○秋田市中小企業振興基本条例

平成30年12月20日

条例第56号

本市は、恵まれた自然と高い都市機能を併せ持ち、明治22年の市制施行以来、県都として、さらには北日本および日本海沿岸地域の要となる都市として、産業、文化等の中心となり発展し続けてきた。この発展は、市内の事業所の多くを占める中小企業が、歴史と文化を育むまちづくりの担い手となり支えてきたものである。

しかしながら、人口減少や少子高齢化の進行による国内市場の縮小、国際化および情報化の進展による競争の激化等により、中小企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、これまで以上に積極的な事業活動が求められている。特に、小規模企業者においては、事業主の高齢化、後継者不足等により経営を維持することさえ困難な状況にある。

このような状況を踏まえ、本市は、中小企業の振興を市政の重要な政策の一つと位置付け、中小企業の創意工夫および自主的な努力を尊重しつつ、市、事業者、中小企業支援団体、大学等および市民等が一体となって中小企業の振興に向けた取組を推進することにより、中小企業の多様で活力ある成長発展および市民生活の更なる向上を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業の振興について、基本理念を定め、および市の責務等を明らかにするとともに、中小企業の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、中小企業の振興に関する施策を総合的に推進し、もって本市の経済の持続的な発展および市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者等 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者(第5号において「中小企業者」という。)および中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)第3条第1項に規定する中小企業団体、商店街振興組合その他これらに類する団体であって、市内に事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を有するものをいう。

(2) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事務所等を有するものをいう。

(3) 中小企業支援団体 商工会議所、商工会、中小企業団体中央会その他の中小企業に対する支援を行う団体であって、市内に事務所等を有するものをいう。

(4) 金融機関等 銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融に関する業務を行う事業者であって市内に本店、支店その他の営業所を有するものおよび信用保証協会をいう。

(5) 大企業者 中小企業者以外の事業者(会社および個人に限る。)であって、市内に事務所等を有するものをいう。

(6) 大学等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学および高等専門学校ならびに研究機関であって、市内に事務所等を有するものをいう。

(7) 市民等 次に掲げるものをいう。

 市内に住所を有する者

 市内に事務所等を有する個人および法人その他の団体

 市内に存する事務所等に勤務する者

 市内に存する学校に在学する者

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。

(1) 中小企業者等の経営の改善および向上を図るための創意工夫および自主的な取組が促進されること。

(2) 市、中小企業者等、中小企業支援団体、金融機関等、大企業者、大学等、市民等その他の中小企業の事業活動に関係のあるものの連携および協力の下に推進されること。

(3) 本市の地域資源を積極的に活用し、中小企業の多様で活力ある成長発展が図られること。

(4) 小規模企業者をはじめとする中小企業者等の事業活動に資する事業環境が整備され、中小企業の持続的な発展が図られること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、中小企業の振興に関する総合的な施策を策定し、および実施する責務を有する。

(中小企業者等の努力)

第5条 中小企業者等は、基本理念にのっとり、経済社会情勢の変化に対応してその事業の成長発展を図るため、自主的にその経営の改善および向上に努めるものとする。

2 中小企業者等は、基本理念にのっとり、地域における雇用の機会の創出および労働環境の整備に努めるとともに、その事業活動を通じて地域の振興に資するよう努めるものとする。

(中小企業支援団体等の役割)

第6条 中小企業支援団体は、基本理念にのっとり、その事業活動を通じて、中小企業者等が経営の改善および向上を図るために行う取組に対して積極的な支援に努めるものとする。

2 金融機関等は、基本理念にのっとり、中小企業者等の資金需要に対する適切な対応ならびに経営の改善および向上への協力に努めるものとする。

3 大企業者は、基本理念にのっとり、その事業活動における中小企業が果たす役割の重要性についての理解を深めるとともに、中小企業者等との連携および協力に努めるものとする。

4 大学等は、基本理念にのっとり、人材の育成に努めるとともに、中小企業者等との共同研究、中小企業者等の技術の向上を図るための支援、その研究成果の中小企業者等への移転その他必要な協力に努めるものとする。

(市民等の理解および協力)

第7条 市民等は、基本理念にのっとり、中小企業の振興が、地域の経済の活性化、雇用の機会の創出および市民生活の向上に寄与することについての理解を深めるとともに、中小企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。

(基本方針)

第8条 市は、次に掲げる事項を基本として、中小企業の振興に関する施策を講ずるものとする。

(1) 中小企業の経営基盤の強化を図ること。

(2) 中小企業の新たな市場の開拓等を図ること。

(3) 中小企業が供給する製品又は役務の価値の増加による競争力の強化を図ること。

(4) 中小企業の新たな事業の創出の促進を図ること。

(5) 地域の特性に応じた中小企業の事業活動の促進を図ること。

(6) 中小企業の事業活動を担う人材の育成および確保を図ること。

(7) 小規模企業者の自主的な取組が促進されるよう必要な支援を行うこと。

(指針)

第9条 市長は、中小企業の振興に関する施策の総合的な推進を図るため、中小企業の振興に関する指針(以下「指針」という。)を定めなければならない。

2 指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 中小企業の振興に関する施策の方向

(2) 前号に掲げるもののほか、中小企業の振興に関する施策を総合的に推進するために必要な事項

3 市長は、指針を定めようとするときは、あらかじめ、中小企業者等、中小企業支援団体および市民等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、秋田市中小企業振興推進会議の意見を聴かなければならない。

4 市長は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、指針の変更について準用する。

(中小企業振興推進会議)

第10条 中小企業の振興に関する事項を調査審議するため、秋田市中小企業振興推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。

2 推進会議は、委員10人以内をもって組織する。

3 委員は、市、中小企業者等、中小企業支援団体、金融機関等、大企業者、大学等、市民等その他の中小企業の事業活動に関係のあるもののうちから、市長が任命し、又は委嘱する。

4 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任は妨げない。

5 前各項に定めるもののほか、推進会議の組織および運営に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成31年2月1日から施行する。

秋田市中小企業振興基本条例

平成30年12月20日 条例第56号

(平成31年2月1日施行)