○秋田市民の心といのちを守る自殺対策条例

平成25年9月30日

条例第60号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第10条)

第2章 基本的施策(第11条―第19条)

第3章 推進体制(第20条)

第4章 雑則(第21条)

附則

秋田市民憲章にもうたわれているとおり、このまちで暮らす市民一人ひとりが、健康で明るく豊かな住みよいまちを目指す、それが私たちの願いです。

しかし、残念なことに、近年、我が国においては自殺による死亡者数が高い水準で推移し、自殺が重大な社会問題となっており、それは本市においても例外ではありません。

これまで個人的な問題として捉えられがちであった自殺については、その多くが個人だけの努力ではどうすることもできない「追い込まれた末の死」であり、およそ個人の問題とは言い切れません。

本市では、既に、民・学・官が連携した自殺対策における秋田モデルと言われる取り組みが進んでおりますが、さらに機運を高めていかなければなりません。

自然環境豊かなこのまちで、全ての市民が幸せに暮らすという考えの下、自殺を取り巻く要因および環境について市全体で解決を図り、一人ひとりが「一人のいのち」を大切にし、自殺対策の担い手としてともに支え合う秋田市をつくり上げていくことを目指し、ここに秋田市民の心といのちを守る自殺対策条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、自殺対策について、基本理念を定め、市、事業主、学校等、市民および議会の責務を明らかにするとともに、自殺対策に係る施策に関し必要な事項を定めることにより、市民個人およびその親族等の心情および立場に配慮しつつ、自殺対策を総合的に推進し、もって市民一人ひとりがかけがえのないいのちの大切さを考え、ともに支え合う地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 自殺対策は、自殺対策基本法(平成18年法律第85号)第12条に規定する基本的かつ総合的な自殺対策の大綱に定められた自殺総合対策における基本認識を踏まえ、自殺は防ぐことができる問題として取り組まれなければならない。

2 自殺対策は、自殺について個人の問題としてのみでなく、地域的および社会的な要因等から多角的に問題点を分析し、地域レベルの実践的な取組を含めた措置を講じることにより、推進されなければならない。

3 自殺対策は、自殺の事前予防および自殺発生の危機への対応として取り組むとともに、自殺又は自殺未遂が発生した場合における事後対応の効果的な施策として実施されなければならない。

4 自殺対策は、市と国、他の地方公共団体、医療機関、事業主、学校等、市民、自殺の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係する者との密接な連携の下に実施されなければならない。

(平31条例43・一部改正)

(市の責務)

第3条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、関係機関と連携し、市の状況に応じた施策を策定し、実施するものとする。

2 市は、市民の経済的および精神的な問題のほか生活上の悩みに関する相談等について、各種窓口の充実および業務の連携により適切な対応をするものとする。

3 市は、常に市内の自殺問題に関する状況および情報について分析し、緊急を要する場合は、速やかに対応するものとする。

4 市は、自殺対策の担い手である市職員等が、心身の健康を保持しながら職務に従事することができるよう、配慮するものとする。

(事業主の責務)

第4条 事業主は、自殺対策に取り組む当事者としての意識を持ち、市および関係機関と連携し、その雇用する労働者の心身の健康を保持するために適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 福祉、医療、教育その他のサービスを提供する事業主は、特に自殺対策に取り組む意識を持ち、自殺に対する正しい理解を深め、市および関係機関と連携しながら、当該サービスの利用者の心身の健康を保持するために適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

(学校等の責務)

第5条 学校等は、市、関係機関、保護者等と連携し、児童、生徒又は学生の心身の健康を保持するとともに、教職員等が心身の健康を保持しながら職務に従事することができるよう、適切な措置を講ずるものとする。

2 学校等は、常にいのちの尊さを学ぶ機会を設けるよう努めるものとする。

3 学校等は、児童、生徒又は学生からの心の迷い等のサインを見逃すことなく、適切に対処するものとする。

4 学校等は、いじめと自殺との因果関係を過小に評価することなく、いじめの防止および早期発見に努めるとともに、いじめの対策に万全を期するものとする。

(市民の責務)

第6条 市民は、自殺対策に深い関心と正しい理解を持ち、一人ひとりが自殺対策の担い手となるよう努めるものとする。

(議会の責務)

第7条 議会は、自殺対策に関する市の施策が効果的に推進されるよう監視および評価を行うとともに、必要な提言等を行うものとする。

(名誉および心情ならびに生活の平穏への配慮)

第8条 市は、自殺対策を実施する上で、自殺者、自殺未遂者および自殺のおそれがある者ならびにそれらの親族等の名誉および心情ならびに生活の平穏に十分配慮しなければならない。

(財政上の措置)

第9条 市は、この条例の目的を達成するため、必要な財政上の措置を講じなければならない。

(報告)

第10条 市は、毎年度、市における自殺の概要および施策の実施状況を議会に報告しなければならない。

第2章 基本的施策

(自殺の実態の調査研究等)

第11条 市は、自殺の実態を明らかにするため、調査研究を推進し、情報の収集、整理、分析および提供を行うものとする。

(平31条例43・旧第12条繰上)

(市民の理解の増進)

第12条 市は、教育活動、広報活動等を通じて、自殺の防止等に関する市民の理解が深まるよう必要な施策を講ずるものとする。

(平31条例43・旧第13条繰上)

(人材の確保等)

第13条 市は、自殺対策を推進するため、適切な人材を確保し、その養成および資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。

(平31条例43・旧第14条繰上)

(心の健康づくりに係る相談体制の整備)

第14条 市は、心の健康の保持および増進のため、職場、学校、地域等におけるあらゆる機会において、市民からの相談に対応することができる体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。

(平31条例43・旧第15条繰上)

(医療の提供体制の整備)

第15条 市は、自殺のおそれがある者の早期発見に努めるとともに、必要に応じて医療機関と連携し、適切な医療が受けられる体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。

(平31条例43・旧第16条繰上)

(自殺対策の社会的な取組に係る連携体制の整備)

第16条 市は、自殺対策推進の社会的な取組として、各種相談窓口の機能の充実を図るとともに、関係機関等との連携体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。

(平31条例43・旧第17条繰上)

(自殺未遂者等に対する支援)

第17条 市は、自殺未遂者および自殺のおそれがある者が自殺を図ることのないよう、適切な支援を行うために必要な施策を講ずるものとする。

(平31条例43・旧第18条繰上)

(自殺者の親族等に対する支援)

第18条 市は、自殺者又は自殺未遂者の親族等が感じる複雑な心情に配慮し、当該親族等が偏見、誤解等により不利益を被らないよう、適切な支援を行うために必要な施策を講ずるものとする。

(平31条例43・旧第19条繰上)

(民間団体との連携の強化)

第19条 市は、地域における民間の団体が行う活動に関し、自殺の防止を目的とする活動のほか、関連する分野の活動についても自殺対策に関与し得ることを理解した上で、民間の団体との連携を強化し、必要な施策を講ずるものとする。

(平31条例43・旧第20条繰上)

第3章 推進体制

(自殺対策ネットワーク会議)

第20条 市は、自殺対策が関係機関等による密接な連携の下に実施されるようにするため、自殺対策に関係する行政機関、民間の団体、学識経験者、市民等をもって構成する自殺対策ネットワーク会議を置く。

(平31条例43・旧第21条繰上)

第4章 雑則

(委任)

第21条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、市長が別に定める。

(平31条例43・旧第22条繰上)

この条例は、平成26年4月1日から施行する。

(平成31年3月19日条例第43号)

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

秋田市民の心といのちを守る自殺対策条例

平成25年9月30日 条例第60号

(平成31年4月1日施行)