2003年11月28日号

安全・新鮮・安心
やっぱり地元産がおいしいね!


 地元で生産された野菜や果物、肉、魚などを、地元でおいしく消費しようという″地産地消″。以前は当たりまえだった「地元でとれた食べ物を地元で食べる」 ことが、改めていま見直されています。


「安心」も商品価値の大切な要素です

 私たちが毎日口にする食材がどこで作られ、収穫されたかということを、いままであまり気にすることはありませんでした。しかし、ここ数年、農薬汚染などの問題に関心が高まるにつれ、私たち消費者は、より安全に、安心して食べられる食材を選ぶようになりました。
 農家のみなさんも、お店で売られる野菜に作った人の名前を表示したり、直売所を開いて朝採り野菜を直接売ったり、自分たちが作ったものに自信があるからこそできる方法で、消費者ニーズに応えるようになってきています。
 消費者にとっては、作っている人の顔が見えることで、商品と一緒に「安心」も買っているといえるでしょう。

地元でとれた旬のものがおいしい

 流通経路や生産・保存方法が発達し、最近は季節に関係なく、いろいろな野菜や果物を食べることができるようになりました。
 食べたいものをいつでも食べられるようになった反面、いわゆる「旬」のおいしさを味わう感覚が薄れてきているようにも感じます。
 遠い場所で作ったものを取り寄せるということは、そのぶん輸送費がかかることにもなります。地元産であれば輸送費も安く、より新鮮なうちに食べることができます。
 その土地の気候、風土に合った旬の農産物を新鮮なうちに食べられるぜいたく。地元産の食材だと思って口にはこぶと、かみしめる味もいとおしく、また格別です。
 食べ物は「やっぱり地物が一番!」。私たちは今一度、命を育む食の大切さ、そして、食を生み出す農業や漁業の大切さを知る必要があります。

農畜産物を直売してます!


お客さんとの楽しいふれあいを大事に、直売を続けます

JAふれあいランド・旭川販売所代表
石井ミオ子さん(上新城中字家の後)
 毎週木曜日、泉一ノ坪で農産物の直売を行っている「JAふれあいランド旭川販売所」。農業を営む会員がつくった野菜、すまし餅、きりたんぽなどを新鮮で安く販売しています。石井さんの自信作は漬け物だそうで、「これ私が漬けたのよ」と言えばみんな買ってくれるとか。
 石井さんは、「みなさん、安全で新鮮なものを選ぶことがよくわかりました。お客さんは、私たち生産者と対面することで、スーパーマーケットにはない、アットホームな雰囲気を味わえることが気に入ってくれているようです。私も話し好きだから直売は楽しい」と笑います。お年寄りの身の上話につき合うこともあり、そういう触れ合いを大事にしているそうです。
 野菜づくりは、「なるべく虫をつけない。それでいてなるべく農薬を使わないで安全に配慮するのが大変です。農薬を使う時期などには十分気を使い、ほとんど薬を使わない低農薬野菜を作っています」とのこと。
 「丹精込めて作った野菜を、こうしてお客さんとお互いの顔が見える形で売るのがいいんです。これからも直売は続けたいですね」と直売の楽しさを話してくれました。

豚とともに生きているから品質に自信あり

岩波農場(太平山谷字大沢)
岩波重勝・美和子さん
 岩波さんは、太平山谷で養豚場を営んでいます。五百頭近くいる豚は、雨風が入り込む吹きさらしの豚舎で丈夫に育っています。
 「農業の基本を突き詰めたら『自然』に行き着きました。より自然な状態で飼育すると意外と病気にかかりにくくなるんです」と岩波さん。「豚と同化し、一緒に生活していると、豚の体調や次に何をしてほしいかがわかってくるんです」と飼育の秘けつを教えてくれました。
 岩波さんは、自分がおいしいと思う豚を育てるため、十年前に中国系の黒豚を導入し、品種改良に取りかかりました。 
 「品種改良は先の見えない作業でした。肉と脂肪の絶妙のバランス、におい、色、見た目、味、最後に残る豚独特の甘み、これらをすべてクリアしないと、お客さんは次も買ってくれません」。
 素材のおいしさをじかに伝えたいと、豚肉の販売は一部JAの販売所に卸しているほか、市内産農畜産物直売会での直売や配達が中心とのこと。特に直売に来るお客さんは味への要求が高いそうです。
 「直売では、肉のうまみを味わってもらうため、必ず試食をしてもらっています。お客さんの肉に対する評価を直接見ることができ、自分が今どのレベルの豚肉を作ったかよくわかります」と岩波さん。
 お客さんからは、「牛肉に劣らないくらいおいしい」「むしろ牛肉よりうまい!」と評価をいただくそうです。
 「おいしい肉を自信を持って出せるまで十年かかりました。これからも豚と共生し、良い生涯が送れる手伝いをする意識で飼育に取り組みたいと思います」と、その熱意を語ってくれました。
 岩波農場tel(838)2192

各地区の直売所

販売所=場所
 追分=JA新あきた追分支店前 南=上北手の遊学舎近く 飯島=組合病院近く 旭川=泉駐在所近く 四ツ小屋=JA新あきた南流通センター前 仁井田=JA新あきた仁井田支店倉庫前 広山田=JA新あきた明田支店前 彩菜館=泉馬場 詳しくは農政課tel(866)2115

市内産農畜産物の直売

とき/11月30日(日)午前9時〜午後2時
ところ/秋田駅前 買物広場大屋根
 市内の農家が丹精込めて作った新鮮な野菜、漬け物、米加工品、豚肉などを販売します。
●問い合わせ 農政課tel(866)2115

地元産を学校給食へ


 地元でとれた新鮮な野菜などが学校給食の食材に使われています。地域の農業や食文化を理解する「農と食の教育」の一環です。学校給食における市内産の農産物の使用率は約三%。今後この割合をもっともっと増やしていきます。


子どもたちに、ぜひ畑に来てもらいたいね

野菜の提供農家に聞きました>
学校給食に食材を提供している
榎政良さん(四ツ小屋字上野)
 市内の小学校へ、自分の畑でとれた新鮮なキャベツやブロッコリーを提供している榎さん。
 「六月から十一月過ぎまで週二、三回は野菜を納めています。キャベツは一度に四百個、ブロッコリーは二百から三百個くらいかな。大人数の食材だから、調理の手間がかからないように品質には十分気をつけています」と話します。
  もうすぐ冬を迎えるこの季節でも、榎さんの畑には青々とした野菜がいっぱい。
 「おいしい野菜をつくるには、やっぱり土づくりが重要。うちの畑は米ぬかをまいていて、肥料の効果がジワっと効いてくる土だから、葉っぱの緑色も新鮮に長持ちするんだよ。次代を担う子どもたちだから、安全で安心な地元産の野菜を自信を持って届けないとね」と、言葉に力が入ります。
 自然相手の農業だから畑では学ぶことが多いと言います。「子どもたちには、実際に野菜をつくっている畑に来てもらいたいね。畑に来ないとわからないことがあるから。育ちかた一つとっても野菜の種類で違うし、季節ごとにどんな野菜がとれるかもわかる。何事も生きた素材に肌で触れることが一番大切なんだよね」と話してくれました。

榎のおじさん、残さず食べたよ!

 榎さんの畑でとれたキャベツが届けられた川尻小学校では「ツナサラダ」として調理されました。
 みんなあっという間にペロリ。とってもおいしかったよ!

消費者と生産者の交流も大事です

 市では、消費者と生産者が、お互いに顔の見える関係になるよう、収穫体験などを通じ、消費者と農家の交流の機会をつくっています。参加した消費者グループのかたに感想をうかがいました。

「環境」「健康」「経済」のバランスが課題

 こまちの会会長 小山澄子さん

 実際に生産者の話をお聞きし、後継者不足、農薬を減らす工夫、経営方針の見直しなど、農家の大変さがわかりました。
 消費者側の勉強も必要ですね。消費者は、生産者の現場をもっとよく見て積極的に農業に関わり、消費者自身への宣伝役となることで、農業への理解が深まると思います。
 これからの農業を考えるうえで「環境」「健康」そして「経済」のバランスをとっていくことが課題だと思いました。この体験で学んだことを多くの人に伝えられたらいいですね。

生産者のこだわりが感じられました

暮らしを考える女性の会副会長 田中久子さん

 今回の体験で農業に対する関心をより強くしました。生産者は無農薬に近づける努力や、その日とれたものはその日のうちに消費者に届くようにする、「デイ・ゼロ」につとめていることがわかりました。
 子どもたちも学校で農業体験をしているようですが、実際農家を訪ねてみるといろんなことがわかり、給食に対する意識が変わると思います。給食を残す子どもがいなくなるかもしれないですね。
 農家の人たちはそれぞれにこだわりを持って作業に取り組んでいます。それがわかっただけでも勉強になりました。

あきた県産食材を堪能する夕べ
食材の魅力を再発見

 11月12日、ゆとりある「スローフード」と地元食材を見直そうと、市内のホテルで「あきた県産食材を堪能する夕べ」が開かれました。
 参加した350人は、「金浦漁港産鮭の燻製姿作り」「比内地鶏の粗塩パイ包み焼き」「由利産黒毛和牛ロース肉のポワレ」などの料理を、地酒、地ビール、地ワインなどを飲みながら堪能。一流シェフにより和洋中に味付けされた県産の食材は、普段の料理とはまた違う魅力が引き出され、その奥深い味にみなさん満足した様子でした。

おめでとう優秀農家

 確かな技術と優れた経営能力で地域農業のリーダーシップを発揮している優秀農家のみなさん。今年は次のかたがたが受賞されました。

最優秀賞 自立専業経営体部門(個人)
松本重春さん(上北手小山田字小山田)

 水稲と畜産の複合経営です。水稲部門では、積極的な農地集積と、土壌改良剤の投入、自家製堆肥の利用など、循環型農業に取り組んでいます。畜産部門では、転作田を利用した放牧や、市内最大の繁殖雌牛数と高繁殖率により、素牛生産頭数を伸ばしています。

優秀賞 農業個人部門(女性農業者の部)
田中昭子さん太平中関字下館

 水稲と花き、野菜の複合経営です。特に花きの生産では、市内切り花生産者のトップクラスの技術を確立しています。また、集団栽培を行い常に競争意識を持った生産を心がけ、病害虫防除では共同作業を行い、生産の省力化に努めています。

優秀賞 農業個人部門(男性農業者の部)
佐藤茂さん(金足片田字待入)

 水稲単一経営です。土壌改良剤の投入や地力増進作物のすき込みなどを行いながら、適切な肥培管理と病害虫の適期防除などにより高品質米の安定生産に取り組んでいます。また、地区農業の受け皿として、年々、小作面積や作業受託を増やすなど、地域農業のリーダーとして活動しています。

優秀賞 地域活性化部門
四ツ小屋ふれあいランド

 直売活動グループです。低価格で安心・安全をモットーに会員が協力し、地場産新鮮野菜の供給につとめ、地域に根ざした活動をしています。直売所での販売のほか、移動販売や市内産農畜産物直売にも出品しています。毎週木曜日、秋田空港へ向かう道路沿いのJA新あきた青果物南流通センターの敷地で直売しています。

児童図画部門
最優秀賞 石塚香椰さん(秋大附小2年)

優秀賞 
=敬称略=
佐藤智美(上新城小1年) 
辻媛花(秋大附小2年) 
佐藤萌(築山小4年)
大信田和幸(東小5年)  
豊嶋葉月(東小5年)
近野唯梨(大住小5年)   
渡辺大都(大住小5年) 
保坂楓(外旭川小5年)  
矢野梓(外旭川小5年)


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