2003年7月25日号

緑あふれる新県都づくり

市町合併シンポジウム


 七月五日、秋田市文化会館で、秋田市・河辺町・雄和町合併協議会(任意)が主催した「市町合併シンポジウム」が開催されました。
 一市二町から約八百五十人が参加し、市民、町民が一緒に合併を考えました。

 はじめに、秋田公立美術工芸短期大学の石川好学長が「建都四百年からニュー秋田発進」の演題で基調講演を行いました。
 この中で石川学長は「建都四百年という歴史的節目と同時期に、市町合併というまちづくりの大事業が行われることは大きなチャンス。十年後を見据えつつ、北東アジアという広域的・国際的な視点に立った新しい秋田のまちづくりを進めるべき」と一市二町の合併にエール。
 その一方で「住民も行政サービスを求めるだけではいけない。それが、現在の国と地方の借金体質を作ってしまった」と指摘。「自治体が自分たちに何をしてくれるかではなく、自分たちが自治体のために何ができるかという発想の転換が必要」と、住民側のありかたについての話もありました。
 このあと、両町住民や池村秋田大学教授、佐竹市長、大山町長、伊藤町長による意見交換が行われました。

真の「田園都市」の実現を

基調講演・コーディネーター
秋田公立美術工芸短期大学学長
石川 好
 秋田市とその周辺は、都市と豊かな自然が共存しています。一市二町の合併により真の「田園都市」が実現できるのではないでしょうか。河辺町、雄和町のみなさんも「秋田市に飲み込まれる」という考え方ではなく、「秋田市に参加する」という意識を持つことが必要です。
 新秋田市の実現に向け、イマジネーションを発揮し、他に類のないような独自施策を展開していただきたい。秋田にはそれができます。

町民を代表して

雄和町社会教育委員・地主重子
河辺町社会教育委員・山本美喜子
これが心配 ●税金や介護保険料などの住民負担の増加
●冬季の除雪水準の維持
●町内循環バスや町独自の行政サービスの継続
●従来から河辺町で実施している福祉・保健サービスの継続
●町政の指針である河辺町総合計画の考え方の継承
●地域住民に親しまれている岩見三内支所の継続
これに期待! 高尾山、糠塚の里、設置予定の国際教養大学など、雄和の地域資源の有効活用
お互いの交流が深まり地域の一体感ができること
一市二町の共通認識に基づく景観・環境保全活動
市民活動の活性化による新しい視点でのまちづくり
秋田駅を中心とした、両町を含む範囲での交通の利便性の向上
両町の豊かな自然を活かした観光振興やグリーンツーリズム(※)の推進
※都市住民が農山漁村に滞在し、地域の自然や文化、人々との交流を楽しむ余暇活動。

一層の行政改革が必要

秋田大学教育文化学部教授 池村好道
 合併は少子・高齢化の進行や行政改革の限界、国から地方への歳出削減といった社会の構造的変化に対応したものです。また、広域的視点に立った施策の展開が可能になり、わが国全体の発展につながるものであることから、積極的な推進が必要です。
 しかし、合併はバラ色ではありません。住民自治の弱体化やサービス格差の発生などが懸念され、合併とあわせて、公共施設の規模縮小や廃止など一層の行政改革も必要でしょう。行政サイドは合併に伴うデメリットが生じないよう、鋭意対応に努める必要があります。

市民の観光資源が豊富

河辺町長 大山博美
 将来の財政環境などを考えて合併を決断しましたが、合併を進めるにあたって、これまで育んできた河辺固有の歴史や文化を大事にしていきたいと思います。清らかなせせらぎに代表される豊かな自然や整備された高速交通体系を活かして、観光を中心とした一層の地域振興をはかることができると考えています。河辺町には秋田市民の憩いの場として活用できる地域資源もたくさんあるので、有効活用すれば住民同士の交流による一体化もますます進むでしょう。

国際交流の拠点に

雄和町長 伊藤憲一
 地方分権の推進など、今後の地方自治体を取り巻く環境を考えると、合併は避けて通れないと判断しました。
 しかし、昭和三十一年の合併から四十七年間の歴史を刻んだ、雄和町の文化や風土を秋田市民にも理解してほしいし、秋田市の行政制度に合わせるとしても猶予期間は必要だと考えています。雄和町は国際化に自信があり、合併後は国際交流の拠点地域になれると期待しています。

新しい都市をともに作りあげていく発想で

秋田市長 佐竹敬久
 編入合併が想定されることから、基本的に秋田市の行政制度に統一することになりますが、両町固有の事情には十分配慮します。また、両町の住民にとっては税金などの負担が増えることになるかもしれませんが、行政サービスも相応に充実するのでご理解願いたいと思います。
 それぞれの地域資源を有効活用することで、都市の可能性が大きく広がります。その中で、都市近郊の農業モデルの確立にも取り組みたいと考えています。
 合併を進めるにあたっては、河辺町と雄和町が秋田市にくっつくという考え方ではなく、ともに新しい都市を作りあげるという発想でのぞみます。
 それによって、誇れる郷土、豊かな郷土を子どもたちに残すことができると確信しています。

●シンポジウムを聴いて●


安心しました

佐藤眞佐子さん(河辺町)
 これまで、吸収合併とか編入合併といった言葉を聞いて、なんだか不安な気持ちでした。でも、今日の市長さんたちの前向きに合併を考える言葉を聞いて、安心した感じです。

お互いの長所を活かして

石井範夫さん(雄和町)
 市長、両町長とも、町民の意向を十分に考えた発言をしてくれてよかったと思います。合併で、お互いの長所をうまく併せ持った市にしてほしいですね。

私たちも考えます

伊藤史子さん、加藤千尋さん(雄和中学校3年)
 今、総合学習の授業で「雄和をもっとよくする」ということを考えています。わたしたちは「合併」をテーマに選んだので、今日のシンポジウムを聞きに来ました。難しい内容もあったけれど、やはり自分たちも考えなければいけない問題なんだなと思いました。

TVガイド

このシンポジウムの模様を明日26日(土)テレビ放映!
「緑あふれる新県都づくり」
AKT秋田テレビ
7月26日(土)午後3時30分〜4時24分


Copyright (C) 2003秋田県秋田市(Akita City , Akita , Japan)
All Rights Reserved.
webmaster@city.akita.akita.jp