2004年7月9日号

郷土で協働(1)


広面の「ホータル会」
ホタルが住めるきれいなせせらぎ復活

 広面の大学病院前の遊歩道脇にある幅二m、長さ三三〇mほどの水路。
 一年前までは、汚れた水が流れ、悪臭を放っていたこの水路が、身近な自然環境の回復に取り組む地域住民と行政の協働作業で、きれいなせせらぎに生まれ変わりました。


地域の有志集まる

 一年前からこの清流復活の活動に取り組んでいるのは「大学病院前の水辺環境を守る会」、愛称「ホータル会」のみなさんです。
 かつて、夏になるとホタルが飛び交い、地域の憩いの場として親しまれていたこの水路。しかし近年、ごみの投げ捨てや生活排水などで、昔の面影はすっかりなくなってしまいました。
 ホータル会は、この水路を再びきれいな姿に復活させようと、去年の五月、水路周辺の三つの町内会などから有志五十八人が集まって結成されました。結成後は定期的に集まり、清掃活動を行ったり、水路にどんな生き物が住んでいるか調査したり、ホタルの観察会やその生態の勉強会などを開いたりしています。

市で水路の改修工事

 清流を取り戻すためには水路の改修工事も必要です。そこで市では、去年秋から今年の春にかけて、ホータル会のアイデアを取り入れ、水路の工事を行いました。工事費は約一千万円ほどです。
 この工事では、水質悪化や悪臭の原因となるヘドロを取り除き、土壌改良をしたほか、生き物が住みやすいように土手や瀬、淵を作り、水の流れに緩急をもたせました。
 三月下旬、将来ホタルが住むことを考えコンクリート張りではない、土のままの新しい水路が完成。会員のみなさんはこれを記念して、ホタルをデザインしたかわいい看板を設置しました。


半年間メダカの里親

 去年の九月、水路の工事を前に、会のみなさんはメダカなどここに住んでいる生き物を保護し、各家庭や学校に持ち帰り、水路が完成するまでのあいだ大切に面倒をみました。
 梅雨の中休みの青空が広がった六月十三日、この日はメダカの放流式。メダカの里親になっていた会員たちは、半年間で大きく成長したメダカとの別れを惜しみつつも、新しい水路で気持ち良さそうに泳ぐ姿に大満足の様子でした。 
 ホータル会会長の伊藤節三さんは「自分たちの活動はこれで終わりでなく、今日からが本当の意味での始まりです。未来の子どもたちのために、ここをホタルが飛び交う水路にしたい」と話してくれました。みんなの愛情をそそいで復活させたせせらぎに、地域の喜びもひとしおです。



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