2003年12月26日号

健康万歩計

このコーナーでは、みんなが健康で元気に過ごすために必要な、ドクターからのちょっとしたアドバイスを紹介します。


今月のドクター/小松眞史先生(市立秋田総合病院内科診療部長)

お酒と健康〜適切な飲酒量とは〜

 複雑な人間関係やストレスの多い現代社会にあって、お酒は気分転換をはかるのに重宝な存在です。その一方で、アルコール依存に関連した深刻な問題も発生しています。
 年末年始は飲酒の機会が多くなりますが、お酒と長くつき合うために、今回は適切な飲酒量について考えてみましょう。

薬か毒か? 飲酒量が分かれ道

 飲酒量と死亡率の関係について調査したものによると、お酒を飲む人は飲まない人に比べ、一定の飲酒量までは死亡率が低く、それを過ぎると逆に上昇することが報告されています。
 これは少量の場合、アルコールは血管を拡張させ、HDLコレステロール(※)を増加させるため、心筋梗塞や脳梗塞による死亡率を低下させるからです。一方、多量の飲酒はアルコール中毒や肝硬変、臓器のがんによる死亡率を増加させます。お酒は量によって薬にも毒にも変化するのです。

適量はビール中びん1本、清酒1合!?

 では適量とは、どのくらいでしょうか?
 死亡率が最も低かった飲酒量は、清酒に換算して男性では1日0.5〜1合未満、女性では0〜0.5合以下であり、2合前後から死亡率は上昇します。
 厚生労働省の提唱する「21世紀における国民健康づくり運動」では、節度ある適度な飲酒量を1日あたりアルコール20グラム(ビール中びん1本か清酒1合)としています。なお、女性やアルコール代謝機能の低い人、また65歳以上の高齢者の場合は、もう少し減らしたほうがいいようです。

あなたのアルコール依存度は?

 どれだけアルコール依存傾向にあるかをチェックする簡単なテストです。次の(1)〜(4)の項目のうち、あなたはいくつ当てはまりますか?
(1)飲酒量を減らさなければならないと感じたことがある
(2)他人が飲酒を非難するので気にさわったことがある
(3)自分の飲酒について、悪いとか申し訳ないと感じたことがある
(4)神経を落ち着かせたり、二日酔いを治すため、迎え酒をしたことがある
このうち2つ以上当てはまる人は、アルコール依存症の疑いがあるとされています。ご注意を!

※HDLコレステロール…善玉コレステロールと呼ばれるもので、血管壁に沈着した余分なコレステロールを回収して肝臓にもどし、動脈硬化を防ぎます。



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