2004年3月26日号

健康万歩計


今月のドクター/重臣宗伯先生(市立秋田総合病院麻酔科長)


たばこ、やめられませんか?

 手術のための麻酔の説明をするときにお酒のことを気にされるかたは多いのですが、たばこのことを心配されるかたはほとんどいらっしゃいません。でも、実はお酒よりもたばこのほうが、手術・麻酔に大きな影響をおよぼすのです。

喫煙は手術後の回復などに悪影響

 手術が無事終わったのに、その後の経過が思わしくなく亡くなられるケースがありますが、その原因として最も多いのが、肺炎などの呼吸器合併症です。
 たばこは、この手術後の呼吸器合併症の発生率を3倍も高くしてしまうのです。ぜんそくや肺気腫など、もともと肺の病気がある人の場合、その発生率は10倍にもはね上がります。
 また、たばこを吸う人は麻酔中の痰の量が多く、ときに痰が気管支につまって肺が膨らまなくなってしまうことがあります。酸素の取り込みがあまりに悪い場合は、人工呼吸器が必要になることもあります。
 たばこが関係するのは呼吸器合併症の発生率だけではありません。たばこを吸う人は傷の治りが遅く、さらに痛みにも敏感になるため、手術後の痛みを長時間にわたり強く感じて過ごすことになります。
 では、たばこによる悪影響を減らすのには、どれほどの期間たばこを我慢しないといけないのでしょうか? 残念ながら1週間や2週間ではあまり効果は上がりません。最低4週間の禁煙を続けられれば、このような合併症をかなり減らすことができると言われています。

自分のために、みんなのために禁煙しませんか

 ところで、たばこの影響で病気になった人の医療費の額をご存知でしょうか。1990年の時点で3兆2千億円、実に医療費全体の10%に相当しています。大人1人あたり1年に5万円もの額を、たばこの影響で病気になった人のために負担していることになるのです。
 誰にも迷惑をかけていないと思っている愛煙家のみなさん。ご自分のために、そしてみんなのために、禁煙してみませんか。


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