第5章 開かれた市民主体都市


最終更新 1998.01.09


第1節 市民意識の醸成・市民自治の拡大

現状と課題

 町内自治組織をはじめ各種地域団体への市民の自発的な参加意欲の高まりや、スポーツ活動・サークル活動・ボランティア活動等の諸活動を通じた心の通いあう人間関係の広まりによって、新しいコミュニティが形成されつつあります。また、交流を通した連帯と協調により、市民憲章の精神に沿って、市民自らが、生活の場から生まれる共通課題や目標を踏まえた多様な地域活動の展開を求めています。 このため、コミュニティでつちかわれた意識と行動によって、市民自らの参加による安全で快適な活力ある地域づくりの活動を助長していく必要があります。 情報化時代にあって、テレビは市民生活に密着し、豊かな生活を営むためにも欠かせないものであり、テレビ難視聴地域の解消をはかる必要があります。 

主な施策

1 自治組織の育成

 良好な地域コミュニティを形成するため、町内会組織等と行政との円滑な意志疎通をはかるとともに、財産保有のための法人格付与の育成、ならびに町内自治活動費、街灯電気料、町内街灯整備、灯具交換補修費等の助成につとめます。

2 コミュニティ活動の助長

 自発的な市民参加による個性豊かな地域社会づくりを推進するため、地域の特性に応じたコミュニティ活動組織等の連携を助長するとともに、コミュニティ運営委員会に対し、活動費の助成を行います。

3 コミュニティ施設の整備

 市街地におけるコミュニティ施設として、コミュニティセンターの計画的な配置につとめるとともに、市街地周辺における施設として、地域センターの拡充整備をはかります。また、町内集会所の建設等に対し補助や貸付けなどの助成を行います。

4 テレビ難視聴の解消

 情報化時代にあって、地域の生活、文化、市民福祉の向上をめざし、テレビ難視聴地域の解消をはかります。


用語解説

市民憲章
伸びゆく秋田市の市民であることに誇りと責任を持ち、明るく、豊かな町をつくるために、市民ひとりひとりが実践すべき目標を定めたもの。
コミュニティセンター
スポーツ、文化、サークル活動を通して、個性豊かな地域社会をつくるための「心のふれあいの場」として設けているもので、地区の人口規模や周辺地域におけるコミュニティ関連施設の配置状況などを考慮しながら整備している。
地域センター
戸籍事務をはじめ一般事務の取次ぎを行うほか、自治活動の振興、市民自治意識の向上をはかるため、地域における各種団体の活動支援や各種相談の処理を行う。

第2節 男女共生社会の充実

現状と課題

 平均寿命の伸長、出生率の低下、女性の高学歴化と社会進出が進む中、労政、教育、福祉の各分野において、女性の地位向上を求める社会の要請が高まってきました。 しかし、性別によって役割を固定化する長年の意識は一朝一夕には変えることが難しい反面、21世紀の長寿社会に、家庭、職場、社会のあらゆる分野において男女とも個性を生かし、あいたずさえていきいきと暮らす男女共生の環境づくりが求められています。 このため、今後は、ひとりひとりの人権が真に尊重される男女共生の意識づくりと男女が共同で支える環境づくり、また、生涯にわたる福祉の理念に基づく施策について、すべての人を対象として総合的にとりまとめた「市民行動計画」を着実に推進していく必要があります。

主な施策

1 男女共生の意識づくり

 家庭、学校、社会のあらゆる分野において男女間の人間的平等観に立った教育や学習の機会を充実するとともに、市民がつくるフォーラムの開催、情報誌の発行などを通し、広く市民に男女共生の意識づくりを進めます。

2 男女共同参画の推進

 家庭、職場、社会のあらゆる分野において男女の共同参画を進め、特に方針決定の場への女性の参加を積極的に促進します。また、そのための人材育成、就業援助等環境づくりを充実します。

3 長寿社会の男女共生

 長寿社会を男女共同で支え、すべての市民が充実した一生をおくることができるよう福祉施策と健康づくりに関する施策を充実します。また、母性(産む性)が社会的機能として重要であることの理解を深めるとともに、母子保健の充実をはかります。

4 推進体制の充実

 男女共生社会を進める諮問機関、庁内連絡組織、行政担当組織、拠点施設を充実し、男女共生社会を進める「市民行動計画」の着実な推進をはかります。


用語解説


第3節 広報・広聴活動の充実

現況と課題

 様々な施策や計画等の行政情報を広く市民に提供し、また、多種多様な市民の意見、要望、苦情等を聴いて市民の声を市政に反映させていくことは、市民参加のまちづくりを進めるうえで欠かせないものとなっています。広報・広聴活動は、情報提供と対話によって市民と行政との意志疎通をはかり、お互いの良好な協力関係をつくっていくものです。市民の日常生活に深いかかわりをもつ行政は、あくまで市民が主体となって展開されなければなりませんが、住民に対し行政への関心と参加意識をうながすとともに、いつでも市民の声を受け止める体制を充実させ、住民と行政の関係をさらに良好なものとしていく必要があります。

主な施策

1 広報活動の充実

 全戸配布の「広報あきた」、自主制作の市政テレビ番組を中心に、「けやきダイヤルハローハロー」や「公共施設案内予約システム」、ラジオ、キャプテン、市民便利帳、声の広報などの広報媒体を有効に活用し、行政情報を市民にわかりやすくお知らせします。

2 広聴活動の充実

 市民の声を市政に反映するため、移動市役所・市長ホットライン・市政協力員制度・市政モニター制度・施設見学会等を活用し、市民の意見、要望、提言を広く受ける広聴活動の充実をはかります。また、市民相談業務では、今日の複雑な社会情勢を反映して相談内容が多種多様化しており、より専門的な知識を必要とすることから、各種専門員による無料相談を行い、相談業務の充実をはかります。


用語解説

けやきダイヤルハローハロー
市役所の各種事業や手続の方法、催し物等を、電話の自動音声とファックスで案内するサービス。
公共施設案内予約システム
電話やファックス、パソコンなどで公共施設の案内や空き情報を検索するとともに、予約もできるシステム。
キャプテン
電話回線を利用し、いろいろな情報をテレビや公衆端末機で見られるシステム。
市民便利帳
市役所のいろいろな業務、市内の公共施設案内などを載せた冊子。
声の広報
広報あきたの内容を毎回カセットテープに吹き込み、視覚障害者の家庭に送っているもの。
移動市役所
市政の現状を理解していただくとともに、市長との直接対話により市民の生の声を市政に反映させることを目的に各地域ごとに開催。
市長ホットライン
市政に対しての提言・提案等について市長と直接電話で話合うことができるもので、月1回最終木曜日に実施。
市政協力員制度
市政の円滑な運営をはかるため、地区住民とのパイプ役として建設的意見、要望等を集約して市に連絡するなどの業務を担う。
市政モニター制度
市民の中から公募等により選考した市政モニターから、市政に関する意見、要望、提案などについてモニター通信葉書により連絡していただき、市政の効率的な運営に資する制度。
施設見学会
バスで市民を公共施設などに案内し、各施設がどのような働きをしているかを見ていただき、市政への関心と理解を深めてもらう見学会。
無料相談
市民の日常生活上のトラブル、悩みごと等の解決に役立ててもらうため、定期的に法律相談、公証人遺言相談、税務相談、交通事故相談、登記相談、人権・困りごと相談、各種年金・社会保険等相談を無料で実施。

第4節 行政情報の公開

現況と課題

 公正で開かれた市政と市民の市政参加をより一層推進するためには、行政情報の公開・提供が不可欠であり、このため、情報公開の制度化が求められています。 しかし、制度の実施にあたっては、文書管理体制の改善、プライバシー保護の問題など多くの課題があり、これらに適切に対応していく必要があります。 特に、プライバシー保護については、市民の関心の高まりとともに、既存の個人情報保護制度の見直しを含め、検討する必要があります。  

主な施策

1 制度化の推進

 市が保有する情報は、市民との共有財産であるという認識のもと、市政に対する市民の理解と信頼を深めるとともに、公正で開かれた市政と市民の市政参加を一層推進するため、情報公開の制度化をはかります。 また、個人のプライバシーを最大限に保護するとともに、市民にとってわかりやすく利用しやすい制度をめざします。

2 文書管理体制の確立

 文書の検索を容易かつ迅速に行うため、公文書検索システムを導入するなど、文書管理体制の整備をはかります。 また、マルチメディアに対応できる文書管理のあり方についても調査研究を進め、新しい理念に基づく公文書管理体制の確立をめざします。

3 情報提供の充実強化

 市政への関心と理解を深めるため、市民の求める情報を的確に把握し、各種行政資料等の収集管理につとめ、市民がいつでも自由に閲覧できるように情報提供の充実をはかります。

4 制度の普及・啓発

 情報公開制度に対する市民の理解と信頼を深め、適正に利用されるよう、その普及・啓発につとめます。

5 関連制度の整備

 個人のプライバシーに対する関心の高まりやプライバシーの権利の変化などに対応し、個人の権利利益をより積極的に保護するため、すでに本市において制度化されている個人情報保護制度の見直しについて検討を進めます。


用語解説

情報公開制度
行政機関等が保有している情報を住民が知りたいと思うときに、それを自由に入手し、利用できるよう、住民に対して情報の公開を請求する権利を保障するとともに、行政機関等に対しては情報を原則公開することを義務づける制度。
プライバシーの権利
「ひとりにしておいてもらう権利」あるいは「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」とされています。しかし、最近では、「自分に関する情報を、自分で管理する権利」というような、より積極的な新しい考え方に変化してきています。
個人情報保護制度
個人の権利利益を保護するための制度で、個人情報の開示だけでなく、訂正、削除、中止といった「自分に関する情報を管理する権利」を具体化する制度。

第5節 地域連携の推進

現況と課題

 県都圏の中心都市としての機能を維持していくため、周辺市町村と一体となって、交通体系、情報・通信基盤および居住環境の整備などをはかる必要があります。 また、今後の国土開発の柱のひとつに、地域連携軸構想」がありますが、本市においても、産業や文化、経済などのさまざまな分野で、地域活性化につながる地域の連携を推進していく必要があります。

主な施策

1 広域行政の推進

 3次秋田周辺広域市町村圏計画」に基づき、交通体系、防災体制、情報・通信基盤および居住環境の整備をはかるとともに、教育文化の振興と施設整備に重点をおいた施策を展開します。さらに、県都秋田市を中心とした高度な都市機能の集積を高め、高度技術産業や研究開発型企業の立地、産業の質的高度化をはかり、県勢発展をけん引する役割を果たしながら、豊かで活力ある快適なまちづくりにつとめます。

2 地域連携・交流の推進

 隣県諸都市との広域的な情報のネットワーク化、観光ルートの形成、学術研究などについて検討します。


用語解説

県都圏
県庁所在地である秋田市を含む男鹿市、南秋田郡および河辺郡の2市9町1村で構成される圏域。
3次新秋田周辺広域市町村圏計画
平成8年から17年までの10年間の県都圏内の地域の活性化および圏域住民の福祉の向上を目的に、広域的な観点から行政の調整と運営を行うための計画。
地域連携軸構想
列島の横軸に重点を置き、行政、産業、文化を広域圏でとらえ、それぞれの地域が機能を補完し交流し合う構想。「釜石・宮古―盛岡・北上―横手―秋田」を結ぶ地域はその候補となっている。

第6節 地方分権・中核市の推進

現況と課題

 市民の価値観やライフスタイルの多様化に伴い、市民ひとりひとりのニーズに応じた、よりきめ細かな対応が求められています。 そのため、本市は、これまで、市政への市民参加を積極的に進めることにより、市民の自治意識の醸成につとめながら、市民のニーズを踏まえた行政運営を行ってきましたが、住民に身近な事務はできるだけ住民に身近な地方自治体が行うことが望ましいとの観点から、地方分権の推進に積極的に取り組んできました。 このような状況の中で、全国的にも地方分権に対する関心が非常な高まりを見せており、国においては、地方分権推進法を制定するなど、地方分権の推進に積極的に取り組みはじめています。 今後は、ますます多様化する市民ニーズに的確に対応するため、引続き地方分権を推進し、本市の特色を生かした主体的な行政運営を行うことなどにより、市政の充実をはかる必要があります。

主な施策

1 地方分権の推進

 地方自治を確立するため、地方分権を推進し、国や県からの権限の委譲および財源の確保に積極的に取り組みます。

2 中核市移行の推進

 市民生活に密着したまちづくり、保健・福祉など広範なサービスを提供し、市民ニーズを踏まえた主体的な行政運営を行うため、中核市への移行を推進します。


用語解説

地方分権推進法
地方分権の理念や、国から地方への権限委譲の大枠の手順などを定めた法律。5年間の時限立法で、平成7年5月に制定された。

第7節 行政改革の推進

現況と課題

 行財政運営については、厳正かつ効率的な運用、組織・機構の改善、人材の確保、事務処理の合理化などにつとめてきました。しかし、地方分権の推進が大きな流れとなっている今日、地方自治体の果す役割はますます重要となってきており、同時に地方行政を取り巻く環境にも極めて厳しいものがあります。このため、社会の変化に対応した簡素で効率的な行政システムを確立するため、秋田市行政改革大綱」に基づき、適切な進行管理を行うとともに、必要に応じてその改善・充実につとめる必要があります。 

主な施策

1 組織体制の効率化

 行政需要の増大と住民ニーズの高度化・多様化に対応し、簡素で効率的な行政システムを確立するため、総合的見地から組織・機構についての見直しを行います。また、新たな組織体制の構築によって、充実した組織運営につとめる一方、公営企業については、その使命や厳しい経営状況を踏まえ、事業内容や経営規模の見直しなどについて検討を行います。さらに、職員の適切な配置により計画的な定員管理を行うとともに、職員研修の一層の充実につとめます。

2 事務事業の合理化

(1) 高度情報化社会や高齢社会、OA化などへの対応をはかり、より充実した市民サービスの向上と事務の効率化をめざします。 また、戸籍事務等については、電算化を推進し、住民票などの自動交付機の導入を検討します。
(2) 適正な監督のもとに民間委託を推進します。
(3) 多様化する市民ニーズにともなう行政需要の増大や、事務所の分散化など現市庁舎の抱える問題を解決するため、21世紀を展望した新庁舎の建設を検討します。

3 財政運営の効率化

 社会経済情勢の変化に柔軟に対応し、多様化する市民ニーズに的確に応えるためにも、国、県その他の補助制度等を最大限に活用するとともに財政基盤の充実につとめます。また、限られた財源の厳正かつ効率的な運用を基本とし、既存の制度・施策の見直しや事務事業についても積極的にリストラクチャリングを推進し、効率的な運営をはかります。


用語解説


おことわり

  1. 第8次秋田市総合計画は、平成8年3月に作成され、公刊されたものです。従って、計画中の数値等は当時のままになっています。HTML化するにあたり、用語解説、他サイトへのリンク等についてのみ更新・追加を行いました。
  2. 印刷物としての第8次秋田市総合計画は、市内の図書館、市役所の市民談話室でご覧になれるほか、ご希望の方は、市役所地下1階の売店でお買い求めになることができます(売価3,000円)。

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