2002年5月10日号

市長ほっとコラム

男子厨房に入る(?)の考

市長●佐竹敬久

 趣味や特技を聞かれた時に、いささか自慢げに答えるのは、「料理、プラス買い物、後かたづけ付き!」ということにしております。
 私が台所に立つようになったのは大学生時代で、実家から米・みそは送ってもらえたことから、自炊の方が安上がりで自由だということで、木造のぼろアパートに、同じ大学で山岳部出身の料理経験豊富な友人と一緒に住み始めたのがきっかけです。
 したがって、最近のグルメブームや男女共生・夫の家事分担というようなことからではなく、必要に迫られてということになりますが、結婚してからも続け、今でも忙しさの合間をみては近所のスーパーで買い物をし、ごく普通の食事を作り、忙しくなった妻のご機嫌を取りつつ、妻が「神経たかれ」というほど、後かたづけもキッチリやっています。
 ただ、市長に就いてからは顔が知られているので、買い物をしていると「市長さん、奥さんの体の具合でも悪いのですか」と聞かれることがあり、苦笑いという場面もあります。

 また、よく得意な料理はと聞かれますが、もともとのきっかけが満腹感を満たすためのものでしたので、冷蔵庫の中の残り物を組み合わせた正体不明のものから、今では和食、中華、パスタ料理、あるいは一通りのおせち料理的なものまで、少しはこなせるようになりました。
 ところで、この欄は私の自慢話をするところではありませんので、少し教訓めいた話をさせて頂きます。 最近は「生活者優先の政治」ということがクローズアップされますが、「知らずに解らずに語るなかれ」という癖が抜けない理工系出身の私の信条からすれば、台所に立つことが意外と具体的な市政の考え方の勉強になるということです。
 最近、食材の安全性や信頼性を損ねる事件が多くなっていますが、何がどのようにして売られているのか、見たことも聞いたこともない人、いわば生活者とは縁遠い「偉い人」たちが物知り顔で話す言葉やパフォーマンスには何か実感が伴いません。この点に関しては、「現場経験」のあるほうが、少しは市民的発想に立つことができるのではと思います。
 また、売り場に山と積まれている生産形態が解らないような輸入食材を見るにつけ、安全で風土になじんだ食材の安定供給のための日本農業の大切さを実感することができます。
 時は秋田が誇る山菜シーズンに入り、妻にいささか呆れられながらも、満足げに台所に立つ今年のゴールデンウイークです。


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