2003年5月9日号

市長ほっとコラム

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地方選挙と地方分権

市長●佐竹敬久

 今年のお花見は市議会議員選挙と重なりましたが、残念ながら雨模様の日が多く、市内の桜の名所はいささか寂しげな風景でした。
 さて、今回の統一地方選挙を全国的に見た場合、近年顕著になってきた無党派現象という流れが一層加速し、積極的に無党派を標榜したり、あえて政党と距離をおく候補者が多くなりました。
 この原因については、マスコミや評論家などからさまざまに語られていますが、そのひとつに、近年の急速な地方分権の流れや国の財政危機などがあるような気もします。
 これまで、地方自治という言葉は存在しましたが、実際には自治体の運営は権限的にも財政的にも国の強い関与下にあり、いわば国が頂点に位置し、その下に県、市町村と続く中央集権的構図と言っても過言ではありませんでした。
 このような状況下では、当然に政治の場でも、各政党所属の国会議員を頂点に、知事や県議会議員、さらにその下に市町村長や市町村議会議員と続く序列・系列が存在し、多くの場合、選挙や政治活動において、それぞれ何らかの系列に属したほうが政党組織や系列の後援会組織を活用できるなど、都合が良かったという側面があったのは確かなようです。
 しかし、国の行財政運営の行き詰まりの打開策として、自治体に対する関与権限の縮小や、財政支援の縮減、すなわち地方分権の流れが定着する中で、相対的に自治体の自立性・独立性が強まり、しだいに国会議員が上で地方議員が下という構図は、意識的にも実体的にも薄くなってきたような感じがします。 
 よく解釈すると、本来、国政と地方政治はそれぞれフィールドが異なるのであって、上下・主従という関係ではないという正しい認識が広まってきていると言うことができるのではないかと思います。
 加えて、住民の平等意識や男女共生意識が高まる中で、特に身近な地方選挙では、ともすれば権威的に見えがちな政党や系列よりも、まずは政治家としての素養や独自の政策などを主要な選択肢とするようになり、また政党候補の場合においても候補者の人となりに重きをおく傾向が強くなっているものと推察されます。
 政党にとっては選挙というものを大変に難しくする無党派現象ではありますが、党勢拡大のためには、序列・系列指向から脱皮し、誰でも参加しやすい分権型の風通しの良い政党への転換が急がれる時代になってきたような気がします。

4月27日、市議会議員選挙の開票作業


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