2001年
1月5日号



勝平得之記念館

赤れんが郷土館に、1月6日(土)改装オープン

私は父が漉く紙への
愛着から版画の道に入った。
この紙が尽きても、
また新しい紙に郷土秋田の風物をかき残す。
それがただ一つの道でありこれを念願としている。


 郷土秋田の風俗や自然を色摺りの木版画に描き続けた勝平得之。この一月四日で、ちょうど没後三十年を迎えました。
 これを機に版画家・勝平得之の業績を広く知っていただこうと、このほど大町の赤れんが郷土館三階にある勝平得之記念館を大幅に改修。一月六日(土)、待望の改装オープンとなります。改装記念式典は午前十時から。当日は入館料を無料にして、みなさんのお越しをお待ちしています。
 勝平得之は、明治三十七年(一九〇四)、秋田市鉄砲町(現在の大町六丁目)の紙すき職人の家に生まれました。幼い頃から絵が達者で、二十歳の頃から本格的に版画家を志します。そして、浮世絵版画の鮮やかな色彩に影響を受けたのち、絵・彫り・摺りの三つの工程を一人で行う、独特の彩色版画を生み出しました。終生秋田を離れることなく、シンプルで素朴な刻線と鮮やかな色合いにこだわった勝平版画の世界。勝平の作品は昭和六年の帝展初入選以来、数々の美術展に入選し、国内外で高い評価を受けています。
 デザインを一新した記念館では、勝平の優れた作品を常時展示するほか、生い立ちと版画家としての勝平の姿を紹介するビデオを放映、本人が自分の作品について語ったインタビューも試聴することができます。木の温もりをいかした館内は、勝平の心の温かさそのものの空間です。
 描き残された秋田の古き良きもの…。温かで包み込むような視線で描かれた勝平版画は、今もなお、多くの人々に親しまれ、秋田の懐かしい風俗とともに、私たちの心の中に残る″ふるさと″ともいえるでしょう。
●問い合わせ 赤れんが郷土館 TEL(864)6851


没後30年◆勝平得之記念館改装記念
勝弘得之と雪国秋田の子どもたち

子どもたちの何気ない表情や雪国の遊びが、いきいきと表現されています。

と き 1月6日(土)〜4月8日(日)
ところ 赤れんが郷土館

開館時間:午前9時30分〜午後4時30分
観覧料:大人200円、中学生以下無料


勝平得之制作中
記念館に展示されている勝平得之版画制作中(昭和29年)のパネル


棟方志功個展会場で(S29.8)
昭和29年8月、棟方志功個展会場で。棟方は勝平の作品を高く評価していたという
(前列左より棟方、勝平)


雪国の市場(S6) 雪国の市場 (昭和6年)
現在の日展にあたる帝展に初入選した作品。通町の朝市を描いたもので、野菜を売る農婦たちと、お高祖(こそ)頭巾や角巻の女性、箱ぞりの子どもなど、雪国らしい情緒が漂う作品です


旭川暮色(S14) 旭川暮色(ぼしょく) 秋田十二景より (昭和14年)
秋田市に今もかかる二丁目橋から旧・土手長町を望んだ風景です。那波家水飲み場や旭川の流れは変わりませんが、丸屋根の県物産館、川筋にあった家並みは姿を消しています


いろり(S14) いろり 秋田風俗十題より (昭和14年)
秋田の冬は囲炉裏端が家族の憩いの場。雪ベラとさんぺと呼ばれるわらぐつには雪がまだ残り、子どもは手足を精一杯伸ばし暖をとる。親子の歓談の声が聞こえてきそうな作品です


かまくら(S30)
かまくら(昭和30年)
冬の月夜に照らされた横手のかまくら。ろうそくの明かりがおぼろげに、まるでおとぎの国を見るような美しさです


秋田風俗人形
勝平が制作した「秋田風俗人形」は当時、物産品として販売され、秋田の風俗を紹介するおみやげとして人気がありました



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