2002年3月8日号

市長ほっとコラム

春遠からじ


市長●佐竹敬久

 今年は暖冬のおかげで、市役所前の芝生も、心なしか例年より早く芽吹いてきたように見えます。
 春は、入学・卒業、就職・退職など、多くの人々にとって人生の節目となる季節で、特に若者にとっては希望の季節という側面があります。
 しかし、今年は深刻な就職難で、市でも経済・雇用対策に力を入れており、一人でも多くの方に職に就いて頂きたいと願っております。
 ところで、戦後半世紀以上にわたり、日本人は常に「明日は今日より豊かに」という経済観念で過ごしてきましたが、ここに来てこれが通用しなくなり、今大きな岐路に立たされております。
 このような中で、特にテンション民族?(日本人はすぐ過敏な反応をするという意味の俗語)と言われる民族性からか、世相はともすれば悲観的になりがちで、過剰反応な面も見え、もう少し気持ちに余裕を持って冷静に対応できないものかとも思うことが多くなってきました。
 「深刻な不況の中で、そんな悠長なことを言えるのは、首切りがない役所だけだ」というお叱りもあると思いますが、個々の経済・雇用対策には行政も様々な手を打っています。


 しかし、GDP(国内総生産〜簡単に言えば日本全体の稼ぎ)が世界第二位の五百兆円を超すほどの経済規模に膨らんだ現在では、たかだか数十兆円程度の国と自治体の事業執行や経済対策など直接的な財政波及で経済全体をコントロールすることは所詮無理なことです。
 今為すべき大切なことは、当面の対策をタイミングを失せずに実行することは勿論ですが、「昨日と同じ明日はない」という意識を持って、過去の経験にとらわれずに、通用しなくなったルールに気づき、代わりとなる新しいルールを早く創り上げることや、厳しい国際社会ルールの中で生きて行けるための適応力を付けることなど、本質的な対応に近づきながら、日本のこれからの進路を見出すことではないかと思うのです。

2月26日に外旭川小で行われた新1年生の体験入学

 しかし、既成概念に凝り固まった我々の世代では自ずと限界があり、最終的な解決は垢に染まっていない次代を担う若者の双肩にかかることが多いのではないかとも思います。
 若さと希望の季節、この春に新しいスタート台に立つ子どもたちや青少年には、いずれは、経済面などの数値は少し後退したとしても、数値には表しようのない、心豊かに自然を愛でる素晴らしい日本の春を再び呼び戻す原動力になってほしいものです。 


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