2003年1月6日号

しあわせ実感
緑の健康文化都市
始動!2003
秋田市長 佐竹 敬久


県内各都市の住民の目を
秋田市に引きつけたい。

 皆さま、それぞれに想いを抱きながら、新しい年をお迎えのことと存じます。
 激動の時代ではありますが、本年がおだやかな中にも明日の希望につながる躍動の年になりますよう念じております。
 さて、タイトルの「しあわせ実感 緑の健康文化都市」。これは現在策定中の新しい秋田市総合計画の理念を一言で表したものです。あえて解説がいらないほど、単純明快、文字どおりの意味です。
 それでは、この理念で築きあげていく秋田市の将来像やそのベースとなる主要な事業、市政の課題などをいくつかご紹介しましょう。

県都としての高次集積都市の実現
都市として結晶するもの

 秋田県内においても、各都市間高速道路ネットワークがほぼ整備されつつあります。また、平成九年の秋田新幹線開通に加え、物流拠点やフェリー港としての秋田港、ソウルとの国際定期便が就航した秋田空港など、ここ数年の交通基盤の拡充には目を見張るものがあるように思います。私は、このことを大きなステップとして、秋田市の将来のまちづくりや地域おこしを考えています。
 例えば、商業やサービス業においてですが、大曲市や私の故郷角館町の住民は、盛岡市に買い物や観劇に出かけることが多いようです。また、大館市民は弘前市に、横手市民は秋田自動車道を仙台市方向に足を延ばすことが多いとも言われています。
 要因の一つは、高速道のネットワークがこれまで県内において未整備で、かつ岩手県や青森県の都市と先につながったことにあります。さらには、いささか述べにくいことですが、これまでの行政の認識不足や商業、サービス業関係者などの努力不足と、それに起因する都市の魅力の欠如があったと思います。
 このようなことから、県内各都市の住民の目が、まず先に隣県の主要都市に引きつけられ、秋田市を向いていなかったということが考えられます。「県都としての高次集積都市の実現」というのは、秋田市にその目を引きつけようとする取り組みのことなのです。
 そのためには、高速道のインターチェンジ周辺や、それにつながる既成市街地などをポイントに、全県域を集客対象とする商業集積などをはかるべきではないかと考えています。さらには、芸術文化や学術、医療、福祉、工業、観光サービス、都市緑化などの広範な分野においての集積についても同様です。
 これは、都市の魅力の源泉を高い機能の集積に求め、結晶させるものであり、単なる旧市街のリニューアルとは違います。
 すぐに実現するような構想ではありませんが、この先、夢を大きくふくらませていきたいと思います。

コールセンター
チャレンジオフィスあきた 地域IX
IT社会の申し子たち

では次に、新世紀らしいホットな話題に移りましょう。
昨年末でしたが、県市一体の精力的な取り組みが実を結び、国内の有力な数都市の中で秋田市の優位性が高く評価され、株式会社プレステージ・インターナショナルの誘致が決定いたしました。
 これは、新屋の西部工業団地に、高速通信回線を利用し電話や電子メールによる顧客サポートサービスを行う、いわゆるコールセンターが進出するものです。
 本年十月に操業開始予定であり、初年度に二百名、フル稼働する五年後までには合計五百名の新規雇用を見込んでいます。
 相次ぐ企業の倒産や撤退など、一段と厳しさを増しつつある経済・雇用情勢の中で、久々にインパクトがあり、大きな波及効果が期待できる企業の進出です。
 一方、土崎の旧秋田市ガス局庁舎を高速通信インフラの整備された創業支援施設として改修した、チャレンジオフィスあきた(COA:Challenge Office Akita)が、いよいよ二月一日にオープンします。
 ここは、意欲あふれる起業家に事務スペースを低料金で提供し、IT関連企業などの大きな可能性を秘めた起業活動に対し側面から支援するもので、必ずや本市の産業振興につながるものと考えています。
 また、この施設の大きな特長は、秋田県が進める秋田地域IXプロジェクトがCOA内で展開されることにあります。東北初となるこのIX(Internet Exchange:インターネットの結節点)の運用により、本市における情報通信環境は飛躍的に向上し、高速大容量通信回線の利用が可能になることから、ビジネスチャンスの拡大が期待されています。
これらを契機として、ITやベンチャーなど新時代に対応した商工・サービス業の振興と雇用の拡大に力を注いでまいります。

子どもたちの元気な声がこだまします
…白百合保育園で

産業振興のため、起業活動を支援します
…COAに入居が決まった(株)アルテのみなさん


保育所待機児童の解消へ
子育て支援に力こぶ

 安心して子どもを産み、育て、健やかな成長を願う、そのための環境づくりは、今や行政運営の根幹の一つです。そのため、現在、福祉施策のみならず教育や労働・雇用、男女共生の視点など、本市の施策を総動員して取り組んでいるところです。
 とりわけ、保育所入所待機児童の解消は、最重要課題ととらえています。昨年は、飯島地区と泉地区で認可保育所が開設されたほか、東通地区の認可外保育施設を新たに認可しています。加えて、市独自の認定保育施設に対しては、低年齢児受け入れ拡大のための助成を開始いたしました。さらには今年、土崎地区において、認可外施設の認可を予定しております。
 今後とも、幼稚園による保育事業への参入促進や認可外施設の認可、保育所の改築にあわせた定員増、規制緩和に沿った児童の受け入れ拡大などに積極的に取り組んでまいります。そして、三年後をめどに待機児童の解消をはかりたいと考えています。

地産地消は
農業のチャンス
めざせ高度な食農集団

 一昨年、我が国で初めてBSE(牛海綿状脳症)が確認され、食の安全性に対する信頼は大きく揺らぎました。また、食品の偽装表示や中国産野菜の残留農薬問題、無登録農薬問題など、食と農をめぐる重大な出来事が相次ぎましぎました。このため、安全・安心で良質な農産物・食品に対する関心が急激に高まってきています。
 先進国の中でも極めて食糧自給率の低い我が国にあって、消費者が求めているものは、外国産より価格的には高くても安心・安全な農産物でしょう。その意味で国内産への期待は大きく、生産と消費が直結した安心できる食生活を実現するために、生産者と消費者間の「顔の見える関係」が求められています。食品の生産・流通履歴を示すトレーサビリティシステムなどは、まさにこのような動きから生まれたものです。
 この状況は、我が国が戦後一貫して工業化社会を突き進み、大量生産・大量消費社会を築きあげてきた中で、退潮を続けた我が国農業にとっては大きなチャンスだと思います。
 本市も絶好の機会を見逃すべきではありません。私は、地場産農産物を活用した学校給食への安定供給やスローフード運動、学校農園や郊外型市民菜園の設置などを通じて、地産地消体制の確立をぜひ実現させたいと考えています。
 これらの施策が有機的に効果を発揮し、農業サイドでは生産の拡大がはかられ、消費者サイドにあっては、秋田の大地から生まれた食をとおして真の豊かさを享受し、また、商業においての活発な取り引きの拡大を切に願っています。
 行政を含む本市の農業や商業などの関係者は、食と農に関してはプロフェッショナルであり、職能ならぬ、高度な〃食農〃集団をめざすべきであると思います。

「顔の見える農業」へ…飯島地区ふれあいランド

地域で支え合うこころを育みます
…昨年11月にオープンしたウエルビューいずみ

自分たちでお米を育てる学校農園



Copyright (C) 2000秋田県秋田市(Akita City , Akita , Japan)
All Rights Reserved.
webmaster@city.akita.akita.jp