2004年1月5日号

新春ほっとコラム

さあ、建都400年
そして市民協働・地域分権元年


秋田市長 佐竹 敬久

 皆さま、新年おめでとうございます。
 1604年、佐竹義宣公が久保田城入城を果たし、ここ秋田の地で新たな気概のもと、まち割り、現代風にいえば都市計画を手がけてからちょうど400年。この記念すべき年がいよいよ始まります。そして、私は新たな時代を告げるこの年を、同時に「市民協働」「都市内地域分権」の幕開けの年にしたいと考えています。

さあ、建都四〇〇年
歴史の証人であり原動力に

 「歴史を想い、今日を祝い、未来へ遺す」を基本理念に進めてきた建都四〇〇年。いよいよ今年が本番です。私は今一度この意味を深くかみしめたいと思います。
 私たち秋田市民は、建都四〇〇年という歴史的エポックに居合わせた歴史の証人であると同時に、かけがえのないふるさと秋田の自然や文化、そして発展への可能性を、次代さらには未来に引き継ぐ原動力としての役割を担う責務があります。
 記念すべき歴史の一歩をともに高々と歌い上げ、今こそ秋田の再発見と明日を見つめる旅に出ようではありませんか。

他人任せにしていては、何も始まらない


市民協働元年へ
地方分権の中で

 戦後50年を迎えたあたりから日本の社会システムのほころびが顕著になり、さまざまな面で機能不全に陥っています。
 この要因のひとつに、全国一律のルールや考え方、そしてそれに基づく画一的な方策、いわば中央集権的形態が、多様化する時代にそぐわなくなったという側面があります。
 また、国・地方自治体とも、長年にわたる社会基盤整備や長引く景気低迷に対する経済対策のため、いわば借金である多額の公債を発行した結果、財政状況が極度に厳しくなりました。このままでは数年のうちに正常な行政運営ができなくなるおそれが現実のものとなってきています。
 このような中で、そこに暮らす住民が地域に合ったルールのもと、地域の特色を活かした地域づくりを行うという、いわゆる地方分権の流れが大きくなってきました。

昨年秋にオープンしたサンパル秋田で、中央公民館の陶芸サークル・陶友会のみなさんと


今、なぜ市民協働?

 さて、以上のような時代認識にたてば、地方分権とは、一方で地方自治体と住民の責任が極めて重くなることを意味します。これまでは、多くの分野で国が定めたルールのもと国からの補助金を多用しながら地域づくりを進めてきましたが、ともすれば他人任せという面が強くなりがちでした。
 これが地方分権の時代になってきますと、例えば市役所という行政機関と住民とが共に意見を出し合い、知恵を絞りながらルールづくりをし、実際の施策や事業に移していかなければならないということになります。また、極めて厳しい財政状況下では、行政コストを引き下げながらも、真に必要な施策はしっかり進めていかなければならず、市民の声もアンテナを広く高くして的確にとらえていかなければなりません。
 さらに一方では、行政サービスに対する市民ニーズが多様化し、今や量的にも質的にもすべてをカバーするのは困難になってきております。市民ができることはできるだけ市民の皆さんにやってもらい、市役所は市民のできない部門や本来の基礎的行政サービスをしっかりやるという方向に転換していく必要があります。
ただ、これだけで市民協働を言っているのではありません。市民自身が市政や市民活動に参加する喜びを見いだすということが重要です。まったくの個人、町内会などのコミュニティ、ボランティアあるいはNPOとしてであってもかまいません。
 これまでは、ボランティアというと、「社会や公益のため」といった、やや奉仕的な意味合いで語られることが多かったように思います。しかし、今では参加する喜びやその意義を、奉仕という側面だけではなく、自己実現にも見いだしているのではないでしょうか。つまり「自分のために」です。
 まさに新たな時代、住みよいまちづくりのためには、市民とのパートナーシップの構築、市民と市政との協働が強く求められるのです。

だれもが意見を述べられる制度を、きちんと条例化したい。


秋田発・日本初の
ルール(条例)づくり

 これは、私の選挙公約のひとつですが、(仮称)市民公聴条例の制定があります。
 市民協働の目的は市民と市政が一体となることです。そのためには、施策の企画立案や変更の過程において、市民の意見や情報、知識などを市の意思決定に反映させることが重要であり、広くさまざまな価値観を持った市民の声をくみ上げなければなりません。 
まさに市民公聴ということですが、その原点としては何よりも公平・客観性という点が重要です。例えば裁判における陪審員制度と似た発想ですが、市民の中から無作為に百人を選び政策評価委員会のようなものをつくったらどんな結果が出るでしょう。ベストセラーの書名を借りれば、「秋田市がもし百人の町だったら」ということです。
 関係者、専門家などによる委員会との関連など、クリアすべき課題はありますが、公平・客観性の確保という点から大いに議論しながらベストな形をつくっていきたいと考えております。
 今ひとつは、基本的にだれもが市政に意見を述べることが可能なシステムの構築です。これは、発言機会の均等を実現させるものです。と言っても、何も全員にアンケート用紙を配布しようとするものではありません。具体的な手法については今後の検討課題ですが、コストのこともありますので、例えばインターネットや広報あきたの活用、各施設への市政目安箱の設置などさまざまな手法について考えていきます。
 条例の内容や名前は現在検討中ですが、オンリーワンという意味では、秋田発にして日本初となるはず。ぜひご期待ください。

都市内地域分権へ
それぞれの利便性、個性を大切に

 河辺・雄和両町からの合併申し入れからちょうど一年になり、合併協議も佳境にさしかかったところです。
 私は今回の合併を機に、これまでの本市における合併の反省点もふまえ、それぞれの地域の利便性と個性あるまちづくりという視点を大切にしたいと思います。
 例えば、本市には市役所や支所、拠点公民館、また両町においても町役場など多くの公共施設があります。私はこれらについて、窓口業務のIT化や市役所から支所などへの事務権限の分散、施設の複合化などにより、思い切った行財政改革を進めながらも、一方では地域のことは地域である程度完結できるようなシステム構築が可能になるものと考えております。
 極論すれば、市役所本体は「市民が足を運ばなくてもよいコンパクトな市役所」にしようということです。高齢社会でもあり、市民がそれぞれの身近な地域内でサービスを受けられる、より地域に密着した利便性の高い「都市内地域分権型市政」をめざします。

 今、時代は大きな変革期を迎えていますが、秋田を彩る美しい自然、この地で育まれてきた、たおやかな文化や人情は、いつの時代も変わりません。市民が胸を張って「いいまち秋田」と呼べるまちを市民協働でつくりあげていきたい。それが私の願いです。

わたしたちも盛り上げます!
秋田市建都400年記念事業サポーターのみなさん
秋田市建都400年記念郷土創作オペラ
「久保田城下町〜押し花の愛」
ふれあい元気教室
地域の暮らしおしゃべりネット
市民ミーティング


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