2001年12月14日号

市長ほっとコラム

新世紀・激動の幕開け


 かつて私たちの多くは、二十一世紀は科学の進歩や、グローバル化の中で繁栄を享受する希望の世紀というイメージを抱いていました。
 しかし現実は裏腹で、長引く不況や、唯一順調だったIT産業の急落、その中で拡大する雇用不安や国・自治体の財政逼迫などに加え、史上類をみないテロ勃発に端を発した世界的な情勢不安、さらには狂牛病の国内発生など、新世紀の扉を開けた途端に雲行きが怪しくなってきました。
 このような中で、最近は先行き悲観論や「縮こまり症候群」ともいえる消極的風潮が目立っていますが、果たして二十一世紀はそんなに悲観的な時代になるのでしょうか。

 二十世紀はすべての事柄が極めて急速に進んだ時代で、端的に言えば人類がそれまで数千年間かかって積み上げた歴史を、一世紀の間に一挙に進ませた時代とも捉えられます。
 我々人間も、全速力で走った後は息も途切れ体力も減退します。
 どんな場合でも、急激に物事が進んだ後は必ずその反動として常態ではない現象が起きるのは自然の摂理ですし、人間社会においても同じようなものではと思うのであります。
 長い歴史の中のわずかの瞬間である今・現在にばかり目を向けての消極発想では何も解決しません。
 新しい時代をどう生きていくべきか、様々な持ち場で何をなすべきか、今こそ、それぞれが知恵を絞り出す時ですし、将来への前向きな展望を探りながら最善を尽くすべき時です。
 しかし一方で、自治体であれ、企業であれ、また個々人の生活であれ、これまでの発想や思考、常識が拠り所にならなくなったことも確かであり、自己決定・自己責任、自立・自助の時代に入ったとも言えます。
 市政にあっても、少子高齢社会や経済構造改革への対応、財政難の中での社会基盤整備など、真に必要な政策を展開するため、行財政改革をもう一段進めなければなりません。
 市民の皆様にも、「今まではこうだった」「あれもこれも市役所に要望して」という発想を捨てていただかなければならない場面も間々ありましょうし、真に困っている人や未来を生きる子供たちのために、痛みを分かち合ってもらわなければならないことも出てきます。
 今を全力で乗り切り、将来に希望の輝きを見つけるために、新たな気持ちと意欲を抱いて新しい年・二〇〇二年を迎えたいものです。
 市民の皆様には、寒さに向かう折、風邪など召しませぬように。



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