第1章 中核市制度について

1.中核市制度が誕生するまで

 地方分権の意義は、自分たちの暮らす街を、自分たちの手で創りあげて行くことを可能にすることである。したがって、市民生活に密接な関連を持つ事務は、市民の意見をストレートに反映できる市民に最も身近な行政機関である市町村が行うことが望ましい。中核市制度は、地方分権を求める世論の高まりのなかで生まれた制度であり、できる限り市民の身近で行政を行うことを意図した制度である。
 これまでの地方行政制度の枠組みのなかでは、都市は、その規模、能力、地域の状況などが様々に異なっているにも関わらず、その事務権限は、政令指定都市を除いては、全国一律に扱われてきた。こうしたなかで、規模の比較的大きな都市には、それにふさわしい事務権限を移譲し、地方分権の先駆者としての役割を託したのが中核市制度である。

「中核市制度スタートまでのあゆみ」

  • 平成元年7月   全国市長会が提言
     人口30万人程度以上の都市と都市機能の集積度や圏域における拠点性が高い都市に対し、現行の政令指定都市程度の事務配分を行うべきと提言した。
  • 平成元年12月20日 第二次行革審が答申
     地域の中核都市として、人口規模その他一定の条件を満たす市に対して、都市における各般の行政分野について地域行政に係る事務を中心に都道府県の事務権限を大幅に委譲すべきと答申した。
  • 平成5年4月19日 第23次地方制度調査会が答申
     中核市制度と広域連合制度の創設を答申した。
  • 平成6年6月22日 地方自治法改正案成立
     中核市制度の創設を含む改正案が成立し、同29日に公布された。
  • 平成7年4月1日 中核市制度スタート
     自治法改正部分のうち、中核市制度に関わる部分が施行された。
2. 中核市制度の概要

 中核市制度は、規模の比較的大きな都市の事務権限を強化する制度である。具体的には、都道府県が行っている事務のうち、市民生活に密接な関連のある事務を、都道府県から中核市に移譲し、中核市自らが実施する制度である。

(1)中核市の要件
 中核市になるためには、以下の要件を満たさなければならない。要件を満たしている都市は29市あり、そのうち平成9年4月までに17市がすでに中核市に移行している。

  1. 人口が30万人以上を有すること
  2. 面積が100km2以上を有すること
  3. 人口が50万人未満の場合にあっては、昼夜間人口比率が100を超える こと(地域での中核性を有すること)
  • 平成8年4月1日 12の中核市が誕生
     宇都宮市、富山市など12市が中核市に移行した。
  • 平成9年4月1日 秋田市が中核市へ移行
     秋田市、郡山市など5市が中核市に移行した。
  • 平成10年4月1日 中核市が計21市に
     高知市、宮崎市など4市が中核市に移行の予定。
中核市移行市及び候補市

(2)移行のメリット
 中核市移行の意義は、きめ細かな市民サービスを一層向上させることにあり、それを可能にする権限を市が新たに保有することにある。具体的には、以下の3点が主なメリットとしてあげられる。 申請から決定までの処理期間が短縮できる。
 これまで市で申請を受理し、県で決定するといった2段階で行っていた事務を市単独で処理できるようになるので、申請から決定までの期間が短縮される。 今まで以上に、一体的、総合的なサービスの提供が可能になる。
 これまで県と市で分担して行っていたサービスを市が行うことになるため、一 貫した体制のもとで総合的にきめ細かなサービスを提供することが可能になる。 市民ニーズを今まで以上に反映することが可能になる。
 市が自ら実施する事務が増えるため、許認可や規制をする際に、今まで以上に市民のニーズを反映して対応することが可能になる。

(3)移譲事務
 中核市は、これまで都道府県が行ってきた事務のうち、市民生活に密接な関連がある事務の移譲を受けて、実施するものである。移譲事務は都道府県から政令指定都市に移譲される事務に準じている。ただし、広域性を有する事務(例えば国道・県道の管理等)や都道府県において実施することが効率的な事務(例えば児童相談所の設置等)は除かれる。また、保健所を設置することが必要とされている。本市においては、県から2,275項目の事務について移譲を受けた。



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