○秋田市障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例

平成29年12月22日

条例第41号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 障がいを理由とする差別の解消

第1節 障がいのある人に対する差別の禁止等(第8条・第9条)

第2節 障がいを理由とする差別に対する相談体制(第10条―第13条)

第3節 秋田市障がい者差別解消調整委員会(第14条―第17条)

第3章 共生する社会の実現に向けた基本となる施策

第1節 理解の促進(第18条・第19条)

第2節 障がいのある人の情報の取得および意思疎通(第20条―第23条)

第3節 障がいのある人の自立および社会参加(第24条・第25条)

第4章 雑則(第26条)

附則

本市では、障がいの有無にかかわらず、安心して暮らせるよう、これまでも様々な施策を推進してきました。

しかしながら、障がいのある人は、障がいに対する周囲の理解不足や誤解、偏見により障がいを理由に不利益な取扱いを受けたり、障がいに対する配慮が十分でないことから、日常生活や社会生活の様々な場面において制限を受けたりすることがあります。

このような状況を踏まえ、障がいのある人が受ける制限を個人の問題としてではなく、市民一人ひとりの問題と捉え、市、事業者および市民が協力してこの問題に取り組んでいく必要があります。

市民一人ひとりが、障がいの有無によって分け隔てられることなく、誰もが人格と個性を尊重し、ともに支え合い、地域で安心して暮らしながら生きがいを持って参加することができる社会の実現を目指し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、障がいの有無によって分け隔てられることなく、市民一人ひとりが互いに人格および個性を尊重し、相互に理解を深め、支え合いながら暮らすことができる社会(以下「共生する社会」という。)の実現に向けて、基本理念を定め、市、事業者および市民の責務を明らかにするとともに、障がいを理由とする差別の解消および共生する社会の実現に向けた基本となる施策を総合的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がいおよび社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) 事業者 市内において商業その他の事業を行う者をいう。

(3) 社会的障壁 障がいがある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

(4) 不当な差別的取扱い 正当な理由なく、障がいのある人に対し不利益な取扱いをすることをいう。

(5) 合理的配慮 社会的障壁の除去に伴う負担が過重でない範囲内において、障がいのある人の権利利益を侵害することとならないよう、当該障がいのある人の性別、年齢および障がいの状態に応じて行う必要かつ適当な変更および調整をいう。

(6) 差別 不当な差別的取扱いおよび合理的配慮の不提供をいう。

(基本理念)

第3条 共生する社会の実現に向けた取組は、次に掲げる事項を基本として行わなければならない。

(1) 障がいがある人もない人も、等しく基本的人権を享有する個人として尊重されるものであること。

(2) 不当な差別的取扱いによって、障がいのある人の権利利益が侵害されないこと。

(3) 障がいのある人が住み慣れた地域において安心して暮らすことができるよう、合理的配慮の提供がなされること。

(4) 障がいのある人への支援は、障がいのある人の選択を尊重するとともに、障がいおよび障がいのある人に対する理解を深めることにより行うこと。

(5) 誰もが互いに意思を伝えあい、理解しあえるよう、言語(手話を含む。以下同じ。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。

(6) 障がいを理由とする差別の解消および共生する社会の実現に向けた基本となる施策の推進は、市、事業者、市民および関係機関が相互に連携して行うこと。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障がいおよび障がいのある人に対する事業者および市民の理解を深めるとともに、障がいを理由とする差別の解消および共生する社会の実現に向けて必要な施策を実施するものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、障がいおよび障がいのある人に対する理解を深め、市が実施する施策の推進に協力するとともに、障がいのある人に対し合理的配慮の提供をするよう努めるものとする。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、障がいおよび障がいのある人に対する理解を深めるとともに、市が実施する施策の推進に協力するよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第7条 市は、この条例の目的を達成するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第2章 障がいを理由とする差別の解消

第1節 障がいのある人に対する差別の禁止等

(不当な差別的取扱いの禁止)

第8条 市、事業者および市民は、不当な差別的取扱いをすることにより、障がいのある人の権利利益を侵害してはならない。

(合理的配慮の不提供の禁止等)

第9条 市は、その事務又は事業を行うに当たり、障がいのある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合は、合理的配慮の提供をしなければならない。

2 事業者は、その事業を行うに当たり、障がいのある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合は、合理的配慮の提供をするよう努めるものとする。

第2節 障がいを理由とする差別に対する相談体制

(相談)

第10条 障がいのある人、当該障がいのある人の家族その他の関係者(以下「障がいのある人等」という。)又は事業者は、市に対し、障がいを理由とする差別に関する相談をすることができるものとする。

2 市は、障がいのある人等又は事業者から前項に規定する相談を受けたときは、必要に応じて次に掲げる対応を行うものとする。

(1) 障がいのある人等および当該相談に係る事案(以下「相談事案」という。)の関係者への事実の確認

(2) 障がいのある人等および相談事案の関係者への相談事案の解決に必要な支援

(3) 関係行政機関との連絡調整

(4) 前3号に掲げるもののほか、障がいを理由とする差別を解消するために必要な対応

(助言又はあっせんの申立て)

第11条 前条第1項に規定する相談をした障がいのある人等又は事業者は、同条第2項の規定による対応が行われてもなお相談事案が解決されないときは、市長に対し、当該相談事案を解決するために必要な助言又はあっせんを行うべき旨の申立てをすることができる。ただし、当該障がいのある人の家族その他の関係者が助言又はあっせんを行うべき旨の申立てをしようとする場合において、当該申立てをすることが当該障がいのある人の意に反することが明らかであるときは、この限りでない。

2 前項の申立ては、行政不服審査法(平成26年法律第68号)その他の法令に基づく不服申立ての手続をすることができる行政庁の処分に対しては、することができない。

(助言又はあっせん)

第12条 市長は、前条第1項の申立てがあった場合は、調整委員会(第14条に規定する調整委員会をいう。以下この条において同じ。)に対し、助言又はあっせんを行うことの適否について審議を求めるものとする。

2 調整委員会は、前項の助言又はあっせんを行うことの適否を判断するために必要があると認めるときは、当該申立てに係る相談事案の関係者に対し、調整委員会への出席を求めて説明もしくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

3 市長は、調整委員会からの答申を受け、助言又はあっせんを行うことが適当であると認めたときは、当該申立てに係る相談事案の関係者に対し、助言又はあっせんを行うものとする。

(勧告)

第13条 市長は、前条第3項の規定により助言又はあっせんを行った場合において、障がいを理由とする差別を行ったと認められる者が、正当な理由なく当該助言又はあっせんに従わないときは、当該助言又はあっせんに従うよう勧告することができる。

第3節 秋田市障がい者差別解消調整委員会

(設置)

第14条 この条例の規定によりその権限に属させられた事項を処理するため、秋田市障がい者差別解消調整委員会(以下「調整委員会」という。)を置く。

(組織)

第15条 調整委員会は、委員12人以内をもって組織する。

2 委員は、次の各号のいずれかに該当する者のうちから、市長が委嘱する。

(1) 障がいのある人、当該障がいのある人の家族および当該障がいのある人を支援する者が組織する団体を代表する者

(2) 事業者

(3) 福祉、医療、雇用および教育に関する事業に従事する者

(4) 学識経験を有する者

(5) 前各号に掲げる者のほか、市長が適当と認める者

(委員の任期等)

第16条 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任は妨げない。

2 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(規則への委任)

第17条 この節に定めるもののほか、調整委員会の組織および運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第3章 共生する社会の実現に向けた基本となる施策

第1節 理解の促進

(啓発活動の推進)

第18条 市は、障がいおよび障がいのある人に対する事業者および市民の理解を深めるための広報その他の啓発活動を推進するものとする。

(交流の機会の確保等)

第19条 市は、障がいがある人もない人も相互に理解を深めることができるよう、交流の機会の確保等に努めるものとする。

第2節 障がいのある人の情報の取得および意思疎通

(情報の取得および意思疎通における支援)

第20条 市は、障がいのある人が容易に情報の取得および意思疎通をすることができるようにするため、必要な支援を行うものとする。

(障がいのある人に配慮した情報の提供)

第21条 市は、障がいのある人が情報を速やかに得ることができるよう、言語、文字の表示、筆記、点字、平易な表現その他の障がいの特性に配慮した手段等による情報の提供を行うよう努めるものとする。

(意思疎通の手段の普及)

第22条 市は、言語、文字の表示、筆記、点字、平易な表現その他の障がいの特性に応じた多様な意思疎通の手段の普及に努めるものとする。

(意思疎通の支援者の養成等)

第23条 市は、手話通訳その他の方法により障がいのある人の意思疎通を支援する者の養成および技術の向上のため、必要な支援に努めるものとする。

第3節 障がいのある人の自立および社会参加

(移動の手段への支援)

第24条 市は、障がいのある人の自立および社会参加の促進のため、障がいのある人が移動の手段を確保し、安全で快適に利用することができるよう、公共交通事業者その他の関係者の理解および協力を得るよう努めるものとする。

(就労および雇用への支援等)

第25条 市は、国、他の地方公共団体および関係機関と連携し、障がいのある人の就労が促進されるよう、障がいのある人が必要とする就労に係る相談を受け、および支援を行うものとする。

2 市は、国、他の地方公共団体および関係機関と連携し、事業者が障がいのある人の障がいの特性を理解し、障がいのある人の雇用の機会を広げるために必要な支援を行うものとする。

第4章 雑則

(委任)

第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成30年4月1日から施行する。

秋田市障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例

平成29年12月22日 条例第41号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
第9編 社会福祉/第5章 心身障害者福祉
沿革情報
平成29年12月22日 条例第41号