第3章 やすらぎの健康福祉都市


第1節 市民福祉の充実

現況と課題

 少子・高齢社会が進展する中、市民が生涯にわたって健康で安心して暮らし続けることができるよう、保健福祉サービスをはじめとする社会環境を整えていくことが重要となっています。このため、市民ニーズを踏まえて、具体的施策の内容と今後の方向を示した秋田市保健福祉長期計画「けやきのまちのしあわせプラン」を平成6年に策定しました。今後は、このプランを着実に推進するとともに、市民がお互いに支え合い、助け合う、愛情とやさしさのある市民参加の福祉のまちづくりを進める必要があります。
 高齢者の福祉については、住みなれた地域で安心して暮らせるよう、保健・医療・福祉の連携をはかりながら、在宅サービスとともに、施設サービスをさらに充実していく必要があります。また、高齢者の生きがいづくりにつとめることも重要です。
 児童の福祉については、保育所等への入所児童が増えているため、今後とも児童福祉施設の整備やサービスの拡充、相談業務の充実をはかる必要があります。
 心身障害児(者)の福祉については、障害者の高齢化、障害の重度・重複化が進んでいる中で、在宅福祉を推進し、障害者の自立と社会参加の促進をはかっていく必要があります。
 生活保護については、高齢者保護世帯が急増するとともに、それらの世帯のかかえる問題も複雑かつ多様化しています。このため、引続き被保護世帯の実態把握と自立更生の促進につとめる必要があります。
 母子・父子家庭の福祉については、母子・父子家庭とも増加傾向にあるため、生活相談業務の充実や自立の促進をはかるとともに、雇用の場を確保する必要があります。
 国民健康保険については、高齢者が増えることで、医療費の負担が増加していく中、安心して医療が受けられるよう、健全な運営につとめることが必要です。
 国民年金については、活力ある長寿社会をめざして、高齢社会にふさわしい制度の構築につとめるとともに、老後の生活基盤としての役割を果すことができるよう、今後とも、制度の安定的運営をはかることが課題となっています。

主な施策

1 市民福祉の充実

(1) けやきのまちのしあわせプランの推進
 「けやきのまちのしあわせプラン」を着実に推進し、各種保健福祉サービスの充実をはかります。また、このプランについては、市民のニーズや社会環境の変化に対応しながら、さらに充実をはかっていきます。
(2) 高齢者福祉の充実
1 在宅サービスについては、ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス、高齢者住宅リフォーム事業などの充実をはかるとともに、その提供の方法について、ニーズに効果的かつ効率的に対応できるようにつとめます。また、在宅介護支援センターを拡充し、機能の充実強化をはかります。
2 施設サービスについては、必要なサービスの提供が受けられるよう、特別養護老人ホームやケアハウス等の施設整備につとめます。また、施設の複合化や合築を行うことにより、施設の有効活用をはかります。
3 高齢者の在宅生活を総合的に支援するために、保健・医療・福祉関係者および地域住民が連携をはかり、必要なサービス提供・調整を行う「ヒューマンケア・ネットワークシステム」を推進します。
4 (仮称)中央地区老人福祉総合エリアの整備については、保健・医療・福祉・居住・社会参加などのサービスを総合的に提供できるよう推進していきます。また、各施設の十分な連携をはかり、他施設のモデルとなるような運営につとめます。
5 生きがいと健康づくりについては、老人福祉センターなどの既存の各種施設の活用や老人クラブ活動の推進等により、高齢者が健康で生きがいを持って過ごせるような環境づくりにつとめます。
(3) 児童福祉の充実
1 児童福祉施設については、要保護・要保育児童数の推移等を見極めながら、社会福祉法人に必要な指導と助成を行います。
2 保育所については、利用しやすい保育所をめざし、保育需要の多様化に対応する保育所地域活動や障害児保育などの特別保育事業を推進します。B児童の養育等の相談に対処するため、家庭相談機能を充実し、児童の健全育成をはかります。
(4) 心身障害児(者)福祉の充実
1 在宅サービスについては、ホームヘルプ、ガイドヘルプ、デイサービス、ショートステイなどの各種施策をニーズに応じてきめ細かく実施します。また、デイサービスセンター、通所施設などもあわせて整備するとともに施設機能も十分活用することにより、在宅福祉の拡充をはかります。
2 心身障害児(者)が住みなれた地域社会のなかで自立した生活ができるよう、福祉的就業の場と住環境の整備を進め、社会参加を促進します。また、心身障害児(者)に関する市民の意識啓発をはかるほか、各種行事やスポーツ大会などを積極的に開催するとともに支援を行います。
(5) 被保護世帯の福祉の充実
 保健福祉サービスの活用等諸制度・諸施策の効率的な活用をはかりながら、被保護世帯の自立助長を支援します。
(6) 母子・父子家庭福祉の充実
1 母子家庭については、助成措置を継続し、さらに相談・就労指導体制を強化し、生活の安定や自立の促進をはかります。
2 父子家庭については、相談体制の確立をはかるとともに、家事援助員派遣等を実施して家庭環境の向上をはかります。
3 母子・父子家庭に対する医療費助成制度を継続します。
(7) 地域福祉の推進
1 市民ひとりひとりがボランティア活動に積極的に参加できるように、ボランティアセンターを中心に支援を行います。
2 地域において様々な人々が交流し、助け合う地域づくりを推進するため、各地域で活動している民生・児童委員や社会福祉協議会などとの連携を強化します。
3 民間団体が在宅福祉の向上等のために行う自主的な取り組みを積極的に支援します。

2 社会保障の充実

 国民健康保険については、加入者の疾病予防や健康管理のための保健事業の充実につとめます。
 国民年金については、制度への理解をはかりながら被保険者の適用推進と保険料収納の向上に取組み、年金の受給権確保につとめます。


用語解説

けやきのまちのしあわせプラン
高齢者、児童、障害者等の保健福祉施策について、平成12年までに整備すべきサービスの量やサービスのあり方といった今後の方向を示した計画。
ホームヘルプサービス
おおむね65歳以上の寝たきりやひとり暮らしの高齢者などで、家族が介護を行うことが困難な場合に、居宅に訪問し、家事の援助や介護を行う事業。
ショートステイ
在宅の寝たきり老人などを冠婚葬祭などで家族が一時的に介護できなくなった場合、特別養護老人ホームなどに短期間預かる事業。
デイサービス
 在宅の寝たきりや虚弱老人などを施設まで送迎または居宅に訪問して日帰りで介護サービスを行う事業。
在宅介護支援センター
寝たきり老人などの介護で苦労している家族に対して、24時間体制で相談や福祉サービスの援助を行う施設。
特別養護老人ホーム
在宅の寝たきり老人などで常時介護が必要であるが、家庭で介護を受けることが困難な場合に入所する施設。
ケアハウス
身体機能の低下等が認められまたは高齢等のため、独立して生活するには不安が認められる者で、家族による援助を受けることが困難な者が低額な料金で利用できる施設。
老人福祉総合エリア
秋田市の御所野地区に整備される高齢者のための総合的・複合的機能を持つ施設群。特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、在宅介護センター、ケアハウス等のほか、高齢者の生きがいづくりのための施設等を持つ。
秋田市老人福祉センター
老人福祉センター機能、総合相談機能、福祉団体の活動拠点機能、各種作業所機能等を持つ福祉活動の拠点施設。
ボランティアセンター
ボランティア登録希望者とボランティア派遣希望者を結ぶ場として、ボランティアの登録・紹介、研修、広報、連絡調整等を一貫した体系のもとで行う施設。
保育所地域活動事業
地域と密着した保育所をめざし、地域の児童や高齢者との交流、郷土文化伝承等の活動を行う事業。
障害児保育事業
保育所に入所した障害児の処遇向上をはかる事業。
保護率
総人口に占める被保護人員の割合。
ヒューマンケア・ネットワークシステム
病院・施設等からの退院・退所の情報や地域からの相談情報等を円滑に関係機関に連絡し、在宅療養生活に必要なサービスを連携のとれた形で適切に提供できるようにするシステム。

第2節 保健医療の充実

現況と課題

 出生率の低下や高齢化が進む中、子どもを安心して生み、健やかに育てていくことがますます重要な課題となってきています。また、平成5年の調査によれば、がん、心疾患、脳血管疾患のいわゆる三大成人病が死亡原因全体の60%以上を占めており、今後も高齢社会に向け一層成人病の増加が予想されます。このため、出生前からの一貫した母子保健体制の充実による子どもの健全育成、および壮年期からの成人病の予防と寝たきり老人の大幅減少に向けた地域ぐるみの健康づくりの推進、健康診査体制の拡充、健康教育・相談、機能訓練等の充実をはかる必要があります。また、保健・医療・福祉の情報を市民が効果的に利用でき、市民自らが健康管理を行えるように支援を行う必要があります。
 寝たきりや痴呆などの要介護老人が年々増加しているため、生涯にわたる健康管理体制の強化や、要介護老人に対する保健・医療・福祉の連携のとれた在宅・施設サービスの提供が必要です。
 伝染病予防体制では、結核は生活水準の向上、医療の進歩により、発病者数が著しく減少してきていますが、高齢社会を迎え、さらに住民検診の充実をはかる必要があります。乳幼児を対象とする予防接種は、個別接種方式の拡大をはかる必要があります。また、伝染病発生などの場合の防疫体制の整備充実もはかる必要があります。
 病気等の際、安心して任せられる医療体制が整っていることが必要となりますが、そのためには中核となる市立病院や公的医療機関の充実が求められています。とりわけ市立病院については、患者数の伸びを背景に、ほぼ順調に運営され、良質な医療の提供につとめてきました。今後は、高齢社会の到来と成人病の増加に的確に対処していく必要があります。
 また、市民は、健やかで生きがいのある生活、安全で安心できる生活の実現のため、より質の高いサービスの提供を求めており、保健所の設置が必要となっています。
 救急医療体制は、救急告示医療機関が10病院認定されています。また、初期医療機関として夜間休日応急診療所が、二次医療機関として4病院が輪番制で、三次(特殊)医療機関として4病院がそれぞれ対応しています。今後は、さらに患者の症状に応じた最適な医療機関への受入れ体制の整備充実の促進が必要となります。
 また、救急の出動要請は年々増加の傾向にあるため、救急業務の高度化の推進、資機材の整備および市民に対する救命講習の充実をはかることが必要です。
 墓地については、需要が高まっているため、造成を行う必要があります。

主な施策

1 保健・予防体制の充実

(1) 健康管理体制の整備
  健康増進情報システムを活用した保健活動の充実をはかります。また、市民の健康管理を支援するため、市民本位のカードシステムを検討します。
(2) 母子保健の充実
1 「(仮称)秋田市エンゼルプラン」に基づき、母子保健事業の推進をはかります。
2 妊婦健康診査、乳幼児健康診査、健康教育を充実し、保健・医療・福祉・教育の連携のとれた一貫性のある母子保健サービスを実施します。また、要管理児の支援体制を確立し、5歳児健康診査の実施についても検討します。さらに、利用しやすい相談体制を整備し、子育てを支援します。
(3) 若年層からの成人病予防対策の拡充
  基本健康診査と各種がん検診、医療機関方式の拡充、実施期間の延長により健診体制を充実し、受診率の向上をはかります。また、骨粗しょう症・歯周疾患予防対策につとめるとともに、成人病予防のため、健康相談ならびに知識の普及を推進します。
(4) 要介護者保健の拡充
  在宅要介護者に対し、「ヒューマンケア・ネットワークシステム」を活用した在宅サービスの提供を推進します。また、訪問指導車を整備し、訪問指導事業の充実をはかり、寝かせきりの予防につとめます。痴呆性老人については、老人性痴呆疾患センター、専門機関等との連携のとれた支援体制を充実します。また、在宅寝たきり者歯科保健事業の対象年齢の拡大をはかります。
(5) 伝染病予防、防疫体制の充実
 予防接種については個別接種方式の拡大をはかり、結核検診については高齢者など在宅者の受診の啓発につとめます。伝染病患者が発生した場合は、感染拡大の防止につとめます。
(6) 健康づくりの増進
 健康判定システムによる生活・運動・栄養指導の充実強化をはかり、市民の健康づくりを支援するとともに、健康判定を受けやすい体制を整備します。
(7) 機能訓練の充実
 作業療法士、理学療法士等のスタッフの充実をはかりながら、早期に機能訓練ができる体制の整備につとめます。また、自主的な活動ができるよう支援を行います。
(8) 地域保健衛生活動の充実
  地域保健推進員活動を市内全域に拡充し、活動実施地域に対する助成を行います。また、その他の保健衛生関係組織の支援につとめます。
(9) 精神保健の充実
 精神障害についての知識の普及や精神障害者の社会復帰への援助を強化していきます。また、精神保健に関する相談指導につとめます。
(10) 栄養指導の充実
  食生活の実態の把握につとめ、病態別食生活相談、訪問栄養指導を拡充するとともに、各種栄養教室を実施し市民の食生活の向上につとめます。
(11) 難病患者への支援
  難病団体の活動を支援するとともに、難病に対する知識の普及につとめます。

2 医療体制の充実

(1) 市立病院の充実
 医療スタッフの充実と医療施設・機器の整備拡充をはかります。また、施設の狭あい化の解消と、医療の高度化および病棟アメニティに対する市民の医療需要に応えるため、(仮称)第3期工事(増改築)について検討していきます。
(2) 医療サービスの充実
 痴呆性疾患などの医療ニーズに対応できる医療機関および老人保健施設や訪問看護ステーション等の整備充実について、関係機関に働きかけます。
(3) 献血の推進
 医療の高度化などによる血液の需要に対応し、その確保のため献血意識の啓発につとめます。

3 保健所の設置

 中核市への移行と同時に保健所を設置し、母子保健、精神保健、エイズ対策等の対人保健サービス、ならびに食品の安全性、産業廃棄物対策等に係わる対物保健サービスについて、現在市が行っている各種サービスと連携して一貫した体制のもとで広範に行います。これにより、市民の多様なニーズにきめ細かにかつ専門的に対応するとともに、市民の健康の保持・増進と快適で安全な市民生活の提供につとめます。

4 公的医療機関への支援

 公的医療機関の大規模な新築・増改築を支援します。

5 救急医療体制の整備

(1) 救急業務の高度化
 高齢化の進展と相まって増加傾向にある急病人および交通事故等による救急要請に対応するため、救急車の増強と更新をはかります。また疾病構造の変化等に対応するため、救急車の高規格化や救急救命士の養成など、救急業務の高度化を引続き推進します。
(2) 救急医療機関との連携
 県・市の医師会・歯科医師会、救急告示医療機関、救急搬送機関が、密接な連携のもとに、円滑な救急医療体制の確立につとめます。
(3) 応急手当の普及啓発活動
 本市人口の20%を目標に、市民に対し引続き心肺蘇生法等の実技講習を実施し、応急手当の普及啓発をはかります。

6 衛生施設の整備

(1) 天徳寺山墓地公園の墓地を計画的に拡大整備し市民の需要に応えます。
(2) ペット(犬、猫等)の増加にともない衛生的な死体処理体制について検討します。


用語解説

救急告示医療機関
救急隊により搬送される傷病者に関する医療を担当する医療機関で、都道府県知事が必要と認定し、告示された救急病院または救急診療所。
二次医療機関
夜間休日応急診療所で対応できない入院治療等を必要とする患者を収容する病院で、市立総合病院、秋田赤十字病院、中通総合病院、秋田組合総合病院の4か所。
三次(特殊)医療機関
重症の救急患者の救命医療を行うために必要な、高度の診療機能を有する病院で、交通災害センター、秋田大学医学部附属病院、県立脳血管研究センター、県成人病医療センターなど。
健康増進情報システム
各種健康診査情報を含め市民の健康に関する情報を管理し、住民のニーズにあった保健活動を支援するシステム。
カードシステム
ICカードや光カード等の大容量のカードを記録媒体として、データを必要に応じ読み書きできるようにしたシステム。
(仮称)秋田市エンゼルプラン
平成7〜8年度に策定する、子育て支援の総合的な計画。平成17年度を目標年次とし、子どもを健やかに生み育てるための環境づくりを推進するために、必要な保育サービス、母子保健、児童の健全育成等について、今後のあり方などを盛り込んだ計画。
作業療法士
特定の作業による生産過程を通じ、日常生活動作やレクリェーションを媒体として、身体運動機能や精神心理機能を改善することを目的とする専門職。
理学療法士
身体に障害のある人たちに、寝返り、起き上り、歩くといった基本的動作能力の回復や維持、悪化予防のための、運動療法、日常生活動作訓練、物理療法などをほどこす専門職。
地域保健推進員活動
地域に住む誰もが健康で明るくいきいきと暮らせるために、声かけなどにより連帯の輪を広げながら健康づくりをしていく地域の中の活動組織。
中核市制度
これまで都道府県が行ってきた事務のうち、市民生活に密着した事務を、政令指定都市に準じて市に委譲する制度。人口30万人以上、面積 100ku以上等の要件を満たす規模が比較的大きな都市が対象となる。また、中核市は保健所を設置することとなっている。

第3節 少子対策の充実

現況と課題

 子どもたちが心身ともに健やかに成長できる社会の実現は、市民全体の願いです。
 本市においては、子どもの出生数はほぼ横ばいで推移しています。しかし、平成5年の調査によれば、合計特殊出生率は1.37と全国平均1.46に比べ相当に低くなっています。原因や背景には、晩婚化が進んでいること、核家族や共働き家庭が増える中で子育てと仕事の両立が難しくなっていること、育児の心理的・肉体的負担感が増大していること、さらには地域の子育て意識が低下していることなどがあげられます。このため、子育てと仕事の両立を支援すること、子ども同士がふれあう機会を増やすこと、親同士が地域などで気軽に話し合える場を多くすることなど、子どもの成長に合わせた社会的な支援のあり方の検討が必要となります。
 このため、子ども自身が健やかに育っていけるよう、また安心して子どもを生み、育てることができる社会を築きあげるために、家庭における子育てを基本に地域、企業、行政などがそれぞれの立場から子育て支援の社会づくりを進めていくことが重要な課題となっています。そこで、「(仮称)秋田市エンゼルプラン」を策定し、総合的な少子対策を着実に実行していく必要があります。

主な施策

1 少子対策の充実

(1) エンゼルプランの策定・推進
 今後取り組むべき施策について、「けやきのまちのしあわせプラン」と一体のものとして「(仮称)秋田市エンゼルプラン」を策定し、子育て支援策を総合的・計画的に推進します。
(2) 子育てと仕事の両立支援
1 雇用環境の整備促進をはかるため、育児休業制度の充実や労働時間の短縮などを関係機関に働きかけます。
2 保育所における、低年齢児保育、延長保育、一時的保育事業の拡大など多様な保育サービスの充実をはかります。また、多様なサービスを提供するため、保母配置の充実、施設・設備の整備を促進します。
3 日中親が不在等の小学校低学年児童を受入れる放課後児童対策事業を推進します。
(3) 家庭・地域における子育て支援
1 親と子の絆を深めることができるよう、各種講座の充実や初めて親になる方を支援する両親学級などを開設します。
2 保健・医療・福祉・教育に関する育児サービスガイドを作成し、育児情報の提供につとめます。
3 地域保健推進員等地域で活動されている方に対し、子どもの成長に合わせた子育ての仕方や遊び方などの研修を行い、地域における子育て支援者の育成をはかります。
4 地域の育児機能を充実させるため、地域の子育て支援者と保育所とのネットワークづくりを推進します。
5 ふれあいの場や遊びの場を提供するため、保育所の開放等を推進します。
6 母親の孤立感や育児不安の解消をはかり、安心して育児に取り組めるよう地域の育児サークルの活動を支援します。
(4) ゆとりある教育の実現と児童健全育成の推進
1 ひとりひとりの子どもを大切にし、子どもが主役となるような教育を推進し、心豊かでたくましい次代を担う児童生徒の育成につとめます。
2 児童館等を拠点として、子ども同士の交流、文化・スポーツ活動を推進します。また、福祉教育として高齢者とのふれあい、ボランティア体験などの機会を設け、子どもの豊かな人間性を育めるような環境づくりを推進します。
(5) 相談体制の充実
1 安心して子どもを生み、育てることができるよう、保健・医療・福祉・教育関係者の連携をはかり、相談体制を充実します。
2 子育てのニーズに応じた利用しやすい相談機能の充実につとめます。
(6) 子育てにともなう経済的負担の軽減
1 認可保育所の保育料について、保護者の負担軽減につとめます。
2 幼稚園における就園奨励事業の実施により、保護者の負担軽減をはかります。
3 保育所や幼稚園の第3子以降の保育料を免除または補助する、すこやか子育て支援事業を継続実施します。
4 乳幼児医療費の無料化については、継続実施します。

用語解説

合計特殊出生率
ひとりの女性が一生のうちに生む子どもの数。人口を維持するためには、2.08が必要とされています。
低年齢児保育事業
0〜2歳児の受入れを積極的に行う事業。
延長保育事業
おおむね午後の6時以降の、保護者の就労状況に対応した保育時間を延ばす事業。
一時的保育事業
母親のパート就労等のため週3回程度の保育で足りる場合や、母親の急病等の時に、日中一時的に保育所で児童を預かる事業。

第4節 交通安全対策の充実

現況と課題

 本市の自動車保有台数は平成7年3月現在で 172,000台を超え、市民 1.8人に1台の割合となっています。車両数の増加等により交通環境も非常に厳しい状況となっているため、交通安全施設の整備、指導体制の充実や、地域に根ざした交通安全教育および広報啓発活動の推進がより一層重要となっています。

主な施策

1 指導体制の充実

(1) 交通安全指導の推進
 幼児や児童、生徒については、交通安全教室の開催や学校教育での安全指導を実施します。また、企業等の交通安全担当者に対する講習会、研修会を開催し、指導力の向上につとめるとともに、婦人交通指導員を巡回させて安全指導の徹底をはかります。また、高齢者ドライバーの増加に対応し、老人クラブ等の場を活用した安全教育の徹底をはかるとともに、家族ぐるみの安全運動を推進します。
(2) 市民運動の推進
 交通安全母の会、交通指導隊、地区交通安全協会等の活動の促進につとめます。また、市民憲章推進協議会、町内会、PTA等との連携をはかりながら街頭指導、啓蒙等の実践活動について市民総ぐるみの運動を推進します。
(3) 被害者救済対策
 交通遺児の救済のため、秋田県災害遺児愛護会援護給付金制度および交通遺児等貸付制度の活用を広く市民にPRするとともに、交通事故の相談に応じます。

2 交通環境の整備

(1) 交通安全施設の整備
 児童・生徒の通園、通学等の安全をはかるため、通学路の指定を行うとともに、その標示等の整備を進めます。
(2) 交通規制の促進
 道路における危険を防止し交通の安全と円滑化をはかるため、幹線道路や生活道路それぞれの道路の機能に応じた交通規制を行うとともに、バス優先通行帯の整備を促進します。 また、通行の妨げとなる放置自転車や違法駐車車両については、自転車の放置禁止区域や違法駐車防止重点地域を指定し、放置自転車の撤去や違法駐車の防止啓発運動を行います。

用語解説

秋田県交通遺児愛護会援護給付金制度
交通、災害等により、父または母を亡くした義務教育終了前の児童を養育している保護者に対して、援護給付金を支給する制度。
交通遺児等貸付
自動車事故が原因で、父または母を亡くした義務教育終了前の児童を対象にした貸付け。

第5節 環境保全対策の充実

現況と課題

 本市は、全国的にみても大気の汚染、水質の汚濁が少なく、恵まれた環境にあるといえます。 しかし、都市化の進展にともなう生活環境の悪化や工場の進出による環境汚染が危惧されるほか、地球規模での環境問題が顕在化してきていることから、環境保全対策を総合的に推進するとともに市民の健康と良好な生活環境を保全し、未来に引き継ぐ必要があります。

主な施策

1 総合的な環境行政の推進

 地域および地球規模の環境問題に対応するため、行政、市民、事業者がそれぞれの役割を認識し、環境の保全、利用、創造に向けて自主的かつ協働的に取り組む社会をめざします。

2 大気環境の保全

 テレメータシステムによる大気環境および環境に及ぼす影響の大きい発生源の常時監視体制を強化するとともに、大気環境への影響が大きい発生源に対しては、排出量の低減を指導し、よりよい大気環境の創造につとめます。

3 水質環境の保全

 公共用水域の水質保全のため、河川等の水質の定期調査や工場・事業所等に対する監視・指導を実施するとともに生活排水対策を推進します。さらに、大規模工場の排水についてはテレメータシステムによる常時監視を実施します。
 また、地下水の水質保全のため工場・事業所等からの有害物質の地下浸透を防止するとともに、計画的に地下水質の監視を実施します。

4 騒音等からの生活環境の保全

 騒音・振動については、工場、事業所、建設作業の発生源対策の強化、工場の団地化や住工分離施策を推進するとともに、交通騒音、規制対象外発生源についても適切な対策を進めます。 悪臭については、官能試験法の導入などにより発生源を適切に指導します。

5 公害防止または環境保全協定の締結

 環境への影響が大きい事業については、事前調査を実施し、必要に応じ公害防止または環境保全協定を締結して公害等の未然防止につとめます。


用語解説

地球環境問題
人類の生存と社会の持続的発展に被害、影響を与えるような、オゾン層の破壊、地球の温暖化、酸性雨などの地球規模の環境問題。
テレメータシステム
大気環境や工場からの汚染物質の排出状況を常時監視する測定局のデータを、監視センターに伝送、集積し、緊急時の迅速対応や総合的な汚染防止対策を推進するシステム。
官能試験法
人間の嗅覚によって、においの評価を行う試験方法で、様々な悪臭に対応でき、一般的には「三点比較式臭袋法」が採用されている。
公害防止協定、環境保全協定
地方自治体や住民等が事業者との間で、その事業活動による公害の防止や環境悪化を防止するため、事業者が取るべき措置等を相互の同意により結んだ協定。

第6節 災害防止対策の充実

現況と課題

 水害・治水対策として、旭川、太平川、新城川、草生津川、猿田川、馬踏川などについては、下流から順次整備が進められているものの、全域にわたる整備が望まれています。また、洪水の恐れのある河川については早期に対策を講ずるとともに、豪雨・融雪時の住宅地域における道路の冠水などを防止するため、用水路や排水路を整備する必要があります。
 雪対策については、冬季における道路交通の確保と快適な雪国の生活の維持向上をはかるため、市民と一体となった総合的な除排雪体制の強化が必要であり、特に、降雪や路面の凍結による交通障害の解消に積極的に取り組む必要があります。
 消防力については、阪神・淡路大震災を契機としてその強化が求められています。特に地震対策としては行政機関および公共機関等との密接な連携のもとに各種の防災対策が迅速かつ的確に行えるよう、防災体制の強化につとめることが必要です。また、応援体制の確立、震災知識の普及、震災対策訓練の実施、自主防災組織の育成強化、さらには、資機材の整備をはかることも必要となります。
 本市の火災状況は、平成6年には出火率(人口1万人当りの出火件数) 3.5で全国平均 4.6を下回っています。また、建物1件当りの焼失面積においても47.3uで、全国平均50uを若干下回る程度で推移しています。
 各種災害に対する市民の安全を確保するため、消防力の充実強化と災害に強いまちづくりをはじめ、市民の防災意識の高揚をはかることが必要です。
 また、社会環境の変化に伴い、救助の出動要請は年々増加の傾向にあり、救助技術の向上、資機材の整備および市民に対する安全教育の普及をはかることが必要です。

主な施策

1 防災対策の推進

(1) 水害対策
1 河川改修
 水害の防止をはかるため、旭川、太平川、新城川、草生津川、猿田川、馬踏川などの改修を促進するとともに、宝川については改修を進めます。その他洪水の恐れのある河川については必要な対策を講じます。
2 用排水路の整備
 洪水による被害の恐れがある住宅地域、特に市街化区域内の水田混在地域については、水路からの溢水による被害防止のため、公共下水道事業との調整をはかりながら用排水路の改善につとめるとともに、緊急時にも適切な措置を講じます。
(2) 急傾斜地対策
 急傾斜地崩壊危険区域に指定されている箇所の災害防止工事を促進するとともに、未指定箇所についても、関係住民を啓発し、指定を働きかけます。

2 雪対策の充実

(1) 除排雪体制の強化
 除排雪への市民の参加意識の高揚をはかりながら、市民との協力体制づくりを進めます。また、地域間の交通を確保するため、歩道を含め、バス路線や生活道路を中心とした除雪を優先的に行うほか、全市をブロックに分け、効率的な除排雪を実施します。さらに、降雪・積雪状況に応じ除雪車などがすみやかに出動できるよう雪情報システムの導入を検討します。
(2) 融雪対策の充実
 交通の支障となる急な坂道に無散水の消融雪施設を設置するほか、交通量の多い交差点などにおいては凍結防止剤の散布につとめます。また、歩行者の安全確保のため、歩道への消融雪施設の設置を行います。

3 消防力の強化

(1) 予防行政の強化
1 住宅防火対策と震災知識の普及
 本市における過去3年間(平成4〜6年)の建物火災に占める住宅火災の割合は約71%であり、住宅火災防止のため、住宅防火診断を進め火災の未然防止をはかるとともに、震災知識の普及につとめます。
2 石油コンビナート地帯の防災体制の強化
 防災関係機関および企業の協力体制を強化して、防災資機材および施設の整備を行うとともに、企業における保安点検整備の強化と従業員の保安教育、訓練・指導を行い、管理体制の強化をはかります。
3 防火管理体制の強化と予防査察の徹底
 防火管理者への指導教育を強化し防火管理体制の徹底をはかるとともに、防火対象物の予防査察を行い火災の未然防止につとめます。
4 火災原因調査体制の強化
 複雑多様化する火災原因究明のため、体制および資機材の整備をはかるとともに、調査員の養成につとめます。
(2) 消防体制の整備
1 消防機能の強化
 消防署所の新設と改良につとめます。また、消防自動車等の増強・更新をはかるとともに、海水利用型消防水利システム、大型水槽車および消防艇の導入を検討します。さらに、耐震型防火水槽等の整備を進め、消防水利の拡充強化をはかります。
2 通信指令体制の強化
 消防通信指令装置の更新、消防無線装置の増強・更新および衛星通信ネットワークを利用した通信指令体制の強化をはかります
3 消防団の活性化と指令体制の強化
 消防団の活性化につとめ、装備の充実と消防ポンプ自動車、小型動力ポンプおよび積載車等を増強・更新します。また、消防団配置の消防ポンプ自動車に無線機を搭載し指令体制の強化をはかります。
4 航空消防防災体制の整備
 県の消防防災ヘリコプターの導入にあわせ、航空消防防災体制の確立につとめます。
(3) 防災体制の確立
1 震災対策の推進
 地震による被害の軽減をはかるため、「地域防災計画」に基づき防災体制の強化をはかります。また緊急時の応援体制の確立、市民に対する震災知識の普及、震災訓練の実施および自主防災組織の育成強化をはかります。
2 風水害対策の推進
 台風、集中豪雨等による被害の軽減をはかるため、気象情報および被害情報の収集伝達、災害危険個所の把握、警戒避難体制の強化につとめます。
(4) 災害救助体制の整備
 各種災害にともなう救助要請に対応するため、救助工作車の増強・更新をはかるほか、有毒ガス等の特殊災害用資機材を整備します。
 また水難救助用潜水資機材を増強・更新し、水難救助活動の充実をはかります。

用語解説

急傾斜地崩壊危険区域
崩壊により相当数の居住者等に危害が生ずる恐れのある急傾斜地(傾斜度が30度以上ある土地)等の区域で、指定は市町村の意見を聞いて県知事が行う。 
雪情報システム
降雪、路面の凍結状況をセンサーなどで検知し、その情報を一元化して適切な除排雪作業の実施時期を判断し、委託業者にすみやかに出動指令を行うとともに、市民からの要望等についても集中管理し、きめこまかな除排雪を行うためのシステム。

第7節 廃棄物対策の充実

現況と課題

 市民の協力を得て、現行の廃棄物対策は先進的な取り組みをしているものの、ごみの排出量は年々増加するとともに質も多様化すると同時に、適正処理が困難な廃棄物も増えています。
 このような状況から、容器・包装等をリサイクルさせる新しい法律が制定され、その中で市民、事業者、市のそれぞれの役割が明確になるとともに、物の生産段階から廃棄物となるまでを考えた社会システムに変わろうとしています。
 廃棄物対策は、地球環境保全からもその果す役割は大きく、21世紀初頭には、廃棄物を可能なかぎりリサイクルさせる「資源循環型都市」をめざす必要があります。
 生活排水の衛生処理については、地域の実情に応じて高性能な合併処理浄化槽の設置を進め、汚泥等の受入体制を整備する必要があります。

主な施策

1 ごみを出さないくらしへの支援

 市民が環境保全に配慮した商品を選択することや、資源化・リサイクルをさらに進めるためには、分別やマナーなどについてこれまで以上の協力が必要となります。 このため、情報提供や普及啓発、地球環境保全についての教育などを一層推進します。

2 ごみをつくらない事業活動への支援

 事業者は物の製造・販売などにおいて、廃棄物が生じないようにつとめることが求められています。 このため、適正処理が困難な廃棄物について、事業者が行う回収・処理への支援を行うほか、再資源化や再生利用についても、事業者と密接な連携ができる体制をつくります。
 また、消費者が資源化・リサイクルしやすい商品を選択できるようにするとともに、環境に配慮する商店や事業所の拡大にもつとめます。

3 ごみの適正処理とエネルギー有効利用の推進

 分別徹底のため、収集・運搬体制を強化します。
 焼却炉については、環境に配慮し、有効に熱利用できる新しい処理施設に更新します。他の現有施設については可能な限り延命させるとともに、計画的に整備更新し、その効率的な運営をはかります。
 また、必要に応じて施設・設備を強化するとともに、中継基地の必要性、広域的な対応も検討します。
 緊急災害時の対応をすみやかに行うため、中間処理施設や最終処分用地を新たに確保することも検討します。

4 生活排水への対応

 増加する浄化槽汚泥量や減少するし尿量、さらに施設の老朽化に対処するため、現有処理施設の効率的な運転や運営および計画的な大規模補修を行います。また、民間の収集部門への対策も検討します。


用語解説

資源循環型都市
いらなくなったものを“捨てる”ことから、文化や生活習慣の見直し・工夫により、それを“生かす”リサイクル社会、ごみゼロ都市。
容器・包装等をリサイクルさせる新しい法律
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律。
生活排水
し尿および生活雑排水。(風呂、洗濯、厨房等の排水も含む)

おことわり

  1. 第8次秋田市総合計画は、平成8年3月に作成され、公刊されたものです。従って、計画中の数値等は当時のままになっています。HTML化するにあたり、用語解説、他サイトへのリンク等についてのみ更新・追加を行いました。
  2. 印刷物としての第8次秋田市総合計画は、市内の図書館、市役所の市民談話室でご覧になれるほか、ご希望の方は、市役所地下1階の売店でお買い求めになることができます(売価3,000円)。

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