2001年9月28日号

特集●
児童虐待 悲しいよね

ママの笑顔が安心だよ


子どもへの虐待。
深刻な社会問題になっています

 親が自分の子どもをなぐったり、育てることを放棄する児童虐待のニュースが、ここ数年増えています。国が発表した資料によると、平成十二年度、全国の児童相談所に寄せられた虐待に関する相談件数は、一万八千八百四件と過去最悪の数字になりました(グラフ1,2)。
 虐待の主なものは、なぐる、けるといった「身体的虐待」と、子どもの健康と発育に必要な衣食住の世話をしない「保護の怠慢」です。虐待の対象は、0歳から就学前までの乳幼児が半数近くを占め、虐待者の半数以上は実の母親というのが現実です。
 核家族化・少子化が進み、地域での近所づき合いも希薄になり、赤ちゃんに接するのは自分の子どもが初めてというお母さんも増えました。頼りになる祖父母は近くにいない、近所に頼れる知り合いもいないという環境が、児童虐待という社会問題に大きく影響しています。
秋田県の虐待に関する相談件数は、十二年度で五十件。鳥取県に次ぎ、全国で二番目に少ないのですが、年々増加傾向にあります(グラフ1)。
 秋田市でも、十一年度十六件、十二年度二十一件、今年度は八月末で三十四件にもなり、二年前には二十歳の若いお母さんが乳幼児をお風呂に沈めてしまう悲しい事件も起きています。しかもこの件数は、実態からすると氷山の一角ではないかと言われています。





特別な人が引き起こす問題ではありません。

 虐待の原因や背景は、ケースによって様々です。一般的には、「親自身も虐待を受けたことがある」「子どもが嫌い」「夫婦間がうまくいっていない」などと言われています。しかし、中には責任感が強く、完璧主義のまじめなお母さんがストレスを抱え込み、虐待に走った事例もあります。
 子どもへの虐待は、特別な人が引き起こす問題ではありません。そもそも人間は「喜怒哀楽」という感情を備えた生き物です。怒ることは誰にでもあることだし、感情的に子どもを叱ることだってあるのです。
 昨年、「児童虐待の防止等に関する法律」が施行され、子どもの人権を保障する社会の仕組みができました。しつけと虐待。その違いは、親の行為に対し、子どもがどう感じているかで判断されることになります。
 虐待はもちろん許されませんが、ただそれだけを責めても問題はなかなか解決しません。子どもの虐待は、家族全体がかかわる問題ですから、虐待された子どもを救うだけでなく、虐待をしてしまった養育者も援助する視点が大切になってきます。
 近所で虐待にあっていそうな子どもがいたら、市の子育て総合センターや児童相談所に連絡してください。早めの対処が、子どもとその家族の未来を救うことになります。

子育てはわからないことだらけ。一人で悩まず相談を

 子どもが二〜四歳の頃になると、お母さんの悩みはピークになるといいます。自我が芽生え、元気に動くようになるけれど、言葉がうまく通じない。そんなはがゆさを感じながら、家で子どもとだけ向き合う毎日では、精神的に追いつめられてしまいます。
 子育てに不安や悩みが出てきたら、とにかくだれかに相談してみましょう。近くに知り合いや親がいない場合は、育児の相談機関に、まず電話してください(四ページ参照)。
 「こんなことで電話するのも…」と心配する必要はありません。だれかに聞いてもらうだけで気分は楽になるものです。また、公園で同じくらいの子どものいる友だちをつくったり、育児サークルに参加するのもいいでしょう。毎日の育児に変化が出て、参考になることも多いはずです。
 子どもの笑顔、お母さんの笑顔。みなさんは楽しい子育て、してますか。


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