第2章 はつらつとした産業活力都市


最終更新 1998.01.09


第1節 情報化の推進

現況と課題

 近年の情報処理技術および情報通信技術のめざましい発展に伴い、社会経済のあらゆる分野で情報化が急速に進展しつつあります。この技術進歩と並行して、社会全体のソフト化が進行し、生産活動の中心である「もの」に対する「情報」の相対的価値が急速に高まってきています。
 こうした社会生活における情報の重要性を踏まえ、市民のニーズに即した情報化を推進し、行政サービスの拡充など市民生活の向上をはかる必要があります。また、地域独自の情報を創造する情報発信機能も充実させることが重要となっています。
 このため、「秋田市地域情報化基本計画」に基づき、都市整備、産業振興、住民福祉、教育などのさまざまな分野において、「ひとにやさしい情報化」を推進します。
 また、情報化の進展と相まって、近年、ソフトウェア事業所の地方進出が積極的に行われてきたものの、このところ足踏み状態の傾向が続いています。しかし、潜在的な需要は年々拡大しつつあり、また、高速交通体系の整備に伴い首都圏と地方との時間距離が短縮しつつあることから、今後ますます事業所の地方展開が進むものと考えられます。
 ソフトウェア事業所の新規立地・操業は良好な経済波及効果が大いに期待されることから、積極的な誘致につとめるとともに既存事業所との共存共栄を誘導する必要があります。

主な施策

1 地域情報化の推進

(1) 情報通信基盤の整備促進
 各種メディアに対応した情報センター機能、情報通信拠点施設および各種情報通信網などの情報通信基盤の整備を促進することにより、まち全体の情報感度を高めるとともに、さまざまな情報サービスをすべての人が公平に、豊富に享受できる環境を整えます。
(2) 情報システムの構築
 新しい情報提供手段を活用して、暮らしに身近な情報を提供するとともに、都市環境、産業、福祉・保健医療、教育等の各分野において、だれもが親しみやすく、使って便利な情報システムを構築します。
(3) 行政事務情報化の推進
 行政事務の簡素化・効率化および行政サービスの向上をはかるため、OA機器の導入や通信ネットワークの整備など行政事務の情報化を推進します。
(4) 情報化教育・人材育成の推進
 情報化に関する学校教育、専門教育、生涯教育の拡充をはかるとともに、情報化に対応できる人材を育成します。

2 情報産業の振興

(1) 新規ソフトウェア事業所の誘致
 経済的波及効果の高い良好な新規ソフトウェア事業所を中心とした誘致をはかります。
(2) 既存ソフトウェア事業所の振興
 市内既存ソフトウェア事業所について、拡張等の設備投資を支援します。

用語解説

秋田市地域情報化基本計画
本市における情報化関連施策の基本的方向と到達目標を明確にし、急速に進展する情報化という社会環境の変化に的確に対応するとともに、この変化を本市発展の推進力とするため平成5年3月に策定した計画。本市における情報化関連施策の基本指針となるもの。

第2節 商業・サービス業の振興

現況と課題

 中小商業・サービス業を取り巻く環境は、回復実感のない景気状態の継続、郊外型大型店・ロードサイド店の相次ぐ出店と中心商店街の相対的衰退、情報化の進展、円高や価格破壊の進行、後継者難や経営者の高齢化、高速交通体系の整備等にともなう物流円滑化による地元流通業への影響懸念など、厳しさを増す傾向にあります。
 小売業では、平成6年の商業統計で、商店数の減少基調に対して従業者数と年間商品販売額の増加傾向がある一方、小売吸引力指数が減少傾向にあることから、時系列的には、店舗規模の相対的拡大傾向と近隣市町村に対する本市小売商業の相対的劣位傾向が伺われます。特に、中央街区商店街でのこうした傾向は、「まちの顔」喪失につながるだけに、まちづくりの観点も含めた早急な対応策の実施が必要となっています。
 卸売業については、同じく商業統計で、商店数、従業者数、年間商品販売額ともに従来の増加基調から一変し、平成3年比で減少に転じています。この傾向は、我が国の複雑な流通過程における卸売業の中抜き現象を背景としたものであり、今後、基本的に増幅されるとともに、隣県等からの新規参入促進要因となる高速交通体系の整備と相まって、市内卸売業に対する大きな影響が懸念されることから、その振興策が求められています。
 サービス業については、商店街にあるものに関しては小売業との一体的振興をはかるとともに、その他業種特性に応じた振興策の実施により市民ニーズへの適切な対応を誘導することが必要となります。

主な施策

1 商店街の活性化促進

 商店街の活性化については、「秋田市中小小売商業活性化ビジョン」に基づいた、商店街単位でのハード・ソフト両面からの各種事業の実施を支援します。
 また、商店街を超えた横断的単位での情報化事業等の実施に対しても、ハード・ソフト両面から支援します。 特に、中央街区商店街に関しては、地元商業者を中心に、大規模空閑公有地での開発促進の動きが見られることから、その動きを継続的に支援します。
 大規模小売店舗の新規出店等に関しては、まちづくり事業を踏まえた都市商業政策の観点から、法律に基づいた出店調整に対応します。

2 卸売業対策の充実

 卸売業については、商業における秋田県内での本市の中核性を確保するうえでの重要な業種であることから、高速交通体系の整備を踏まえた市内での新複合流通拠点整備事業を支援すると同時に、卸団地での商流センター構想の実現も支援します。

3 サービス業対策の充実

 小売商業者との共存・共栄で、商店街において営業する中小サービス業者に対しては、その一体的振興をはかるほか、設備投資型の中小サービス業者については金融面で支援します。


用語解説

小売吸引力指数
 商業人口の行政人口に対する割合を示す。1を超える場合、購買人口の市内への流入があることを示す。なお、商業人口とは、県民一人当りの年間小売販売額に対する市内年間小売販売額を示す。

第3節 貿易の振興

現況と課題

 秋田港は、日本海沿岸に位置する他の国内主要港に比べて、輸出を中心とした貿易実績では、水を空けられた状況にあります。
 それは、輸出製造業の立地状況や外貿定期コンテナ船が未就航だったことおよび貿易関連施設等の未整備状況と相まった、他の国内主要港への利用流出や県内企業の貿易への未参入等が原因と考えられます。対岸諸国の政治・経済改革にともなう我が国との経済交流が促進されつつある中で、地理的近接性を有効利用した秋田港での貿易の一層の促進が望まれます。
 現況では、秋田港を利用した貿易実績は、日本海沿岸主要港と比べても著しい輸入超過であり、具体的には、直近過去5年間の合計輸出・輸入額において、輸入が輸出の30倍以上となっています。
 今後は、港湾を活用する企業の立地をはかるとともに、外貿定期コンテナ船の就航や港湾整備等を一層促進し、県内外企業に対して秋田港の利用を働きかけ、対岸諸国を中心とした輸入はもとより、輸出の積極的促進につとめることが必要となっています。

主な施策

1 貿易の振興・促進

 日本貿易振興会秋田貿易情報センター(ジェトロ秋田)を中心とした貿易関連情報の収集・提供体制の利用促進をはかるとともに、各種セミナーや商談会・見本市、買い付けミッション等の開催・実施を支援します。
 また、対岸諸国を始めとした海外との人的・物的交流を促進する観点から、外貿定期コンテナ船、定期国際航空便等の就航を促進します。 特に、外貿定期コンテナ船については、県内・市内民間事業者によって秋田港国際化荷主協議会が設立されており、韓国の船会社による秋田港と釜山港との定期航路の開設により、ますますの進展が期待されるため、シンガポールや上海港等との定期コンテナ船の将来的な開設をも視野に入れながら、国内外の貿易関連企業に対する秋田港ポートセールスの実施などを、今後とも積極的に支援していきます。
 また、こうした実績を積み重ねながら、FAZ構想等による貿易関連施設や機能の充実を促進するとともに、秋田空港を活用した貿易の実施を関連企業に働きかけます。
 さらには、都市間における対岸経済交流への将来的布石とするため、姉妹都市や日ロ沿岸市長会等を通じた人的交流を促進します。


用語解説


第4節 工業の振興

現況と課題

 工業統計調査による製造品出荷額等の数値は、近年まで堅調な伸びを見せていましたが、ここ数年は頭打ち傾向にあります。このため、本市工業については、さらに積極的な振興が必要となります。
 企業誘致に関しては、秋田テクノポリス開発計画の中核となる秋田新都市や本市で整備を進めている西部工業団地への高付加価値型の企業や、空港や港湾などの運輸拠点の機能を活用できる企業の誘致も必要となってきています。また、飯島地区で操業予定の総合製紙会社の立地の促進をはかる必要があります。
 地元既存製造業の振興について、その体質強化を進め安定した事業展開を行うためには、適切な時期に適切な規模の設備投資を行うことが必要となりますが、これが比較的経営規模の小さな製造業者にとっては大きな負担であり、解決すべき課題のひとつとなっています。また、現状では、市内の住宅地等に点在する既存製造業者は、周辺環境との調和等から移転課題を抱えており、新規工業団地の開発により集団化等を計画的に誘導する必要があります。
 本市には優れた伝統工芸品が多数あるものの、事業規模が零細で家内労働に強く依存していることから、販路の拡大、情報の収集・発信、生産性の確保、後継者の育成等の面で憂慮される点が多く、今後はこれらの問題に対応した工芸品産業の振興が必要となります。

主な施策

1 秋田テクノポリス開発計画の推進

 美しい自然と豊かな資源を活かしたゆとりと潤いのある生活空間を創出するとともに、急速に進展する高速交通体系の整備や高度な研究開発機能を活用した高度技術産業集積圏を創造するなど、産学住を基礎としながらも遊びの機能にも配慮した独創的なテクノポリスの形成をめざします。

(1) 高度技術産業の集積
 研究開発型企業の育成と先端技術産業の圏域内への導入により、高度技術産業の集積を高めます。
(2) 学術研究情報機能の強化
秋田大学や高度技術研究所、総合食品研究所などの公設試験研究機関の高度研究機能の整備拡充を促進し、高度技術者を育成するとともに、産学官連携による研究開発を促進します。
 また、理工系学部を有する大学の誘致を働きかけ、優秀な人材の育成や研究開発型企業の集積などをめざします。
(3) 住空間の整備
 秋田空港の機能拡充や東北横断自動車道釜石秋田線、日本海沿岸東北自動車道等の高速交通体系の整備を促進するとともに、秋田新都市などにおいて産業を支援する都市機能、住機能の整備を促進します。
(4) レクリエーション施設等の整備
 若者を地域に定着させ、ゆとりと潤いのある生活を保持するため、公園・スポーツ施設や都市近郊リゾートなどレクリエーション施設等の整備を促進します。

2 新規企業の立地促進

 新規学卒者、Aターン者等の新たな雇用の場の創出をめざし、経済的、技術的波及効果の高い企業を中心とした立地促進をはかるため、情報収集等のもと誘致対象企業の訪問強化や商工業振興条例の適切な運用による財政・税制面からの立地促進等をはかるなど、効率的かつ積極的な企業誘致活動を推進します。また、本市が整備する工業団地に立地しようとする誘致企業および地元企業で、取得面積の大きさから既存の施策が利用できない場合に対応できる新たな融資制度の創設につとめ、企業誘致等を促進していきます。
 さらに、空港や港湾などの運輸拠点の機能を活用できる企業の誘致も進めていきます。

3 新規工業団地の開発

 新規立地企業および市内既存企業の移転等の需要に適切に対応するため、新規工業団地の開発につとめます。

4 既存企業の振興

 中小製造業の設備投資を促進する融資制度により、その体質強化と事業拡大を支援します。
 また、良好な雇用の場の確保および市内製造品出荷額等の増加をはかる観点から、向浜地区で操業している製紙会社や西部臨空港工業団地で操業している電子機器メーカー等の生産能力増強投資を適切に誘導するなど、高度化・多様化する企業ニーズに適切に対応した施策の展開をはかります。
 さらに、市内の企業が、技術の高度化や受発注機会の拡大をめざし、異業種を含む企業間の交流を行い、共通する課題について広く話合うことができる場の形成につとめます。

5 起業家の育成と新分野の開発

 本市製造業の技術革新を進め、優秀な人材を確保するため、新たに会社を起こし、これまでにない新しい製品を開発しようとする市内外の優秀な人材に対し、本市での開業を呼びかけるとともに、支援することの検討を行います。
 また、同様に、地元製造業者が全く新しい分野の事業を開発していくことを支援することも検討し、本市製造業の活性化をめざします。

6 伝統工芸の育成

 販路の拡大やPR効果の高い各種展示会への参加を促進する一方、生産性向上のための分業化や機械化の促進、後継者育成のための秋田公立美術工芸短期大学、附属高等学院との連携強化、技術やデザインに関する講習会への参加誘導をはかります。また、経営基盤の強化および共通課題解決をめざした組織化の促進など、業界全体の育成強化をはかります。


用語解説

秋田テクノポリス開発計画
テクノポリス法に基づいて、秋田市、河辺町、雄和町の1市2町約9万haを圏域とし、地域の特性、豊かな資源を生かしながら高度技術産業と学術研究機能の集積を軸に、活力ある地域社会の形成をはかる計画。
研究開発型企業
製造品出荷額に対する研究開発費の割合が高い企業であり、企業内で研究開発、技術開発に携わる部門を有する企業。
先端技術産業
時代の最先端技術を駆使し、精密機械等を製作、製造する企業群。(例:超LSI、光ファイバー、バイオテクノロジー、超伝導等)
高度技術産業
高度な技術力を持つ、または高度技術を活用して製品を生産している企業群。
Aターン者
Uターン、Jターン、Iターンを含め、県外から秋田に就職してきた者。

第5節 中小企業の経営基盤強化

現況と課題

 平成3年の事業所統計調査によれば、本市における中小企業の割合は、全事業所数の98.5%を占めており、本市経済の活力の源泉を担っています。
 一般的に中小企業は、経営基盤が弱く、人材面、経営面、資金調達面、情報収集面等で脆弱性を内包していることから、そうした面でのハンディの克服を支援することが必要となっています。
 昨今における中小企業を取り巻く環境は、厳しい景況に加え、円高の進行や旧東欧諸国の世界的市場競争への参入および東アジア地域の急速な経済成長等を背景としたメガコンペティション(大競争時代)への移行、企業の海外進出等にともなう産業空洞化の進展、既存産業の成熟化など、構造的な変化のさなかにあり、一段と厳しさを増しつつあります。
 こうした時代にあって、中小企業が持ち前の機動力とバイタリティ等を十分に発揮し、現在の構造変化の潮流を乗り越え、創造性と起業性に富んだ経営を続けることができるよう、その自主的努力を側面から積極的に支援していくことが必要です。

主な施策

1 経営の合理化・健全化促進

 中小企業の経営の合理化・健全化を促進するため、リストラクチャリング(事業の再構築)等の実施を支援するとともに、組織化をはかり、近代化事業の実施や共同工場・共同店舗の設置、既存地域での問題など発生地域からの計画的集団移転やその他集団化を適切に誘導します。
 また、経営体質の改善・強化に資するため、国・県の診断指導機関との連携のもと、経営指導・診断を実施するほか、国・県等からの関連情報の適宜提供や各種制度に関する利用方法の指導・紹介等につとめます。

2 金融対策の実施

 中小企業の自助努力を金融面から側面的に支援するため、信用保証協会や金融機関の協力を得て、市独自の長期・低利制度資金の融資あっせんを行うとともに、政府系中小企業金融機関の有効利用と地元金融機関の協調融資体制の確立を誘導します。
 また、中小企業の資金ニーズを的確に把握し、市融資制度の充実強化につとめます。

3 中小企業関連団体の育成強化

 中小企業指導団体である商工会議所や中小企業団体中央会の充実強化を促進し、商工業活動の活性化をはかります。


用語解説


第6節 労政および若者定住対策の推進

現況と課題

 本市の雇用情勢は、厳しい状況が続いており、雇用の安定と新たな雇用の場の創出が急務となっています。また、中高年齢者や障害者の雇用機会の拡大も課題のひとつとなっています。
 こういった状況のもとでの若者の定住対策は、本市の活性化をはかるうえで重要な要素であり、若者が定着できる環境をハード・ソフト両面から整備し、魅力あるまちづくりを行うとともに、各種施策の充実により定着を促進する必要があります。
 中小企業の労働条件は、労働時間の短縮や週休2日制の採用など徐々に改善されつつありますが、若者の地元定着や雇用の安定をはかるうえからも引続き改善が必要です。
 また、労働者の福祉向上のための各種保険制度や退職金制度への加入については、事業所の規模・業種などにより格差がみられますが、全ての労働者が安心して働き、豊かな生活を送ることができるよう、制度の充実や加入促進をはかることが必要です。
 さらに、技能労働者の資質向上と離転職者の技術習得のための職業訓練の充実や、女性の社会進出意欲の高まりの中で、女性の地位向上および育児休業や介護休業制度の活用等働くための環境整備などが重要となっています。

主な施策

1 雇用対策の促進

(1) 雇用安定と労働力確保対策の促進
 魅力ある企業の誘致と地場産業の育成による雇用の場の確保と並行し、雇用安定資金融資制度の充実等により雇用の安定をはかります。また、関係機関との連携をはかりながら、新規学卒者、Aターン者、パートタイマー等の求人・求職情報の効果的な収集提供を行うとともに、労働時間の短縮や週休2日制の採用等労働条件の改善を働きかけ、安定した労働力の確保をはかります。
(2) 中高年齢者等の雇用機会の拡充
 事業所に対し各種助成・給付制度の活用による中高年齢者や障害者の積極的な採用を働きかけるとともに、シルバー人材センターの充実強化をはかります。

2 労働福祉対策の充実

(1) 労働者の福祉向上
 労働者の福祉向上をはかるため、市内中小企業の雇用の安定と健全な職場環境づくりを目的とした勤労者共済会への加入促進につとめます。また、労働福祉団体との連携を密にし、その諸活動を継続的に助成するとともに、事業者に対し、中小企業退職金制度への加入や労働安全衛生・労働災害防止対策の充実を積極的に働きかけます。
(2) 働く女性の地位向上
 働く女性の地位向上と福祉増進のため、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法等の周知徹底をはかるとともに、関係機関と連携をとりながら各種の相談および指導を行います。
(3) 勤労者福祉施設の充実
 雇用促進住宅や秋田テルサをはじめとする勤労者福祉施設を充実します。

3 若者の定住促進

(1) 雇用の場の確保
若者の定住を進めるためには、若者の働く場の確保が必要となり、既存の事業所の雇用の安定と拡大を働きかけていくとともに、男子雇用型企業を含む優良企業の誘致を進め、新しい雇用の場の創出を促進します。
 また、雇用情報の提供については、高校卒業予定者に適切な就職情報を提供し、就職指導の徹底をはかるとともに、求人の早期確保により若年層の地元定着を促進します。
(2) 労働条件の改善と福利厚生
 労働時間の短縮や週休2日制の採用など労働条件の改善を積極的に働きかけることにより、労働条件の改善をはかります。また、勤労者共済会への加入促進などにより、市内中小企業の福利厚生の充実をはかることにより、ゆとりのある生活の実現と魅力ある職場づくりを進め、若者の定住促進につとめます。

4 職業能力開発の促進

 中高年齢者をはじめとした勤労者の技術習得を促進するため、就業援助講座を開設するとともに、技能者の資質向上を目的として、職業訓練センターの活用や技能功労者等の表彰を行うなど、職業能力開発を促進します。


用語解説

シルバー人材センター
高年齢者が補助的、短期間的就労を通じて自己の労働能力を活用し、自らの生きがいの充実をはかるとともに、活力ある地域社会づくりに寄与するため、会員に適した仕事を発掘、確保し、就労機会の拡大につとめる組織。
勤労者共済会
中小企業、特に小規模事業所に働く人のため、個々の事業所に代わって各種の福利厚生事業を行い、勤労者が楽しく安心して働ける環境づくりを支援する組織。
秋田テルサ
勤労者の健康増進と文化交流のための設備を備え、さらに、職業情報の提供も行うなど、勤労者の新たなライフスタイルの創造に寄与する施設。

第7節 消費者対策および生鮮流通システムの整備

現況と課題

 生活環境や社会状況の変化にともない、消費者の価値観が多様化しています。このため、悪質商法、クレジットに関する問題、食品の安全確保など、消費者をめぐる様々な問題もあり、正しい消費者知識に基づいた、賢く考え、自立する消費者となるための施策が必要となります。
 中央卸売市場を取り巻く環境は、産地の大型化、専門小売店の減少と量販店や外食産業の伸長、さらに流通の情報化、国際化などを背景とする場外流通の増加や市場間競争の激化などがあり、厳しい状況となっています。一方、消費者からは、生鮮食料品等に対する広範囲な種類の提供とともに、便利さ、安全性、さらには低価格化が求められています。
 このような流通環境の変化に対応するため、生鮮食料品等情報システムの確立、低温売場の整備、ならびに物流コスト削減をはかるための共同配送センターの整備など、荷物の搬入から搬出までの総合的な流通システムを確立する必要があります。

主な施策

1 消費者対策の推進

(1) 物価対策
 消費者モニターなどにより、生活物資の出回り状況、販売価格の表示および小売価格の実態を調査し、適切な販売を促進し物価の安定化につとめます。特に生鮮食料品については、標準小売価格制度の内容を検討し、消費者の利用効果を高めます。
(2) 消費者意識の啓発
 消費生活に関する情報を提供し、消費者意識の啓発をはかるほか、消費者保護対策協議会の意見等に基づき消費者保護につとめます。また、食品の安全確保のため、保健所をはじめ関係機関が行う監視・指導および検査機能の充実・強化を働きかけます。
(3) 省資源・省エネルギーの推進
 省資源・省エネルギーの意識の啓発につとめ、生活用品交換案内サービス等による資源の有効活用、再利用をはかります。
(4) 消費者団体の育成
消費者団体の活動に対して援助と指導を行います。
(5) 消費者相談体制の充実
 消費者の相談窓口の充実をはかり、関係機関との情報ネットワーク化を進めます。
(6) 計量検査の充実
 適正な計量が確保されるため、計量器の定期・立入検査などを通じて、正しい計量器の使用を促進します。

2 中央卸売市場の整備

 卸売市場機能の向上をはかるため、市場施設の整備とともに、生鮮食料品等の安定供給と取引の適正化につとめ、総合卸売市場としての機能を高めます。また、市場周辺道路網の整備促進を関係機関に働きかけます。


用語解説


第8節 観光・コンベンションの振興

現況と課題

 観光事業を取り巻く環境は、ニーズの多様化・高度化、余暇時間の増大、アウトドア志向・温泉ブーム等があり、ますます業況が盛んになりつつあります。
 一方、海外旅行費用の低廉化や高速交通体系のネットワーク化の進展など、国内外を含めた他地域との競争激化が進んできています。このため、利用者ニーズに配慮した新たな観光資源の開発や既存施設の計画的な整備、PR活動の一層の充実等につとめることにより、本市を観光コースの通過点ではなく、目的地として位置づけさせることが必要となっています。
 コンベンションについては、市内での開催によって、経済・文化・社会面等での各種波及効果にともなう地域の活性化が期待されることから、平成元年度、官民共同でコンベンションビューロー秋田(CBA)を設立し、各種コンベンションの市内での開催誘致や各種支援を行ってきました。
 また、平成6年度からは、国際会議観光都市としての認定を受けており、今後は、国際会議を含めた各種コンベンションの開催が期待されています。しかし、コンベンション誘致活動にあっても、他地域との競争が年々激化しつつあることから、今後は地域色を打ち出すなど、他地域との差別化をはかるとともに、アフターコンベンションとしての観光とのこれまで以上の密接連携をはかることが必要となっています。

主な施策

1 観光施設の整備充実

 秋田港周辺地区、大森山動物園等の既存観光施設の計画的整備充実をはかります。 また、観光資源の周知徹底をはかる観点から、観光案内表示や駅観光案内所の充実をはかるとともに、観光施設のルート化や、滞在型観光を視野に入れた新規観光資源の開発などについて研究します。

2 伝統行事等の保存育成

 竿燈まつりや土崎港まつり、梵天まつり等の伝統行事などの保存育成につとめます。

3 特産品の販路拡大

 観光物産展等を通して、工芸品や民芸品、加工食品等の販路を拡大します。

4 誘客宣伝の促進および受入れ体制の整備

 広域にわたった本市の観光宣伝と観光客誘致をはかるため、観光キャンペーンや観光物産展等を充実します。
 また、観光客に対するサービス向上をはかるため、観光関係従事者を対象とした接遇研修会等を実施するとともに、ボランティアによる観光案内人制度等受入れ体制の整備充実につとめます。

5 コンベンション活動の促進

 国際コンベンションはもとより、全国レベル、東北レベルなどの各種コンベンションを積極的に誘致するとともに、アフターコンベンションの一環として観光を明確に位置づけ、コンベンションとの一体的実施を促進・支援します。
 また、コンベンション関連施設の整備についても、継続的に検討します。


用語解説


第9節 農林水産業の振興

現況と課題

 農業については、稲作を基幹作物としながら、都市近郊という立地条件のもとで、野菜、花き等の作目への取組みが進んできています。しかし、「ガット・ウルグアイラウンド農業合意」にともなう新たな国際環境や新食糧法に対応するため、農業経営基盤の強化と、複合化を早急に推進する必要があります。また、産地形成、消費拡大等をはかるためにも生産体制の整備、高度技術利用等により質・量を確保するとともに、低コストで生産性の高い都市近郊型農業の確立を推進し、農家経営の安定向上をはかる必要があります。
 農業の担い手については、高齢化と減少が同時に進行しているため、認定農業者制度の活用や地域農業集団の組織化を推進し、労働、生活環境等を整備する必要があります。
 生産基盤については、農業以外の土地需要が増大していますが、優良農用地を確保するため秩序ある土地利用を進めるほか、ほ場の大区画化、汎用化、農道および用排水路の整備を進め、転作田の有効利用、園芸施設等の導入により農地の高度利用をはかる必要があります。
 農業集落の環境については、上・下水道、道路のほか各種施設・設備等の整備が立ち遅れているため、今後、農村的景観を生かした整備を計画的に進める必要があります。
 沿岸漁業については、下浜から飯島までの地先海岸を漁場として、ガザミ、サケ、カレイ等を主に漁獲していますが、近年漁獲量の伸び悩みが見られることから、栽培漁業の定着強化、漁業生産基盤の整備拡充などをはかる必要があります。内水面については、ため池の利用によるペリヤジの放流・育成・生産を推進しているほか、河川については各種稚魚等の放流を行っていますが、今後も環境整備につとめながら、地域に密着した内水面の活用をはかる必要があります。
 林業については、本市の森林面積が平成7年3月現在で、27,294haあり、市域の約59%を占めています。そのなかで、国有林を除いた民有林面積は、19,653haで木材関連産業や緑の豊かな生活環境などに大切な役割を果しています。
 民有林の中で、公共団体が経営している公有林は比較的高度な林業経営ですが、私有林は一般的に所有規模が零細で、造林や資源の蓄積などがやや劣っています。
 このような現状のもとで本市の林業振興の基本的考え方としては、土地の生産性を高めて林家の所得を向上させるため、造林の推進や、林道・作業道の開設による生産基盤の整備とあわせ、生産から流通にわたる林業構造の改善を促進する必要があります。

主な施策

1 農業構造対策の推進

(1) 担い手育成
 本市農業の主体となる就業者を育成するため、認定農業者や後継者の育成確保につとめ、新規就農者や農村女性、高齢者を含めた多様な担い手の支援体制の整備を進めます。
 また、農業経営基盤強化促進法に基づく農地の流動化施策により、農家の経営基盤強化につとめるとともに、集団組織の育成をはかりながら法人化を進めます。
(2) 生産基盤の整備
1 かんがい排水路の整備
 主要用排水路の整備を行い、用水の確保と湛水被害の防止につとめます。
2 農道の整備
 既設農道の拡幅や舗装を行うとともに、広域的な生産物等の搬送に資するため、秋田県中央地区広域営農団地農道の早期完成をはかります。
3 ほ場の整備
 大区画化、用排水路、暗きょ排水等の整備を行い、水田の汎用化を促進します。
4 老朽ため池等の整備
 安定的水利用と国土保全をはかるため、老朽ため池等の整備を行います。
5 農用地等の造成整備
 土地の有効利用をはかるため、未利用地の農用地化、低位生産農用地等の整備を促進します。
(3) 農業集落の環境整備
 生活環境の地域間格差をなくし、活力ある地域づくりを進めるため、農業集落の飲料水、下水道、道路、各種施設設備等の生活環境の整備を進めます。

2 生産・流通対策の充実

(1) 生産振興
1 土地利用型農業の活性化対策
 中核的農家を核として、経営規模拡大や地域単位での組織化を進め、転作を含めた効率的な水田利用体系を確立するため、地域内の話合いを促進し、機械・施設の整備により、低コストで高品質な生産につとめます。
2 園芸作物の振興
 野菜、花き、果樹などの生産性向上のため、先端技術や省力化機械の導入等を通じた多様な生産者の育成により、施設型農業を推進し、産地づくりにつとめます。
3 畜産の振興
 安全で高品質な畜産物を計画的かつ低コストで生産するため、家畜の改良増殖・自給飼料の生産利用促進、飼養管理技術の改善・向上、家畜衛生、環境の保全などをはかります。
4 水産の振興
 ガザミ、クルマエビの中間育成をはじめとする各種稚魚の放流により、栽培漁業の定着化をはかるとともに、生産組織の育成指導による溜池を利用したペリヤジの生産を促進します。
(2) 流通対策
1 米の流通対策
 「あきたこまち」などの秋田米の円滑な流通と、新食糧法のもと、消費者ニーズに対応した消費拡大方策や有機米供給等の流通対策を進めます。
2 園芸作物の流通対策
 野菜、果樹、花きの市場における評価向上のため、市場調査や出荷奨励による共選・共販体制を整備するとともに、多様な流通ルートの開拓をはかり、地場産品の安定供給につとめます。
3 畜産物の流通対策
 優良畜産物の広域的、計画的な共同出荷体制を整備し、宣伝活動を強化しながら、市場性の向上、銘柄化等による産地形成をはかります。
4 水産物の流通対策
 市場流通や、生鮮魚介類の直売施設を活用した多様な流通ルートの確保につとめます。

3 農業振興施策の円滑化対策の推進

(1) 農用地等の保全
 優良農用地を確保するため、農業振興地域内における農用地の用途区分に基づいて土地利用の合理化をはかります。
(2) 市民の農業に対する意識の向上
 生産者と消費者との連携強化、農業体験等により市民の農業へのふれあいを推進し、農業および農業振興への理解を一層得られるようにつとめます。
(3) 農業団体の育成
 農業施策の一元化と指導体制の強化をはかり、農協合併等により農業団体の効率的な運営を促進します。
(4) 農業資金対策
 農業経営安定のため、各種資金の適正な運用と効率的な融資につとめます。
(5) 農業情報システムの構築
 農業について、種々の情報を効率的に収集・提供するシステムを構築します。
(6) 災害対策
 農畜産物、農地、各種農村漁業用施設等について、災害の未然防止および発生後の的確な対応につとめます。
(7) 水産物生産基盤の整備
 人工魚礁による漁場の造成を行うとともに、多角的な水産業振興のため、レクリエーションの場と有機的に結び付いた漁港等の各種漁業施設の整備を検討します。

4 民有林の経営充実

(1) 造林の推進
 広葉樹資源の育成活用をはかるとともに、適地適木による造林を進めます。
(2) 優良林の育成
 枝打、除間伐等の保育事業を促進するため、機械による省力化などを通じて優良林の育成につとめます。
(3) 入会林野の整備
 入会林野等に係る権利関係の明確化、近代化をはかりながら土地の高度利用を推進します。
(4) 林道・作業道の開設、改良、舗装
 林業の生産性向上のため、林道・作業道などの生産基盤整備を積極的に実施します。
(5) 特用林産物の奨励
 特用林産物の栽培を奨励します。
(6) 治山事業の実施
 山地保全のため、治山局所防災事業を実施します。
(7) 林業団体の育成強化
 秋田市森林組合に対して、経営の充実をはかるため造林、保育等の市有林事業の委託を行うとともに、林業労働者の確保、支援につとめます。
 また、生産森林組合などの団体に経営の充実を指導するほか、造林技術の講習会の実施を推進します。
 さらに、林業の後継者グループに対しても、積極的に指導援助を行います。
(8) 森林病害虫と鳥獣保護
 近年、急激な増加をみせている松くい虫被害について拡大を防ぐため防除を実施します。鳥獣については、保護区や休猟区あるいは禁止区域を設定し、保護繁殖につとめるとともに、人畜農作物、林木等の被害や危険の予防をはかるため、適正な駆除により農林業の振興と生活環境の保全につとめます。
(9) 林業構造改善事業の実施
 組織化を推進し、合理的な森林施業の定着と地域林業の形成をはかるため、啓蒙普及や生産基盤および森林活用施設等の整備を進めます。
(10) 自然愛護と愛林意識の高揚
 大滝山自然公園、浜田森林総合公園、森林学習館、仁別国民の森等の市民利用を促進し、愛林意識の高揚をはかります。

5 市有林の経営

 長期経営計画に基づき、造林を継続するとともに、保育作業を重点的に行い民有林の指標となる優良林の育成につとめます。
 さらに、市営分収造林、福祉造林「誕生の森」を継続実施します。


用語解説

林家
所有山林または所有山林以外の保有林が1反(0.1ha)以上の世帯
特用林産物
元来森林原野の産物であって、木材(一般用材)以外のものを行政上特用林産物と称する。具体的には、きのこ、薪炭、樹実、竹、山菜、薬用植物、森林動物等極めて多種類のものがある。
分収造林
秋田市が土地所有者から土地を借り受けて造林し、そこから得られる林産物の収穫を互いに協定した歩合で分配する契約の山林。
福祉造林「誕生の森」
赤ちゃんの誕生を祝ってスギを植樹し、健やかな成長を祈りながら将来の伐採収益金を老人福祉の財源としようとする施策のひとつ。昭和43年から市の直営事業として、77.3ha、 287,550本を実施した。

おことわり

  1. 第8次秋田市総合計画は、平成8年3月に作成され、公刊されたものです。従って、計画中の数値等は当時のままになっています。HTML化するにあたり、用語解説、他サイトへのリンク等についてのみ更新・追加を行いました。
  2. 印刷物としての第8次秋田市総合計画は、市内の図書館、市役所の市民談話室でご覧になれるほか、ご希望の方は、市役所地下1階の売店でお買い求めになることができます(売価3,000円)。

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