第4章 ゆとりある教育文化都市


第1節 生涯学習の推進

現況と課題

 社会情勢の変化にともない、ライフスタイルの高度化・多様化が進み、市民は生きがいのある豊かな生活の場を求めています。このため、ひとりひとりの学習レベルに応じた生涯学習が行われるように、日常生活に密着した各種生涯学習機会の拡充と、施設整備を促進する必要があります。

主な施策

1 相談体制の充実

 生涯学習に関する行政間の連絡調整や「若草の窓口」と生涯学習奨励員とが連携を深めることにより、市民への情報提供と相談体制の充実につとめ、市民と行政が一体となった学習活動を推進します。

2 学習機会の拡充

 生涯学習に関する施設の整備充実につとめるとともに、地域や企業内における学習活動を推奨し、地域等に根ざした学習の輪を広めます。また、生涯学習ボランティア等の人材養成につとめ、その活動が効果的なものとなるように支援します。

3 広報活動の推進

 広報紙等により生涯学習に関する情報と資料の提供につとめ、民間も含めた生涯学習情報ネットワーク化を推進します。


用語解説

生涯学習
生涯の各時期における人間形成上、あるいは生活や職業上など諸課題に即して、各人が自発的意思に基づいて必要に応じて、自己に適した手段、方法を自ら選択し、生涯を通じて行われる学習。
若草の窓口
生涯学習の相談窓口。中央公民館ほか35か所にあり、その名称は秋田市のシンボルカラー「若草」から引用。
生涯学習情報ネットワーク
様々な、学習の機会等に関する情報を収集し、市民の要望に応じて提供したり、相談に応じられるような情報網。

第2節 学校教育の充実

現況と課題

 変化する社会情勢の中で、基礎学力を身につけ、心豊かでたくましい、次代を担う児童生徒の育成をめざす、特色ある教育が求められています。また、郷土を愛する心の育成と、高齢化、国際化、情報化、科学技術の発展等社会の変化に対応した教育が求められています。 幼児期の教育の充実、心身障害児の教育の充実、教育指導と教育研究の促進が必要です。また、過大規模校の解消など教育環境の整備をはかる必要があります。

主な施策

1 幼児教育の充実

 入園を希望する3歳児から5歳児のすべてを就園させることを目標に、幼稚園就園奨励事業およびすこやか子育て支援事業を実施し、保護者負担の軽減をはかります。また、幼稚園協会への助成ならびに幼稚園の施設整備に対する助成を行い、幼児教育の充実につとめます。

2 小・中学校教育の充実

(1) 教育指導の推進
 「子どもが自ら学ぶ力を育てる学習指導」の推進をはかり、基礎学力の定着をはかるとともに個性の伸長につとめます。また、「心の教育」を重視した福祉教育や環境教育、生徒指導の充実につとめるため、特に登校拒否(不登校)の児童生徒およびいじめの問題に対し、専任の相談員を配置するとともに、教職員の研修、児童生徒や保護者への相談活動等の充実をはかります。さらに、外国の姉妹・友好校等との交流や英語指導助手との交流等により、進展する国際化に対応する教育の充実につとめます。
 校外指導については、各地区の指導組織や関係機関との緊密な連携等により指導体制を一元化し、総合的な指導のもとに児童生徒の健全育成につとめます。 情報通信システムの発達やコンピュータ利用の進展に対応した教職員の研修や諸講習を通じて指導体制の充実をはかります。
(2) 開かれた学校づくり
 学校週5日制の趣旨を十分踏まえ、指導内容・指導方法等の工夫・改善をはかり、弾力的な教育課程や教育活動等を行います。また、学校の持つ教育機能の活用や施設の開放等を通して、地域に積極的に貢献するとともに、地域社会や家庭との連携による教育活動および人材活用等につとめます。
(3) 特殊教育の充実
 心身障害児の適正就学についての相談と指導の充実改善をはかります。

3 後期中等教育の充実

 市立秋田商業高等学校および秋田公立美術工芸短期大学附属高等学院については、施設設備の充実をはかり、生徒が自己の能力や適性を十分伸ばせるようつとめます。

4 健康安全管理

 健康教育の充実と学校環境衛生の改善につとめます。また、給食調理場については、ドライシステムを導入し、より衛生的な学校給食を進めます。さらに、給食の食器については、児童生徒が使いやすいものを検討し、計画的な更新をはかります。

5 環境施設の整備

(1) 学校施設・設備の充実
1 学校建築等の推進
 小・中学校の増改築・大規模改造事業を計画的に進め、新しい教育内容に対応できるゆとりある施設の充実をはかります。また、秋田駅東地区、御所野地区に中学校の新設を検討します。さらに小・中学校のグラウンド整備とプールの改築につとめ、中学校に武道場の設置を進めます。
2 学校備品等の充実
 情報教育の一層の推進をはかるため、教育用コンピュータの新整備計画を策定し整備を進めるとともに、豊かな教育環境実現のため、備品、教材教具の充実につとめます。 義務教育の公費、私費の負担区分の明確化をはかり、保護者負担を計画的に軽減します。
(2) 適正規模化と学区編成の検討
 児童・生徒数の地域的な変動等に対応しながら、学校規模を適正なものとすることを目的とした学校新設や学区の編成替えを検討します。

用語解説

幼稚園就園奨励事業
幼稚園教育の振興に資するため、私立幼稚園に就園する3歳児から5歳児までの保護者に対し、その世帯の所得状況に応じて助成する事業。
すこやか子育て支援事業 
第3子以降として出生した幼児について、保育料等の軽減をはかり、出生率向上のための環境づくりを行う助成事業。
子どもが自ら学ぶ力を育てる学習指導
教師主導による”与えられた学習””学ばされる学習”から、子どもそのものが、目的意識や意欲をもって生き生きと存分に活躍できるような学習。
心の教育
物質的豊かさの陰に失われつつある、他の人を思いやる心、美に触れて感動する心、正義感などを養う教育
英語指導助手
日本における外国語教育の充実を図ることを通して、諸外国との相互理解を増進し、わが国の国際化の促進に資することを目的に、自治省、文部省、外務省の三省が推進している「語学指導等を行う外国青年招致事業」に基づいて来日している外国青年である。
ドライシステム
水を大量に使用して清掃するため、高温多湿の状態となる従来のウエットシステムに対し、雑菌などの繁殖を抑制し、水の使用量の節約、施設設備の延命効果等の利点をもたせるため、常にキッチンフロアー(床)を乾燥させた状態に保つシステム。

第3節 高等教育の充実

現状と課題

 大学、短期大学等の高等教育機関は、人材の育成、地域医療の確保、産業の振興、文化の向上などに大きな役割を果たしています。 美術工芸短期大学は、全国でも数少ない美術系の短期大学として、美術工芸・産業デザインの各学科において特色ある教育を行っています。また、市民を対象に施設を開放し、各種講座も開催しています。今後も地域文化の中心となるべく地域社会に貢献するとともに、学生の確保と卒業生の進路について力を注いでいく必要があります。
 また、大学については、学部、学科の増設や誘致を積極的に進める必要があります。

主な施策

1 美術工芸短期大学の充実

 より高度な教育をめざして一層の整備拡充につとめ、文化の向上と産業の発展に貢献し得る人材を育成するとともに、開放施設の活用により、市民に向けた研究成果の提供をはかります。

2 大学の誘致・充実

 創造性豊かな人材の育成、地域産業の活性化などの大きな効果が期待される大学の誘致を積極的に進めます。また、県や大学とともに、高等教育機関の中核である秋田大学の整備拡充や研究施設の新設について、国に対し働きかけます。


用語解説


第4節 社会教育の充実

現況と課題

 市民の学習意欲の高まりとともに、学習ニーズも多様化・高度化している中で、社会教育活動のより一層豊かな展開が求められています。 このため、市内6か所の公民館、青少年センター、女性センター、図書館などの社会教育施設を中心に、関係機関・団体などとの連携を密にし、学習機会の拡充や学習情報の提供、指導者の養成、施設の整備充実をはかる必要があります。

主な施策

1 乳幼児期教育の充実

 人間形成の基礎となる乳幼児期の教育を促進するため、子育てに関する学習機会の拡充や家庭教育相談事業の充実など、条件の整備をはかります。 

2 青少年育成の推進

 青少年の豊かな人間形成をはかるため、家庭教育に関する事業を推進するとともに、子ども会活動や児童館活動の活発化、さまざまな生活体験・活動体験の機会と場の充実などにつとめるほか、学校週5日制への対応をはかります。さらに、青少年非行の未然防止活動、青少年の相談事業等の充実をはかります。勤労青少年の教育については、組織的な学習の推進と青年集団の育成につとめます。

3 成人の学習・実践活動の充実

 成人の意識や生活の変化に対応した学習活動の充実をはかるため、各種講座等の開催、学習情報の提供、学習相談事業の推進などにつとめます。また、地域づくりや社会参加などの実践活動を促進します。

4 高齢者の学習と社会参加の推進

 高齢者教育を促進するため、生きがいや健康づくり、能力再開発などに関する学習機会を拡充するとともに、高齢者の豊かな人生経験を活用した社会参加を進めます。

5 社会教育施設・設備の充実

 新屋図書館を改築します。(仮称)秋田市青少年自然文化ランドの整備、中央公民館・勤労青少年ホームを始めとする公民館の計画的な改築、さらには、人口増加の著しい東部地区に図書館など社会教育施設を配置することを検討します。その他の社会教育施設・設備についても整備充実をはかるとともに、児童センターについては、計画的に整備を進めます。

6 指導者の養成と確保

 市民の多様で充実した学習活動を支援するため、指導者の養成を推進するとともに、青少年育成のための世話人、指導者の確保につとめます。

7 関係団体・機関との連携

 社会教育関係団体の活性化をはかるとともに、コミュニティセンターや地区集会所等の地域の各種施設の活用、民間教育活動などとの連携により、地域住民の学習活動の充実をはかります。また、高度化する学習ニーズに対応するため、企業や大学、高等学校等の学校、研究機関などと連携し、その施設や人的資源の市民への開放につとめます。


用語解説

青少年自然文化ランド
豊かな自然の中で、青少年を中心に集団宿泊研修等を通して、労作活動や自然に親しむ活動、科学に関する学習活動、文化活動等を体験できる野外活動施設。

第5節 市民スポーツの振興

現況と課題

 最近における生活環境や社会環境の著しい変化は、市民の生活様式にも変化をもたらし、生活の中でスポーツやレジャーが大きな役割を担うようになってきています。また、スポーツの多様化、高度化が進み、余暇時間の増加とも相まって、市民スポーツや健康、体力づくりに対する関心が一段と高まっています。
 このため、市民ひとりひとりの多様なスポーツ要望を実現し、健康で活力ある市民生活の一助にするため、スポーツ活動の基盤となるスポーツ施設の計画的な整備拡充につとめるとともに、実践活動の奨励のため、指導者の確保や、競技力向上のための施策などを積極的に推進する必要があります。

主な施策

1 市民スポーツの充実

 気軽にスポーツに参加する機会を拡大するため、スポーツ教室の開設や地区体育協会が主催するスポーツ行事、自主スポーツクラブの結成、学校体育施設の利用促進、スポーツリーダーバンクの活用など、生活の中にスポーツが取り入れられるようつとめます。

2 スポーツ施設の整備拡充

 スポーツ施設の効率的活用と既存のスポーツ施設の計画的整備拡充をはかります。また、冬季でもスポーツができる屋内多目的運動広場の新設をはかるほか、地域スポーツ振興の核となる運動広場の造成につとめます。

3 体育諸団体との連携

 体育協会および関係諸団体との連携を密にし、競技力の向上や組織の拡充をはかるなど、スポーツ活動推進体制の強化につとめます。

4 指導者の育成

 各種の研修会および講習会を開催し、指導者の養成確保と資質向上をはかるとともに、各種イベントを通して関係団体や指導者等の活性化と相互交流につとめます。


用語解説

スポーツリーダーバンク
各種スポーツ指導者の発掘、登録を行い、各種スポーツ施設やスポーツクラブ等に対し、指導者名簿を配布するなど、指導者育成の体制づくりをはかること。

第6節 市民文化の振興

現況と課題

 市民の精神的・文化的豊かさへの志向は一層強まってきており、このような要請を踏まえ、学術、芸術など自主的な文化活動を積極的に推進する必要があります。
 また、郷土の貴重な文化遺産の保護・活用と愛護思想の普及をはかるため、遺跡や文化財の調査と保護管理を強化するとともに、市民に長い間培われてきた民俗芸能や無形の文化財を保存、伝承し、文化施設の整備充実を通じて創造性豊かな文化のかおり高い郷土づくりを進める必要があります。
 市史編さん事業については、市民が生きてきた歴史を後世に伝えるため、本市の過去の歩みを知るとともに、将来のあるべき姿を展望する資料として整理する必要があります。

主な施策

1 文化の振興

(1) 市民自らが文化を創造する諸活動を助長し、市民文化の向上をはかるとともに、文化活動の場の提供、学術や芸術の学習・鑑賞などの機会の拡大につとめます。
(2) 文化会館、千秋美術館、赤れんが郷土館、民俗芸能伝承館、佐竹史料館、旧黒澤家住宅等の整備をはかるとともに、自主事業の企画や資料収集・保存・展示などの充実につとめます。

2 文化財保護の推進

(1) 文化財の発掘・調査・研究を推進するとともに、維持管理と保護対策を強化し、市民の愛護思想の高揚のために学習機会の拡大につとめます。
(2) 史跡秋田城の外郭東門と築地塀を復元公開するとともに、(仮称)秋田城跡歴史資料館の建設を検討し、「高清水の丘歴史の杜博物館構想」に基づき環境整備事業を推進します。
(3) 秋田新都市埋蔵文化財発掘調査により発見された地蔵田遺跡の歴史的建造物等の復元、史跡公園としての整備につとめます。

3 市史編さんの充実

 正史としての「秋田市史」について、原始・古代から現代までと、文芸・芸能、美術・工芸、民俗編も組み入れて全17巻を編さん刊行します。


用語解説

史跡秋田城の外郭東門と築地塀
史跡秋田城跡は、奈良時代(西暦733年)に政府が築造した日本最北の城柵遺跡で、築地と呼ばれる二重の土塀で囲まれ、外側の土塀を外郭、内側の土塀を政庁と呼んでいます。
 外郭には東西南北の四か所に出入りのための門が造られましたが、秋田城では平成元年度に東の門跡が発見されました。この東門と築地塀の実物大復元作業を平成6年度から行っています。
高清水の丘歴史の杜博物館構想
歴史的、自然的条件を活かしながら、次の五つの事業を主体として高清水の丘を公園として形成しようとする構想。
  1. 史跡環境整備
  2. 自然環境整備
  3. 史跡内園路等整備
  4. 施設等整備
  5. 関連事業

第7節 国内外交流・平和活動の促進

現況と課題

 秋田市は、中国甘粛省蘭州市、ドイツバイエルン州パッサウ市、ロシア沿海地方ウラジオストク市と友好・姉妹都市提携を行っているほか、米国アラスカ州キナイ半島郡とは交流合意に関する文書を取り交わすなど、市民交流を中心として、数多くの分野での交流を積極的に推進してきました。今後は、秋田市民のための、世界に開かれた将来都市像の達成に努力をしていく必要があります。
 また、国際化されたまちの実現に向けて、国際化に対する市民ひとりひとりの意識を高め、国籍、人種等にとらわれない、あたたかく開かれた市民社会をめざす必要があります。
 さらに、平和の実現はすべての市民の願いであり、平和希求思想の醸成をはかっていく必要があります。
 佐竹氏が取り持つ歴史的関係を由来として、友好交流を行っている茨城県常陸太田市および周辺の町村との交流を継続的に実施するとともに、歴史的関係を持つ都市などについて研究・検討を行う必要があります。

主な施策

1 海外都市との交流

 これまでに築いてきた国際友好姉妹都市である蘭州市、パッサウ市、ウラジオストク市や交流合意都市であるキナイ半島郡との間で、相互理解と協調を基盤とし、青少年・芸術・学術・スポーツなどの文化交流、経済交流、開発協力の各分野での事業を実施しながら、友好親善をはかります。蘭州市については、技術研修生の受入れや短期文化研修生の派遣、パッサウ市、ウラジオストク市については、青少年やスポーツ分野での相互交流につとめます。

2 都市の国際化の促進

 都市の国際化に向け、市民意識の醸成や異文化交流に対する支援、教育分野での国際理解を促進します。また、私費留学生に対する教材費の助成を行うほか、外国人に対する各種サービスや外国語による情報提供の充実等につとめます。

3 平和活動の推進

 平和への志向をこれまで以上に高めていくため、「国際親善・核なき平和」の標語のもと、平和意識高揚のための広報活動を推進するほか、平和活動への協力と支援を行います。4 国内姉妹都市・有縁町村との交流 国内姉妹都市および有縁町村との幅広い世代にわたる相互交流を行うとともに、今後は、歴史的な縁を持つ都市などとの交流について研究します。


用語解説


おことわり

  1. 第8次秋田市総合計画は、平成8年3月に作成され、公刊されたものです。従って、計画中の数値等は当時のままになっています。HTML化するにあたり、用語解説、他サイトへのリンク等についてのみ更新・追加を行いました。
  2. 印刷物としての第8次秋田市総合計画は、市内の図書館、市役所の市民談話室でご覧になれるほか、ご希望の方は、市役所地下1階の売店でお買い求めになることができます(売価3,000円)。

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