○秋田市行政の基本構想

平成27年12月18日

議決

第1 基本構想の意義

1 基本構想の位置付け

基本構想は、本市の総合的かつ計画的な行政経営を図るため、5年間の計画期間を通した目標とそれを実現するための基本的な考え方を示すものです。

2 基本構想の構成

基本構想は、「基本理念」「将来都市像」「総合計画推進のために」および「成長戦略」で構成されます。

(1) 基本理念

本総合計画の計画期間最終年度である平成32年度における本市の目指すべき姿を設定したものです。

(2) 将来都市像

基本理念のもとに目指す大局的な方向性として設定したものです。

将来都市像ごとに「政策」および「施策」に細分化し、体系図を示しています。

(3) 総合計画推進のために

組織機構・市民サービス向上などの行政経営分野における取組や、基本構想および推進計画の実施にあたって、本市が意識していくべき視点を設定したものです。

(4) 成長戦略

人口減少問題を正面から受けとめ、「秋田市を元気にすること」「元気な秋田市を次の世代に引き継ぐこと」を目指し、将来都市像別の体系にとらわれずに、今後成長させることが必要な分野において、一体的かつ集中的に経営資源を投入することにより、本市の成長を牽引するために設定したものです。

第2 基本理念

人口減少・少子高齢化が進行する中、地域の活力を維持し、本県全体を牽引する県都として持続的な成長・発展を実現していくためには、人口減少問題を正面から受けとめ、次の世代に引き継ぐことができる元気な秋田市づくりを進めていかなければなりません。

秋田市を元気にし、次の世代に引き継ぐ原動力となるのは、間違いなく人そのものであり、市民一人ひとりが輝くためにも、それぞれの能力や個性を発揮しながら、自らの可能性を追い求めていける社会が求められています。

年齢や性別を問わず、自分らしくいきいきと輝いている「人」

にぎわいにあふれ、多彩な魅力に満ちている「まち」

四季の移り変わりのように彩り豊かで、心うるおう「くらし」

市と市民が協力しあいながら、そのような人・まち・くらしの実現を目指していくこととし、本市の基本理念を次のように定めます。

“ともにつくり ともに生きる 人・まち・くらし

~ ストップ人口減少 元気と豊かさを次世代に ~ ”

また、国立社会保障・人口問題研究所によると、本市の人口は、2040(平成52)年に約23万5千人まで減少する一方、老年人口割合は約42%に達すると推計されています。

こうした状況に今すぐ歯止めをかけることは困難でありますが、人口減少対策を喫緊の最重要課題と位置付け、元気な秋田市づくりを進めるとともに、人口減少下において発展や拡大のみにとらわれることなく、成熟や質的な向上による暮らしの豊かさを次の世代に引き継いでいくため、基本理念の副題に「ストップ人口減少 元気と豊かさを次世代に」を掲げます。

本市では平成27年度中に、まち・ひと・しごと創生法(平成26年法律第136号)に基づき、人口の現状を分析し、人口減少が本市に何をもたらすのかなどを明らかにした上で、目指すべき将来の方向と人口の将来展望を示す「秋田市人口ビジョン」と、これに基づき政策目標や具体的施策等を定める「秋田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定することとしています。

本市の人口減少対策については、これら総合戦略等を通じて、子育ての希望をかなえられる環境づくり、新しい仕事づくりや雇用の質の向上、地域資源を活用した人をひきつけるまちづくり、誰もが安心して暮らせる健康長寿社会づくり、暮らし・産業・自然が調和したコンパクトシティの形成などに取り組んでいくものです。

第3 将来都市像

基本理念のもとに目指す大局的な方向性として、次の5つの将来都市像を設定し、将来都市像ごとの政策および施策について、体系として表します。

1 豊かで活力に満ちたまち

2 緑あふれる環境を備えた快適なまち

3 健康で安全安心に暮らせるまち

4 家族と地域が支えあう元気なまち

5 人と文化をはぐくむ誇れるまち

将来都市像1 豊かで活力に満ちたまち

政策1 商工業の振興

施策① 企業立地・事業拡大の推進

施策② 企業の活性化の推進

施策③ 雇用の拡大と質の向上

施策④ 貿易と物流の拡大

政策2 農林水産業の振興

施策① 農林水産業経営の確立と食料の安定供給

施策② 戦略的で多様な農林水産ビジネスの創出

施策③ 豊かな農山村の形成

政策3 交流人口の拡大と移住促進

施策① 観光振興の推進

施策② にぎわいの創出

施策③ 移住の促進

将来都市像2 緑あふれる環境を備えた快適なまち

政策1 環境との調和

施策① 環境保全の推進

施策② 循環型社会の推進

施策③ 地球温暖化への対応

政策2 都市基盤の確立

施策① 秩序ある都市環境の形成

施策② 住宅環境の整備

施策③ 上下水道サービスの提供

施策④ 道路整備の推進

施策⑤ 交通機能の充実

施策⑥ 情報通信技術の利活用

将来都市像3 健康で安全安心に暮らせるまち

政策1 安全な生活の実現

施策① 危機管理体制の確立

施策② 雪に強いまちの確立

施策③ 防犯・交通安全体制の確立

政策2 安心して暮らせる毎日の実現

施策① 健全な消費・生活衛生環境の確保

施策② 食育の推進

施策③ 保健・医療体制の充実

施策④ 消防・救急体制の充実

施策⑤ 社会保障制度の確保

将来都市像4 家族と地域が支えあう元気なまち

政策1 家族や地域を支える絆づくり

施策① 家族・地域の絆づくりの推進

施策② 男女共生社会の確立

政策2 地域福祉の充実

施策① 地域福祉の推進

施策② 障がい者福祉の充実

施策③ 高齢者福祉の充実

政策3 次代を担う子どもの育成

施策① 子ども・子育て環境の充実

施策② 若い世代の育成支援

政策4 市民の主体的な活動の推進

施策① 市民による地域づくりの推進

施策② 市民活動の促進

将来都市像5 人と文化をはぐくむ誇れるまち

政策1 文化の創造

施策① 文化財の保存と活用

施策② 市民文化の振興

施策③ 生涯スポーツの推進

施策④ 国際交流の推進

政策2 教育の充実

施策① 社会教育の充実

施策② 学校教育の充実

施策③ 高等教育の充実

将来都市像1 豊かで活力に満ちたまち

産業振興により地域経済を活性化し、雇用とにぎわいを創出することにより都市としての求心力を高め、多様な交流や連携を構築し、県都として周辺圏域の発展を牽引する「豊かで活力に満ちたまち」を目指します。

政策1 商工業の振興

工業

ア 現状と課題

国が主導する経済対策により、都市部を中心に景気は回復傾向にあり、製造業においては、生産拠点の海外から国内へのシフトや国内での設備投資の増加により、製造品出荷額も増加傾向にあります。

一方、本市においては、従業者数が少ない小規模事業所や加工・組立の一部工程のみを行う企業が多く、近年は、製造品出荷額が減少傾向にあるものの、電子部品等の既存誘致企業を中心に生産力増強等に伴う設備投資の動きも見られます。

イ 取組の方向

本市の有利な融資あっせん制度や補助制度について、時代のニーズに応じた見直しを図りながら、制度の活用を促進することにより、がんばる地元企業の新分野進出や設備投資などの事業拡大と雇用創出につながる支援に取り組みます。

また、産学官連携による市内企業の技術力向上や成長分野への進出を支援するほか、既存の誘致企業に対しては、その本社・親会社等を定期的に訪問し、工場の新増設などの事業拡大を働きかけていきます。

企業誘致

ア 現状と課題

国の経済政策の効果や円安基調の定着等により、主要企業の業績は改善傾向にあり、設備投資動向も上向いていますが、その大半は既存施設の更新や増設に向けられており、新たな生産拠点の立地には、多くの企業が慎重になっています。

こうした中、本市においても、既存誘致企業を中心に、大型の設備投資や雇用拡大の動きが見られる一方で、市外企業の新規立地については、激しさを増す自治体間競争や産業のグローバル化などを背景に、依然として厳しい状況にあります。

イ 取組の方向

引き続き県と連携し、本市の立地環境や優遇制度などのPRに努め、電子・輸送機関連や医薬・医療関連、ICT・情報通信関連など、今後成長が期待される産業分野を主なターゲットとしながら、製造工場等の新規立地に向けた誘致活動を推進します。

また、首都圏等で活躍している本市ゆかりの経済人等のネットワークを活用したアプローチを幅広く展開するほか、商工業振興条例に基づく優遇制度のインセンティブ効果を高めるため、直近の経済動向や真の企業ニーズに合致した内容となるよう不断の見直しに努めます。

加えて、工場立地の受け皿となる工業団地については、用地取得費の負担軽減や小区画化の検討など、企業が立地しやすい環境整備を進め、分譲・貸付の促進を図ります。

商業・サービス業

ア 現状と課題

消費増税の影響による買い控えや、物価上昇に賃金が追いついていない状況にある中で、本市の商業・サービス業を取り巻く環境は依然厳しい状況にあります。

特に、商店街においては、商店主の高齢化や後継者不足、大型店やコンビニエンスストアの進出などにより、既存の商店が減少しています。

また、中心市街地では、融資あっせんや補助制度により、中心市街地活性化基本計画に基づく商業集積を促進し、一定の効果があったものの、空き店舗や空きテナントの解消には至っていません。

イ 取組の方向

既存の商圏が大きく変動している中で、これからの商店街のあり方を検証し、商店街への支援策について見直しを行うほか、商工団体との連携により、円滑な事業承継を支援します。

また、中心市街地においては、引き続き、空き店舗・空きテナントの解消に向けた商業集積を促進し、県都としてのさらなるにぎわいづくりを目指します。

さらに、観光、環境、情報などのサービス分野についても、融資あっせん制度の見直しや周知を図り、企業の事業拡大と雇用創出につながる支援に努めます。

中小企業経営

ア 現状と課題

市内の中小企業においては、為替・原油価格の動向が全体としては景況にプラスに作用しているものの、販売・受注競争の激化による売上・受注の不振が続いています。さらに、小売業においては仕入価格の上昇、サービス業においては人材不足の問題も抱えています。

また、廃業率が開業率を上回っており、県外からのAターン者も視野に入れた事業承継や創業支援が必要となっています。

イ 取組の方向

本市の強みや特色、潜在力をいかしながら、成長産業への進出や新事業の展開、地域ブランド商品の開発、販路拡大などに積極的に取り組んでいる中小企業を資金面で支援し、地域産業の競争力強化を目指すほか、小規模事業者の実態把握に努め、市と商工団体それぞれの役割に応じた適切な支援を行います。

また、新規創業者の発掘と創業支援策の拡大により、開業率の向上を目指すとともに、創業初期のリスク軽減と事業安定化を支援します。

雇用

ア 現状と課題

景気の緩やかな回復を受けて、ハローワーク秋田管内の有効求人倍率や新規学卒者の就職内定率も上昇していますが、雇用者に占める非正規雇用の割合は依然として高く、新規学卒者の離職率も全国平均より高い状況にあります。

また、少子高齢化や若年者の転出、産業の基盤となる熟練技術者の後継者不足など労働力人口は減少していることから、人口減少社会に対応した労働力の確保が急務となっています。

イ 取組の方向

若い世代が安心して働くことができるよう、雇用環境の改善とやりがいのある仕事づくりを支援するとともに、国・県との連携により求職者のキャリアアップや企業の雇用促進を支援する既存事業の充実を図り、若年者の定着につながる「雇用の質」の向上に取り組みます。

また、高齢者や女性が活躍できる就業機会の拡大、障がい者の雇用促進などにより、多様な人材が能力を十分に発揮できる環境づくりを支援します。

貿易

ア 現状と課題

秋田港における貿易額とコンテナ取扱量は、東日本大震災を契機とした代替需要等を背景に大幅に増加し、その後の港湾インフラの充実や荷主に対するインセンティブ制度の効果等により、引き続き堅調を維持しているものの、依然として輸入超過の状況が続いています。

また、市内企業の海外ビジネスは、国際的な社会経済情勢の変化等の課題もあり、いまだ秋田産品の販路開拓・拡大には至っていない状況にあります。

イ 取組の方向

県や関係機関等と連携し、各種インセンティブ制度の充実や国内外でのポートセールス活動により、秋田港の利用促進に努めるとともに、港湾機能の拡充等に努めます。また、市内企業のニーズに応じた海外展示会・商談会への出展を引き続き支援することで、秋田産品の販路開拓と拡大を目指します。

『政策1 商工業の振興』のもと取り組む施策

施策① 企業立地・事業拡大の推進

施策② 企業の活性化の推進

施策③ 雇用の拡大と質の向上

施策④ 貿易と物流の拡大

政策2 農林水産業の振興

農林水産業

ア 現状と課題

農林水産業は、従事者の高齢化が急速に進んできており、担い手不足が深刻化しています。

こうした中、農業においては、新規就農者数や認定農業者数が増加傾向にあるなど、明るい兆しも見られる一方、高齢化等により離農者も増加しており、意欲と意識の高い担い手の育成が急務となっています。

また、米価の下落や主食用米の生産調整の見直しに加え、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の影響などにより、農業経営は厳しい状況が続くことが予想されることから、生産性の向上や園芸作物・畜産等との複合化、農林水産物を原材料とした加工・販売を行う6次産業化等を推進する必要があります。

林業においては、木材価格の低迷による生産活動が停滞する中で、間伐の実施など森林の適切な管理が課題となっています。

イ 取組の方向

消費市場や人材資源など都市部と隣接する立地条件をいかし、優れた担い手の育成や経営の複合化、6次産業化等を推進するとともに、TPPも見据えた生産性向上や競争力強化に向けた施策の実施により、健全で持続的に発展する農林水産業の確立と安全で安心な食料の安定供給を目指します。

農山村

ア 現状と課題

農業生産基盤の整備や道路、上下水道などの生活環境の整備は進んできていますが、地域の農林業経営の担い手不足や高齢化が急速に進んでおり、農山村地域の伝統文化の継承や集落機能の維持が困難となるおそれがあります。

イ 取組の方向

農業生産基盤や生活環境を整備し、農山村の持つ多面的な機能を発揮することにより、農業生産性の向上や生活環境の改善、集落機能の維持を図るとともに、都市農村交流の促進や特色ある中山間地域の創造により、豊かな農山村の形成を目指します。

『政策2 農林水産業の振興』のもと取り組む施策

施策① 農林水産業経営の確立と食料の安定供給

施策② 戦略的で多様な農林水産ビジネスの創出

施策③ 豊かな農山村の形成

政策3 交流人口の拡大と移住促進

観光

ア 現状と課題

情報がグローバル化する中、観光を取り巻く状況は団体旅行から個人やグループ旅行に移行し、地域の食、文化・歴史、生活体験などニーズが多様化しています。

このような中、首都圏を中心とした観光プロモーションや韓国・台湾などアジアからのインバウンド、助成金によるコンベンション誘致などで、交流人口の拡大に一定の効果が見られるものの、地域の食や文化財を組み入れたまちあるき観光等については、WEB等を活用したさらなる情報発信が求められています。

イ 取組の方向

様々な地域資源をいかしながら、県や観光連盟などとの協働による広域の観光連携施策を強化し、都市の魅力向上と地域への経済波及に資する取組を進めます。本市が持つ、陸・海・空の交通結節の利点を最大限活用しながら、積極的な観光プロモーションで国内からの誘客の流れを生み出すとともに、国外への情報発信と受入態勢などのインバウンド対策を強化し、交流人口の拡大に努めます。

まちのにぎわい

ア 現状と課題

にぎわいの核となる中心市街地に関して、歩行者通行量は若干の増加傾向にあるものの、地価の下落や小売業年間商品販売額の減少など、衰退傾向に歯止めがかからない状況にあり、活力の再生に向けて行政、地域、事業者が積極的ににぎわいの創出に取り組む必要があります。

また、ポートタワーセリオン周辺の臨港地区は、秋田市から男鹿市へ向かう主要観光動線に位置しており、道の駅あきた港の中心施設であるポートタワーセリオンをリニューアルし、物販、飲食などの機能を拡充したことにより、新たな集客機能を担うことが期待されています。

加えて、3つのトップスポーツクラブがホームタウンにするなど様々な地域資源があることから、これらをいかしたにぎわいの創出に取り組む必要があります。

イ 取組の方向

中心市街地は本市をイメージする“顔”であり、コンパクトシティの核として高次都市機能の集積を図りながら、中央街区をはじめ、旭川をはさんだ大町、通町、川反地区を一体的な区域として、人々が住み、集い、買物や公共施設の利用、散策など、多機能空間として活性化を図るとともに、にぎわいの創出に努めます。

また、臨港地区においては、海の玄関口、人流拠点などとしてのにぎわい創出を目指します。

加えて、地元のトップスポーツチームを応援することで、市民の連帯意識や地域に対する愛着を深めるとともに、地域の活性化を目指します。

移住の促進

ア 現状と課題

少子高齢化の進行により、このままでは人口減少は避けられない状況にあります。特に本市では、高校、大学等の卒業に伴う進学・就職による転出が社会減の大きな要因となっている一方、転入は県内市町村からのものに偏っており、人口流出を抑えるとともに、県外からの移住を増やす取組を進める必要があります。

イ 取組の方向

都市の便利さと豊かな自然がほどよく調和したまちという本市の魅力をPRするとともに、その良さを実際に体験してもらうための事業などに取り組みます。また、進学、就職等で転出した本市出身者のUターンや、市内の大学への進学等をきっかけに転入した若者の定着も含め、県外からの移住者を積極的に受け入れ、定着につなげられる環境の整備に努めます。

『政策3 交流人口の拡大と移住促進』のもと取り組む施策

施策① 観光振興の推進

施策② にぎわいの創出

施策③ 移住の促進

将来都市像2 緑あふれる環境を備えた快適なまち

利便性の高い都市基盤を整備しながら、本市の住みよい環境を保全し次世代へ継承することができるコンパクトシティを形成し、いつの時代においても、「緑あふれる環境を備えた快適なまち」を目指します。

政策1 環境との調和

環境保全

ア 現状と課題

大気や水など、生活を営む上で身近に感じる環境はおおむね良好な状況で推移しており、この恵まれた環境を次の世代へ引き継ぐためにも、自然環境や生活環境の保全に向けた取組が重要となっています。

イ 取組の方向

生物の多様性と自然環境を守りながら、大気、水を含む生活環境を適正な水準に保ち、市と市民の協力のもと、将来にわたって暮らしやすい快適なまちを目指します。

循環型社会

ア 現状と課題

大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会のあり方が問われる中、環境への負荷低減や天然資源の消費を抑制する観点から、生活スタイルの見直しや廃棄物の適正処理が課題となっています。

イ 取組の方向

ごみの発生抑制や廃棄物の適正処理に向けた取組を通じて、環境に配慮した持続可能な循環型社会の形成に努めます。

地球温暖化

ア 現状と課題

二酸化炭素などの温室効果ガスに起因する地球温暖化への対応は、今後の地球環境を左右する世界的な課題となっており、各地方自治体においては、国が掲げる排出抑制目標の達成などのため、市民や事業者とともに様々な取組を進めることが求められています。

イ 取組の方向

家庭や事業所における地球温暖化防止に向けた取組、新エネルギー・省エネルギー設備の導入などを通じ、温室効果ガスの排出を抑制するとともに、環境関連技術や環境付加価値を活用した産業の振興による経済の活性化を目指します。

『政策1 環境との調和』のもと取り組む施策

施策① 環境保全の推進

施策② 循環型社会の推進

施策③ 地球温暖化への対応

政策2 都市基盤の確立

市街地形成

ア 現状と課題

本市は、人口減少の進行とともに、市街地の低密度化が進んでおり、この状態がさらに進んだ場合、インフラの維持・更新費など都市経営コストの増大とともに、公共サービスの低下が危惧されます。

イ 取組の方向

今後の人口減少・少子高齢化を見据え、あらゆる市民が生活に必要なサービスを容易に享受できるよう、市街地の拡大を抑制するとともに、これまで市街地内で蓄積してきた都市基盤施設や都市機能を有効活用しながら、都心・中心市街地を本市の顔となる各種高次都市機能の集積を図る拠点として、また、6つの地域中心を地域特性を踏まえた生活サービスの拠点として都市機能誘導や居住誘導を図り、持続可能なコンパクトな市街地形成を目指します。

景観形成と都市緑化

ア 現状と課題

太平山の裾野が見渡せる田園風景の美しい眺め、旭川が流れる城下町や街道の伝統を感じさせる既存市街地、緑化され整然とした新興住宅街など、良好な景観が形成されています。

また、公園の整備や緑化、市街地の貴重な緑の保全により、緑豊かで魅力ある都市空間づくりを進めており、地域の特色をいかした景観まちづくり活動や市民がつくる緑のまちづくり活動など、市民主体の取組も展開されています。

イ 取組の方向

豊富な自然や受け継がれてきた歴史と良好な景観資源の保全など、地域の特性をいかした「新たな秋田らしさ」の創造を目指し、市民や事業者と行政が一体となって魅力あふれる景観づくりに取り組み、うるおいとやすらぎを得られる景観形成や安全・快適で緑豊かな都市環境の形成を目指します。

住宅

ア 現状と課題

人口が減少し、世帯数も減少に転ずることが見込まれる中、戸建て住宅が多く、持ち家率も高い状況にあり、量的には充足している一方で、住宅の新築は減少し、空き家が増加傾向にあるなど、住生活の質の向上が求められています。

住宅のバリアフリー化は徐々に進んでいますが、耐震化の伸びは低くなっているほか、建築物の中高層化による日照やプライバシーの問題など、近隣住民との調整を必要とする事例も見られます。

市営住宅については、子育て世帯や高齢者世帯などの生活環境が整った立地にある住宅への入居要望が多くなっています。

イ 取組の方向

良質な住宅ストックの形成と維持保全、良好な住環境の形成を目指すとともに、空き家の利活用を推進します。

また、市営住宅については、多様なニーズにこたえ、市民が安心して居住できる環境の確保に努めます。

水道

ア 現状と課題

普及率がほぼ100%となり、市民誰もが水道を利用できる環境になっているものの、老朽化した施設の更新や危機管理対策などが必要となっています。

また、今後の人口減少やこれに伴う給水量の減少など、経営環境の変化への対応が求められています。

イ 取組の方向

効率的な事業経営のもと、老朽化した施設の更新や耐震化の実施、危機管理対策の見直しなどを進め、安全でおいしい水の安定的な供給を目指します。

生活排水処理

ア 現状と課題

公共下水道などによる汚水処理人口普及率は90%を超えたものの、水洗化率は80%台後半で伸び悩んでおり、快適な生活環境の整備と公共用水域の水質保全が課題となっています。

また、施設の老朽化や危機管理対策に加え、人口や使用料収入の減少など、経営環境の変化への対応が求められています。

イ 取組の方向

効率的な事業経営のもと、未接続世帯の水洗化の促進、老朽化した施設の更新や長寿命化、危機管理対策の見直しなどを進め、快適な生活環境の整備と公共用水域の水質保全を目指します。

道路整備

ア 現状と課題

都市計画道路など骨格道路のネットワークの構築が遅れており、また、高度経済成長期以降に整備した橋りょうなどの道路ストックの老朽化が深刻となっています。

イ 取組の方向

市民生活と社会経済活動を支える骨格道路のネットワークの整備を進めるとともに、道路ストックの予防保全的な維持管理を計画的に行い、安全・安心な道路づくりを進めます。

交通機能

ア 現状と課題

市内には秋田港や秋田空港、秋田駅、高速道路のインターチェンジがそろっており、これらの交通拠点により人流・物流を広域的に結んでいます。

一方、鉄道やバス、タクシーなどの公共交通については、超高齢・人口減少社会にあって利用者は減少傾向にあるものの、市民の移動手段として将来にわたって持続させる必要があります。

イ 取組の方向

陸・海・空の優れた広域交通機能を活用した、東北を代表する交流拠点となる求心力の高い魅力的なまちを目指します。

また、公共交通は、地域のニーズや特性に配慮しながらネットワークの構築を図るなど、市民の利便性の確保と効率性の両立を目指します。

情報通信環境

ア 現状と課題

インターネットを中心に、パソコン、携帯電話(スマートフォン)など情報通信技術が急速に進展し、快適で便利な市民生活を送る上で、その重要性が高まっています。行政の各分野においても、個人番号をはじめ、情報通信技術が大きな役割を担っている一方で、セキュリティの確保や情報通信環境に格差が生じている地域や市民もいることが問題になっています。

イ 取組の方向

新しい情報通信技術を導入・普及促進し、より快適で便利な市民生活を目指すとともに、行政の各分野においても、情報通信技術の積極的な導入と最適化を行います。

また、セキュリティの確保に十分留意した上で、情報通信技術の活用を図るとともに、情報通信環境の格差縮小に努めます。

『政策2 都市基盤の確立』のもと取り組む施策

施策① 秩序ある都市環境の形成

施策② 住宅環境の整備

施策③ 上下水道サービスの提供

施策④ 道路整備の推進

施策⑤ 交通機能の充実

施策⑥ 情報通信技術の利活用

将来都市像3 健康で安全安心に暮らせるまち

生活の危険を回避できる十分な体制を整備し、市民が健やかな心身を保ちながら、「健康で安全安心に暮らせるまち」を目指します。

政策1 安全な生活の実現

災害時の危機管理

ア 現状と課題

平成23年に発生した東日本大震災による地震と津波、また、近年の異常気象ともいえる集中豪雨や土砂災害など、全国的に自然災害による被害が増加し、大規模化の傾向にあります。

市民の生命や財産などを脅かす危機が増加している一方、地域の防災活動の要ともなる自主防災組織は、少子高齢化の進行やコミュニティ意識の希薄化などへの対応が必要となっています。

イ 取組の方向

行政だけでなく、関係機関をはじめ、市民一人ひとりが、また企業などの事業者が、それぞれ自らの力で自らを災害から守り、相互に助けあい、自助・共助・公助の理念に基づき連携を図り、災害や危機に対して迅速に対応できる体制の整備を進めます。

健康危機管理

ア 現状と課題

生活環境がグローバルな変化を続ける中、食中毒や感染症など健康を脅かす健康危機の発生が危惧されます。

イ 取組の方向

健康危機の発生時には、被害を最小限にするよう、関係機関等から情報を収集し各種調査を実施するなど、的確な対応ができる体制を構築します。

災害に強いまちづくり

ア 現状と課題

市内には、木造住宅密集地や狭い幅員の生活道路、公園未整備地域などがあり、緊急時における物資輸送路や避難経路、オープンスペースの確保など、都市の防災機能面で十分な水準に達していない状況も見受けられます。

イ 取組の方向

無電柱化の推進など、防災・減災に対応した都市機能の充実を図り、道路、公園、河川、下水道などの都市空間が有する多様性を活用した災害に強いまちを目指します。

雪に強いまち

ア 現状と課題

これまで道路除排雪作業の主力を担ってきた経験豊富な建設業者が減少傾向にあるなど、雪対策を取り巻く環境は一段と厳しくなっています。

一方、地域においては、少子高齢化の進行や社会経済情勢の変化などにより、屋根の雪下ろしや間口除雪など雪処理の担い手不足が課題となっています。

イ 取組の方向

冬期における雪対策については、市民協働の推進や高齢者支援策などの充実を図ることにより、安全で円滑な道路交通が確保された雪に強いまちを目指します。

防犯対策

ア 現状と課題

市民による見守りやパトロールなど地域の安全安心につながる活動が活発に行われるようになった一方で、犯罪内容は多様化し、その手口が悪質化、巧妙化しています。また、重大な犯罪につながりかねない不審者情報も多数あり、治安悪化に対する不安が大きくなっています。

イ 取組の方向

地域全体の治安を確保するため、警察、市、地域などが、各自の役割を果たしながら緊密に連携を取り、犯罪を抑止するための効果的な取組を行い、子どもから高齢者まで、誰もが安心して暮らせるまちの実現を目指します。

交通安全対策

ア 現状と課題

交通安全活動の取組により、交通事故の発生件数、死傷者数ともに減少傾向にあるものの、全死傷者数に占める高齢者の割合が増加しています。

また、生活道路には幅員の狭い道路や見通しの悪い交差点が多く残っており、歩行者や自転車の交通環境は厳しい状況にあります。

イ 取組の方向

交通安全に対する意識啓発や交通安全運動の推進を図るとともに、道路や交通安全施設の整備などにより、すべての道路利用者が安全に道路を利用できる環境の確保を目指します。

『政策1 安全な生活の実現』のもと取り組む施策

施策① 危機管理体制の確立

施策② 雪に強いまちの確立

施策③ 防犯・交通安全体制の確立

政策2 安心して暮らせる毎日の実現

消費・生活衛生環境

ア 現状と課題

悪質商法等による消費者トラブルが後を絶たず、特殊詐欺による被害対策や多重債務者の救済も急務となっています。

また、食生活を取り巻く環境の変化により、食品の安全に対する意識が高まっているほか、ライフスタイルの多様化に伴い、生活衛生関係施設の衛生確保や動物の適正飼養のあり方が注目されています。

イ 取組の方向

相談体制の充実や正しい知識の普及啓発、適切な監視指導などにより、消費生活の安全安心の確保や生活衛生環境の維持向上に努めます。

食育

ア 現状と課題

「食」は、私たちが生きていく上で欠かせないものであり、健康に暮らしていくための基本となるものですが、栄養の偏りや不規則な食事、地域の食文化の喪失などが見受けられており、「食」のあり方や地域食材の活用に対する関心が高まっています。

イ 取組の方向

生涯にわたって健康な心と身体をつくり、豊かな人間性をはぐくんでいけるよう、食育の推進に取り組みます。

保健・医療

ア 現状と課題

医学の進歩や生活環境の改善により平均寿命が伸びる中で、食生活やライフスタイルの多様化とともに、喫煙や運動不足などによる生活習慣病が増加しています。また、がんは依然として死亡原因の第1位であり、がん対策も重要となっています。

自殺者数は減少傾向にありますが、自殺や精神障がいに対する社会の理解を深め、心の健康づくりにさらに取り組んでいく必要があります。

イ 取組の方向

市民一人ひとりの健康に対する意識を高め、心身ともに健康で、元気に生活できる期間(健康寿命)を延ばすよう取り組みます。

火災・災害への対応

ア 現状と課題

建物火災のうち住宅火災の占める割合が多く、放火による火災も多発しています。

また、高齢化に伴い、多種多様な利用形態の福祉施設が増加し、火災による逃げ遅れなどにより、自力避難困難者等の犠牲者が多数発生するおそれがあります。

さらに、産業の多様化や都市形態の複雑化などから、特殊災害の発生が危惧されます。

イ 取組の方向

火災予防対策の強化と消防力の充実により、火災や災害による被害の少ない社会を構築し、市民の安全確保に取り組みます。

救急体制

ア 現状と課題

高齢化の進行、疾病構造の変化、市民ニーズの多様化などを背景に、救急出動件数は増加しています。

一方、AEDを積極的に設置したことや救命講習修了者が延べ10万人を超えたことなどにより、救命に対する市民の意識は向上しており、応急手当の実施率が高まっています。

イ 取組の方向

救急需要増大への対応、市民による応急手当が恒常的に実践される社会形成およびメディカルコントロール体制の充実強化など、より迅速で質の高い救急体制の構築を目指します。

社会保障制度

ア 現状と課題

景気は緩やかな回復傾向にあるものの、高齢化の進行により生活保護受給世帯は増加しています。

また、介護保険制度は、2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるなど、介護保険サービスを必要とする方々の増加に伴い、介護保険から給付される費用が年々増加していくことが予想されます。

さらに、国民健康保険は、被保険者の高齢化や医療の高度化により医療費が増加しています。一方、保険税の収納率は上昇しているものの、収納額は被保険者数の減少と所得水準が伸びていないことから年々減少しており、財政運営が厳しい状況にあります。

イ 取組の方向

適切な社会保障制度の運営により、誰もが住み慣れた地域で尊厳ある生活を送り、安心して医療・介護のサービスを受けられる社会を目指します。

『政策2 安心して暮らせる毎日の実現』のもと取り組む施策

施策① 健全な消費・生活衛生環境の確保

施策② 食育の推進

施策③ 保健・医療体制の充実

施策④ 消防・救急体制の充実

施策⑤ 社会保障制度の確保

将来都市像4 家族と地域が支えあう元気なまち

家族・地域・人の絆のもと、すべての市民が主人公として充実した生涯を送ることができる「家族と地域が支えあう元気なまち」を目指します。

政策1 家族や地域を支える絆づくり

家族と地域

ア 現状と課題

ライフスタイルや価値観の多様化、少子高齢化の進行などにより、家族のコミュニケーションが不足したり、地域における住民同士の交流や日常的な協力などのつながりが希薄になる傾向にあります。

イ 取組の方向

人と人との強い絆の心をはぐくみ、家族から地域へ、さらには次の世代へ伝え広げていくよう、支えあい助けあう社会の形成を目指します。

男女共生

ア 現状と課題

これまでの取組や法制度の整備により、男女共生についての意識は浸透してきていますが、家庭や職場、地域活動などの場において、さらに理解を深める必要があります。

イ 取組の方向

誰もが互いを認めあい、一人ひとりが個性や能力を十分に発揮できる男女共生社会の形成を目指します。

『政策1 家族や地域を支える絆づくり』のもと取り組む施策

施策① 家族・地域の絆づくりの推進

施策② 男女共生社会の確立

政策2 地域福祉の充実

地域福祉

ア 現状と課題

人口減少・少子高齢化の進行に伴って、家庭の扶養能力(育児・介護機能)や、地域の相互扶助力が低下しており、市民の福祉ニーズのさらなる増加、多様化が見込まれています。

イ 取組の方向

行政・地域・市民一人ひとり、それぞれの役割分担による支えあい、助けあいのもと、誰もが住み慣れた地域で生きがいを持って健康に暮らし、安心して自立した生活を送れるまちを目指します。

障がい者福祉

ア 現状と課題

障がい者が自立した生活を営む上での社会的障壁の除去や、社会参加の機会の確保が十分ではないことから、障がい者はその活動を制限され、結果的に日常生活や社会生活において制約を受けることがあります。

障がい者は年々増加傾向にあるほか、重度化・重複化した障がいや、難病などの新たな障がいへの対応も求められています。

イ 取組の方向

誰もが障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生できるまちを目指します。

高齢者福祉

ア 現状と課題

高齢化が進み、市民の4人に1人が65歳以上の高齢者となっており、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯も増加しています。

国は、市町村を主体として、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる社会システムの構築を推進しています。

イ 取組の方向

高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を営むことができるよう、高齢者の暮らしを地域の多様な主体のネットワークで一体的に支える地域包括ケアシステムを構築するとともに、自らの生きがいづくりと社会参加を促進し、誰もがいきいきと過ごすことができるエイジフレンドリーシティ(高齢者にやさしい都市)の実現を目指します。

『政策2 地域福祉の充実』のもと取り組む施策

施策① 地域福祉の推進

施策② 障がい者福祉の充実

施策③ 高齢者福祉の充実

政策3 次代を担う子どもの育成

子ども・子育て

ア 現状と課題

人口減少・少子高齢化の進行、安全安心に対する意識や価値観・生活スタイルの変化、核家族化等の進行による近隣関係の希薄化など、子どもや子育てを取り巻く環境は大きく変化しています。

また、育児や子育てに対する孤立感や負担感に加え、児童虐待や貧困、養育困難家庭の増加、子どもたちが遊びを通じてともに成長する機会の不足など、子どもが健やかに成長する上で様々な課題が生じています。

そのような中、「子どもは社会の宝であり、未来をつくる存在」であるとの基本的な考え方のもと、地域社会全体で次代を担う子どもたちをはぐくんでいくことが求められています。

イ 取組の方向

子育てを社会全体で進めることで、安心して子どもを生み育てることができ、次代を担う子どもたちが健やかに成長できるまちを目指します。

若い世代

ア 現状と課題

急速に進行する少子化は、社会や経済、地域の持続可能性を基盤から揺るがす事態につながるおそれがあります。

少子化は、若者の働き方に対する考え方や、結婚や家族に対する意識の変化、若年離職など、複雑な問題に起因しており、子どもを生み育てることに喜びを感じることができる社会へ転換することが喫緊の課題になっています。

イ 取組の方向

若者の自立を支援し、生活との調和のとれた働き方を実現することで、家庭を築き、子どもを生み育てたいと思う若者の希望が実現できるまちを目指します。

『政策3 次代を担う子どもの育成』のもと取り組む施策

施策① 子ども・子育て環境の充実

施策② 若い世代の育成支援

政策4 市民の主体的な活動の推進

地域の自治活動

ア 現状と課題

町内会や自治会などは地域の自治活動の中心的役割を担っていますが、地域コミュニティへの帰属意識の希薄化などにより、加入率の低下や担い手不足などの問題を抱え、共同体としての機能の維持、活動の活性化に苦慮している団体もあります。

一方、住民が地域のまちづくりの方向性などについて話し合い、住民主体のまちづくりを進めようという機運が高まっている地域もあります。

イ 取組の方向

住民が積極的に地域づくりに参加し、地域課題の解決に主体的に取り組む社会を目指します。

市民活動

ア 現状と課題

NPOやボランティアなどによる市民主体のまちづくり活動が広がり、複雑多様化する社会の担い手の一つとして浸透してきています。

しかしながら、市民活動に関心のある市民はおよそ4割であり、市民活動の経験がある市民は、若干増加傾向にあるものの、およそ3割にとどまっており、市民の理解と参加を広げる取組が必要です。

イ 取組の方向

市民主体のまちづくり活動を促進するとともに、NPOやボランティアなどと市が役割を分担し、市民協働によるまちづくりを進めます。

『政策4 市民の主体的な活動の推進』のもと取り組む施策

施策① 市民による地域づくりの推進

施策② 市民活動の促進

将来都市像5 人と文化をはぐくむ誇れるまち

歴史や文化をいかした魅力あるまちづくりを進めるとともに、生涯にわたり学習・文化・スポーツ活動に取り組める環境の中で、誰もが目標に向かって成長し、希望に満ちた生活を送ることができる「人と文化をはぐくむ誇れるまち」を目指します。

政策1 文化の創造

文化財

ア 現状と課題

豊かな自然に恵まれた秋田市には、長い歴史の中ではぐくんできた貴重な文化財が数多く残っており、地域の発展に欠くことのできない貴重な財産として大切に保存し、公開・活用されています。しかし、文化財は地域資源としての重要性が高まる一方で、経年劣化や担い手不足などの問題を抱えており、保存とともに継承を進めていく必要があります。

イ 取組の方向

地域に根ざした文化財の持つ歴史的な価値を広く発信し、市民とともに保存・活用を図りながら、文化をいかした魅力あるまちづくりを目指します。

芸術・文化

ア 現状と課題

市民の文化活動が多様化するとともに、国民文化祭を契機に、市民の芸術・文化に対する関心は高まりを見せており、これを一過性のものとせず、芸術・文化活動の一層の振興を図る必要があります。

イ 取組の方向

芸術・文化への関心が次の世代へ継承され、新たな文化創造につながるよう、自主的な文化活動の支援に努め、文化が持つ力により、市民一人ひとりの心に豊かさとうるおいをもたらす社会を目指します。

生涯スポーツ

ア 現状と課題

市民の健康志向の高まりや余暇時間の増加に伴い、気軽にスポーツに親しみながら、心身ともに健康な生活を送ることができる、豊かなスポーツライフを実現したいという意識が高まってきています。

こうしたスポーツライフの実現に向けて、スポーツ振興や環境整備に対する市民ニーズが高度化・多様化しています。

イ 取組の方向

市民がそれぞれの体力や年齢、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現を目指します。

また、市民一人ひとりが、主体的にスポーツ活動を楽しみながら、健康や生きがいづくりに取り組める環境づくりを進めます。

国際交流

ア 現状と課題

情報通信技術や経済のグローバル化の進展により、諸外国との人、モノ、情報の往来は、様々な分野で拡大しています。

本市では、世界5つの都市との友好姉妹都市提携等により、行政や教育文化、医療、経済など様々な分野での交流を行っているほか、近年は、姉妹都市に限らず、市民や企業による諸外国との多様な交流活動への支援も行っています。

外国人の住民や観光客が増加し、世界との結びつきが身近になっている中、進展する国際化の状況に対応した国際交流施策を進める必要性が増しています。

イ 取組の方向

各都市の特性や地域性をいかしながら、目的に応じた交流の活性化を目指します。

また、市民が世界の多様な文化や習慣を持つ人々と出会う機会を増やすことにより、国際意識や平和意識の高揚を図り、世界に開かれたまちを目指します。

『政策1 文化の創造』のもと取り組む施策

施策① 文化財の保存と活用

施策② 市民文化の振興

施策③ 生涯スポーツの推進

施策④ 国際交流の推進

政策2 教育の充実

社会教育

ア 現状と課題

自らの個性をいかし能力を高め、生きがいのある生活を送るため、生涯を通じて学びたいという市民の学習ニーズが多様化しています。

また、学習成果をボランティア活動などの形で社会にいかしたいという意欲がますます高まっています。

イ 取組の方向

多くの市民がともに学び、生涯にわたって学ぶ楽しさを実感するとともに、学んだ成果による地域社会全体の活性化を目指します。

学校教育

ア 現状と課題

少子化の進行や情報化の進展、価値観の多様化など、子どもを取り巻く環境が大きく変化しています。

こうした中、個性や能力を最大限に発揮して主体的に未来を切りひらく「自立」の力と、互いに支えあい、高めあい、協働して社会を創造する「共生」の力を兼ね備えた人材の育成が求められています。

イ 取組の方向

「自立」と「共生」が、相互作用によって高められる力であることを踏まえ、子どもたちの発達の段階に応じて、「自立と共生」の力をバランスよくはぐくむ教育の充実を目指します。

高等教育

ア 現状と課題

18歳人口の減少などにより、高等教育機関を取り巻く環境が厳しくなる一方、時代に適応した教育の高度化・専門化に加え、地域社会や産業界などとの連携により、まちづくりや学問、技術・文化の拠点としての役割を強化することが求められています。

イ 取組の方向

高等教育機関がより豊かな教養と深い専門性を身につけ、地域社会の発展に貢献できる人材を育成し、情報発信力を高めるとともに、効率的かつ安定した経営ができるよう支援します。

また、高等教育機関が蓄積する高度な知的資源を産業の発展や文化の振興などにいかせるよう連携を進めます。

『政策2 教育の充実』のもと取り組む施策

施策① 社会教育の充実

施策② 学校教育の充実

施策③ 高等教育の充実

第4 総合計画推進のために

1 計画推進体制の構築

基本理念の実現に向け、行政サービスの向上と行政経営の確立により総合計画を推進する体制の整備を進めます。

行政サービスの向上では、窓口における市民満足度の向上、身近な場所でのサービス提供機会の充実などの市民の利便性向上につながる体制の構築を、また、行政経営の確立では、効率的かつ効果的な行政経営システムおよび行財政改革を推進する体制の構築を目指します。

2 計画推進にあたっての視点

基本理念の実現に向け、次の4つの視点に基づき、基本構想に掲げる各取組を進めます。

この4つの視点は、今後の本市の経営資源を最大限にいかしながら、市民と一緒にまちづくりを進めていくため、常に意識していくとともに、推進計画における事務事業の企画立案、実施、評価にあたり、留意していくべきものです。

(1) 行財政改革

本市では、市民協働のさらなる推進や公共施設の全体最適化などに加え、人口減少・少子高齢社会の進行等の課題に対応するため、引き続き、「経営資源の最適配分を実現する仕組み」「地域の課題を地域で解決する仕組み」の構築に取り組み、総合計画に掲げる基本理念の実現を通じて市民サービスの向上に努めます。

(2) 地方分権改革への対応

本市では、住民に最も身近な基礎自治体を重視した地方分権改革の具体化に伴って、市民の期待にこたえられる体制を構築します。また、地方自治の本旨に基づく団体自治の理念に立ち返り、制度改革に対応した責任ある政策形成ができるよう、人材育成と組織整備に努めます。

(3) 市民協働

本市では、市民自らが主体となって「自分たちの地域は自分たちでつくる」「地域の課題は地域で解決する」住民自治の理念のもと、都市内地域分権の一層の定着を図るとともに、市民の参加と協働によるまちづくりの実践に努めます。特に、市政のあらゆる分野において市民力を発掘し、その先進性や実効性をいかしてともに取り組むため、行政のコーディネート能力の向上を図り、「市と市民が共通の目的を達成するために協力して働く」市民協働のステップアップに努めます。

(4) 家族・地域の絆づくり

本市では、家庭や地域における市民一人ひとりの絆づくりを尊重し、自助・共助が促進されるように、それぞれの分野が連携しながら、世代間交流を進め、家族と地域が支えあう元気な社会の形成に努めます。

第5 成長戦略

1 本市の成長戦略

本市の成長戦略は、基本理念「ともにつくり ともに生きる 人・まち・くらし」のもと、「秋田市を元気にすること」「元気な秋田市を次の世代に引き継ぐこと」の実現を目指し、選択と集中の考えのもと、将来都市像別の体系にとらわれずに、今後成長させることが必要な分野において、一体的かつ集中的に経営資源を投入することにより、本市の成長を牽引するため、平成23年に策定した第12次秋田市総合計画「県都『あきた』成長プラン」(以下「前計画」といいます。)で設定したものです。

ここでいう「成長」は、物事の規模が大きくなることだけではなく、成熟や質的な向上を含むものです。

2 現状と課題

人口減少・少子高齢化の進行に伴い、今後、年少・生産年齢人口の減少と老年人口の増加が避けられない中、いかにして地域の活力を維持し、県都として持続的な成長・発展を実現していくかが大きな課題となっています。

前計画においても、6つの成長戦略を設定して取り組んできましたが、秋田市を元気にし、元気な秋田市を次の世代に引き継ぐために今後さらに必要な視点として、「雇用創出につながる創業と事業規模の拡大」「人をひきつける地域資源の活用」「子どもを生み育てやすい環境づくり」「いきいきと暮らせる健康づくり」などが見えてきました。

3 5つの新成長戦略の設定

こうしたことを踏まえ、「産業経済基盤の強化」「地域資源の活用」「市民が幸せを実感」をキーワードに、これまでの成長戦略を整理し、5つの新成長戦略として絞り込んだ上で、各戦略を一体的に推進するものです。

「産業経済基盤の強化」の観点からは、『戦略1 地域産業の振興と雇用の創出』を設定します。

産業経済基盤を強化することは、地域の活力を高め、本市の成長の牽引につながるものであり、本市の将来を支える若者の定着にも寄与する要の施策です。

「地域資源の活用」の観点からは、『戦略2 芸術文化・スポーツ・観光による都市の魅力向上』と、『戦略3 豊かな自然をいかした環境立市の確立』を設定します。

これらの戦略は、市民の本市に対する誇りや愛着を高めると同時に、交流人口拡大と観光産業や環境関連産業の創出、育成、拡大などを通じて、戦略1と一体となった産業経済基盤の強化にもつながるものです。

「市民が幸せを実感」の観点からは、『戦略4 子どもを生み育てやすい社会づくり』と、『戦略5 いきいきと暮らせる健康長寿社会づくり』を設定します。

市民の子育てに対する希望を実現し、元気な秋田市を次の世代に引き継ぐことは、本市の成長の基盤となります。また、市民がいきいきと幸せに暮らすためには、健康寿命を延ばしていくことが必要であり、元気な秋田市づくりの根本になるものです。

戦略1 地域産業の振興と雇用の創出

(戦略設定の背景)

人口減少が進む中、産業経済基盤を強化することは、地域の活力を高め、本市の成長の牽引につながります。

市内企業の大多数を占める中小企業は、将来的に発展を遂げる可能性を秘めており、意欲ある中小企業を支援するとともに、新たなビジネスに取り組む事業者の創業支援などに取り組む必要があります。

また、東アジアやロシア沿海地方に近接する地理的優位性や、これまでの産業集積等の資源をいかし、貿易と物流の活発化や新たな企業誘致、既存企業の事業拡大につなげる必要があります。

農業分野では、安全で高品質な国内産農産物への評価が高く、今後も需要拡大が期待できるほか、6次産業化や農商工連携は、農産物の付加価値を高めることにつながります。農地と都市が近接している本市は、こうした施策に取り組みやすい環境にあります。

こうした本市の持つ潜在力を引き出すことで地域産業の振興を図り、安心して働けるやりがいのある仕事づくりと、雇用の質の向上につなげることが求められています。

(戦略が目指すもの)

新たな経済活動の創出と物流の活性化

雇用の創出と質の向上

(重点プログラム【実現のための方策】)

1 ビジネスチャンスをとらえた産業の創出

2 力強い農業経済活動の創出

3 正規雇用拡大等による雇用の質の向上

4 秋田港をいかした環日本海貿易の促進

戦略2 芸術文化・スポーツ・観光による都市の魅力向上

(戦略設定の背景)

市民がいきいきと暮らし、観光客等をひきつけ新しい人の流れをつくるためには、人々の心を揺さぶる感動やときめきに出会えるまちの魅力を創出していくことが必要です。

心にうるおいを与える優れた芸術・文化や熱い戦いが感動を呼ぶトップスポーツ、秋田の魅力を多彩な角度から伝える有形無形の観光資源は、人々の心を動かし、元気で魅力あふれる本市をアピールし、まちづくりを盛り上げる大きな力となります。

見る。聞く。触れる。味わう。薫る。五感を刺激する本市の魅力を芸術・文化、スポーツ、観光の視点から一体的に創りだし、国内外に情報発信していくことで、都市のイメージアップと交流人口の増加により、地域を活性化させることが求められています。

(戦略が目指すもの)

地域資源をいかした感動に出会えるまちづくり

交流人口増加による経済活動の活性化

(重点プログラム【実現のための方策】)

1 芸術・文化によるまちおこし

2 トップスポーツへの支援

3 観光振興とセールス・プロモーションの強化

戦略3 豊かな自然をいかした環境立市の確立

(戦略設定の背景)

本市は、豊かな自然・風土にはぐくまれた農山村文化と都市の利便性を兼ね備え、犯罪や大地震などのリスクも比較的少ない安全安心なまちといえます。近年は、本市の環境特性をいかした再生可能エネルギーの導入や市民のごみ減量意識の高まりも見られます。

一方で、私たちの生活を取り巻く環境は、地球温暖化や人口減少の進行などにより、今後、これまで以上に様々な制約の下におかれることになります。

こうした将来の環境制約を乗り越えて、豊かな暮らしを実現していくためには、市民や事業者の理解と協力が不可欠です。本市の特徴や強みを踏まえた暮らし方の将来像を市民と共有し、自然との関わりや資源の循環を基本とした様々な環境関連施策を展開することで、環境対策と経済活動の好循環を生み出し、地域の活性化に結びつけていくことが求められています。

(戦略が目指すもの)

地域の環境を愛する豊かな暮らし方の創造

環境関連技術を新たな活力にした地域活性化

(重点プログラム【実現のための方策】)

1 秋田らしい環境共生スタイルの発信

2 市・事業者・市民の協働による循環型社会の構築

3 新(省)エネルギー設備の導入拡大

4 環境関連産業の育成・創出

戦略4 子どもを生み育てやすい社会づくり

(戦略設定の背景)

子どもは、いつの時代も、一人ひとりがかけがえのない存在であり、「未来への希望」「社会の宝」ですが、今日、多くの自治体がそうであるように、本市も人口減少や少子高齢化など、都市の持続的な発展を妨げる大きな課題に直面しています。

その背景には、未婚化・晩婚化・晩産化に加え、仕事と子育てに対する不安感や負担感があります。こうした課題を取り除き、子育て家庭が、子育ての楽しさや喜びを実感できるようにすること、そして、本市で育った若者が郷土を愛し、地元で活躍できるようにすることが、今を生きる私たちの大きな責務です。

市民の子育てに対する希望を実現し、元気な秋田市を次の世代に引き継ぐことは、本市の成長の基盤となります。

就労、出会い、結婚、出産、そして子育てと、ライフステージに合わせた施策を切れ目なく展開し、子どもを生み育てやすい社会を構築していくことが求められています。

(戦略が目指すもの)

子どもを安心して生み育てやすい環境づくり

子どもが心豊かで健やかに育つ環境づくり

(重点プログラム【実現のための方策】)

1 支えあいによる子ども・子育て支援

2 子どもの安全安心の確保

3 若い世代の希望の実現

戦略5 いきいきと暮らせる健康長寿社会づくり

(戦略設定の背景)

市民の4人に1人が65歳以上の高齢者となっている本市にあって、超高齢社会をいかに豊かなものとし、次の世代に引き継いでいくかが課題となっています。

こうした中、市民一人ひとりが心豊かにいきいきと幸せに暮らすためには、健康寿命を伸ばしていくことが必要であり、元気な秋田市づくりの根本になるものです。

また、高齢者が支えられるだけではなく、社会の支え手としての役割を担い、活躍できる社会の実現に向け、引き続き「エイジフレンドリーシティ(高齢者にやさしい都市)の実現」に取り組んでいく必要があります。

高齢者や障がい者、子育て中の親や子どもなど、誰もが安全安心に暮らせる健康長寿社会をつくるため、社会基盤の整備、生涯を通じた健康づくり、地域コミュニティでの高齢者の活躍の場の創出など、様々な取組が求められています。

(戦略が目指すもの)

市民の幸せの基盤となる健康・長寿の実現

高齢者が輝ける地域社会の実現

(重点プログラム【実現のための方策】)

1 生涯を通じた健康づくりと生きがいづくりの推進

2 高齢者の多様な能力の活用

3 バリアフリー化の推進

4 高齢者の移動手段の確保

5 多様な生活支援サービスが利用できる地域づくりの推進

秋田市行政の基本構想

平成27年12月18日 議決

(平成27年12月18日施行)

体系情報
第1編 規/第2章 基本構想
沿革情報
平成27年12月18日 議決