社会や都市機能に甚大な被害をもたらしました。この未曽有の大災害は、私たちに、自然の持つ力の大きさ、恐ろしさをまざまざと知らしめました。

人は、自然災害の発生を完全に抑えることはできません。だからこそ、私たちは、災害による被害を最小限に食い止めるため、力を尽くさなければなりません。

災害から市民の生命と暮らしを守るためには、市が安全なまちづくりを目指した施策を講じ、地域ぐるみの防災に関する施策を推進するとともに、市に関わる全ての者の責務と役割を明らかにし、相互に連携し、協力しあっていくことが必要不可欠です。

ここに、市と市民との適切な役割分担の下、自助・共助・公助がバランス良く融合された、市民が安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市民、事業者、市その他市に関わるものの災害対策における責務および役割を明らかにするとともに、災害の予防、災害が発生した際の応急対策および災害の復旧に関する基本的な事項を定めることにより、災害対策の確立を図り、もって市民の生命、身体および財産を災害から保護することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 災害 災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「法」という。)第2条第1号に規定する災害をいう。

(2) 防災 法第2条第2号に規定する防災をいう。

(3) 災害時要援護者 高齢者、障がい者その他の災害時に必要な情報を迅速かつ的確に把握し、災害から自らを守るために安全な場所に避難する等の災害時の一連の行動をとることに関し支援を要する者をいう。

(4) 自主防災組織 法第5条第2項に規定する自主防災組織をいう。

(基本理念)

第3条 災害対策への取組は、次に掲げる理念を基本として、市民、事業者および市それぞれが連携を図りながら行われなければならない。

(1) 市民および事業者(以下「市民等」という。)が、自己の責任により自らを災害から守るという自助の理念

(2) 市民等が、地域において相互に助け合い、互いを災害から守るという共助の理念

(3) 市が、市民等を守るための施策を推進するという公助の理念

(地域防災計画への反映)

第4条 秋田市防災会議(法第16条第1項の規定により設置した防災会議をいう。)は、秋田市地域防災計画を作成するに当たっては、前条に規定する基本理念を反映させなければならない。

第2章 自助

(市民の自助)

第5条 市民は、次に掲げる事項について、自ら災害に備えるよう努めなければならない。

(1) 自らが居住し、又は使用する建築物その他の工作物の安全の確保を図ること。

(2) 家具の転倒および物品の落下の防止のための措置を講ずること。

(3) 出火の防止のための措置を講ずること。

(4) 災害時の初期対応に必要な用具の準備を行うこと。

(5) 災害時に必要な飲料水、食料等の災害時に自らが必要とする物資の備蓄又は確保を図ること。

(6) 避難場所および避難方法を確認すること。

(7) 災害時の連絡先および連絡方法を確認すること。

(8) 防災に関する情報を取得すること。

(9) 前各号に掲げるもののほか、日常の災害対策に関し必要な事項

(事業者の自助)

第6条 事業者は、従業員および顧客(以下「従業員等」という。)の安全の確保のため、次に掲げる事項について、災害に備えるよう努めなければならない。

(1) 事業活動で使用する建築物その他の工作物の安全の確保を図ること。

(2) 事業活動で使用する物品等の転倒、落下等の防止のための措置を講ずること。

(3) 出火の防止のための措置を講ずること。

(4) 災害時の初期対応に必要な用具の準備を行うこと。

(5) 災害時に必要な飲料水、食料等の災害時に従業員等が必要とする物資の備蓄又は確保を図ること。

(6) 避難経路、避難場所および避難方法についての確認および従業員等への周知を行うこと。

(7) 災害対策に関する知識および技術の従業員等への周知を行い、防災訓練を実施すること。

(8) 災害時における情報の取得および伝達の手段の確認および確保ならびに従業員等への周知を行うこと。

(9) 前各号に掲げるもののほか、日常の災害対策に関し必要な事項

2 事業者は、災害時に事業を中断しないよう、又は中断した場合においてはできるだけ早期に事業を再開できるよう、体制の整備に努めなければならない。

第3章 共助

(市民の共助)

第7条 市民は、市が実施する災害対策に関する事業(以下「災害対策事業」という。)に協力しなければならない。

2 市民は、互いの生命、身体および財産を災害から守るため、自主防災組織を結成するよう努めなければならない。

3 市民は、自主防災組織の活動に積極的に参加するよう努めなければならない。

(自主防災組織の責務)

第8条 自主防災組織は、地域住民、消防団、事業者等と協力し、地域における防災活動を実施するとともに、地域住民の安全確保に努めなければならない。

2 自主防災組織は、市が実施する災害対策事業に協力しなければならない。

(事業者の共助)

第9条 事業者は、市が実施する災害対策事業に協力しなければならない。

2 事業者は、自主防災組織が行う災害対策のための活動に協力するよう努めなければならない。

第4章 公助

第1節 基本方針

(市の責務)

第10条 市は、法第5条の規定に基づき、災害の予防、災害が発生した際の応急対策および災害の復旧に関する必要な対策を推進することにより、市民の生命、身体および財産を災害から守るとともに、安全を確保しなければならない。

(市の職員の責務)

第11条 市の職員は、市民の安全な生活を確保するため、防災に関する知識および技術を習得するとともに、地域における安全なまちづくりのための活動に積極的に参加しなければならない。

(基本方針)

第12条 市は、次に掲げる事項を基本として、災害対策を推進するものとする。

(1) 市民等との協働により、災害対策を推進すること。

(2) 災害時の備えを中心とした災害に強いまちづくりを推進すること。

第2節 協働による災害対策の推進

(自主防災組織の育成および支援)

第13条 市は、自主防災組織の育成のため、必要な助成および研修の実施ならびに自主的な防災に係る意識の啓発に努めなければならない。

2 市は、自主防災組織の活動の促進を図るため、自主防災組織の行う災害対策のための活動において指導的役割を担う人材の育成その他必要な支援に努めなければならない。

(災害時要援護者への支援)

第14条 市は、災害時要援護者への情報の提供および避難の支援が円滑に行われるよう体制の整備に努めなければならない。

2 市は、前項に規定する体制の整備を行うため、災害時要援護者に係る個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第1項に規定する個人情報(以下「個人情報」という。)のうち規則で定めるものについて、自主防災組織、民生委員法(昭和23年法律第198号)に規定する民生委員および地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に規定する地縁による団体に対し提供し、必要な個人情報を共有させることができる。

3 前項に規定する個人情報の提供を受けたものは、当該情報を適正に管理しなければならない。

(令4条例32・一部改正)

(知識の普及等)

第15条 市は、防災に関する知識の普及を積極的に推進するとともに、防災教育の充実を図り、市民の防災知識の向上および防災意識の高揚に努めなければならない。

2 市は、関係機関と連携を図り、防災訓練を積極的に実施するよう努めなければならない。

(情報の提供)

第16条 市は、危険箇所、避難場所、避難所その他災害対策に係る施設等を表示した地図を作成し、災害対策に関する情報を市民に提供しなければならない。

2 市は、災害時における地震情報、気象情報等を早急かつ正確に把握し、市民が、市民サービスセンターその他の市の施設において情報を入手できる体制を整備しなければならない。

(ボランティア活動への支援等)

第17条 市は、災害が発生した場合におけるボランティアによる被災者への支援活動の円滑な実施を確保するため、平常時から幅広い組織づくりを推進するとともに、活動拠点および物資の提供その他必要な支援ならびに連絡調整を行う体制の確立に努めなければならない。

第3節 災害に強いまちづくりの推進

(応急医療体制の整備)

第18条 市は、あらかじめ災害時における応急医療体制を整備するとともに、災害時においては、市民等および医療機関と連携協力し、傷病者の救護に当たらなければならない。

(備蓄物資の整備)

第19条 市は、災害時に必要な備蓄物資の計画的な整備を行わなければならない。

(応急対策を行うための体制の確立)

第20条 市は、災害時においては、直ちに法第23条の2第1項の規定により設置する災害対策本部(以下「災害対策本部」という。)を中心とする応急対策を行うための体制を確立しなければならない。

(平24条例47・一部改正)

(避難所の開設等)

第21条 市は、災害時において被災者の支援のため必要があると認めるときは、速やかに避難所を開設し、運営しなければならない。

(施設又は設備の復旧)

第22条 市は、災害により電気、ガス、通信、交通その他の市民の生命又は社会生活の維持に必要な施設又は設備が被災したときは、各事業者に対し、速やかな復旧を要請するとともに、的確な情報提供を行うよう求めるものとする。

(復旧の推進)

第23条 市は、災害により市の区域内に甚大な被害が発生したときは、国、他の地方公共団体および関係機関と連携協力し、早期の復旧に努めなければならない。

2 市は、前項に規定する場合には、市民生活の円滑な再建を図り、都市機能の速やかな回復に資するため、早期に災害対策本部を中心とする復旧体制を確立しなければならない。

(防災に係る協定)

第24条 市は、災害時に他の地方公共団体、公共的団体および事業者に対し、協力の要請を迅速かつ円滑に行えるよう、あらかじめ防災に係る協定を締結するものとする。

(他の地方公共団体への支援)

第25条 市は、前条の協定の有無にかかわらず、大規模な災害が発生した地方公共団体に対し、応急対策に関する必要な支援を行うものとする。

第5章 雑則

(委任)

第26条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成24年7月1日から施行する。

(平成24年10月3日条例第47号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和4年12月21日条例第32号)

(施行期日)

1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。

秋田市災害対策基本条例

平成24年3月26日 条例第3号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第10編 市民生活/第4章 災害対策
沿革情報
平成24年3月26日 条例第3号
平成24年10月3日 条例第47号
令和4年12月21日 条例第32号