2001年11月9日号

先人の足跡

秋田港の築港にかけた生涯
100年前に初めて電灯ともす

 日本海の北前船交易で古くから発展してきた土崎港。明治時代、汽船の本格的登場によって近代化を余儀なくされる港の将来を、大望をもって考えたスケールの大きな若者がいました。若者の名は近江谷栄次(一八七四-一九四二)。このほど、氏の略伝を綴った「近江谷井堂」復刻版が出版されます。


火力発電所を建設。
土崎港に多大な功績…

 八郎潟町に生まれ、十六歳で土崎の豪商の養子となった近江谷栄次氏は、現在の日本海時代の到来を早くから予測し、私財を投じその生涯をかけ、秋田港の改修工事を行いました。改修工事は、築港から十三年を経た明治三十五年に完成。そこは「近江谷波止場」と呼ばれました。
 また、現在の土崎南小学校の地に県内初の火力発電所を建設したのも近江谷栄次氏です。明治三十四年、秋田市の民家に初めて電灯がともり、それから今年でちょうど百年目をむかえました。近江谷がともした電灯は、秋田市の中央部から、県内全域へと広がっていきました。
 さらに、近江谷栄次氏は現在のJR土崎工場を誘致するため、将軍野の近江谷家所有地三万坪を無償提供するなど、郷土発展のため数限りない功績を残しています。


略伝近江谷栄次(井堂)の
復刻版を出版します


 ご親族や関係者が保存していた近江谷栄次氏にまつわるたくさんの書類を整理して、48ページにわたる資料記録ができあがりました。この資料記録を昭和46年に出版された「近江谷井堂」の追補として合巻、復刻することになりました。復刻版は11月15日発売で、一冊千円です。かねこ書店(土崎)、加賀谷書店でどうぞ。

みなと文人企画展
近江谷栄次展

 近江谷栄次がいままで残した数々の足跡をごゆっくりご覧ください。入場無料。
とき/12月15日(土)まで
ところ/土崎図書館2階
●問い合わせ みなと文人展企画同人の白山孝雄さん TEL(845)6913



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