2004年10月22日号

支え合いの小さな根
少しずつ、そしてしっかりと
介護保険

●問い合わせ 介護保険課tel(866)2069

 平成十二年にスタートした介護保険制度。「介護を社会全体で支えよう」というこの仕組みは、四年を経て、だんだんと定着の根が広がってきているようです。

夢は外に出て散歩すること

「こんにちは」「はい、どーもぉ」。今日は週に一度の訪問看護の日。野嶋正さん(71歳)は、看護師の石黒さんを笑顔で迎えます。血圧などの健康チェック、指のマッサージ、ペットボトルで腕と手首の運動、そして歩行訓練。正さんは石黒さんに支えられながら廊下を数往復、そのしっかりとした足取りに、正さんの回復への意欲がうかがえます。
「三年前の十一月、朝の三時ころでした。トイレに立った夫が急に倒れて」と話す妻の禎子さん。病名は脳出血。左上肢・下肢の機能全廃。リハビリを含めて六か月の入院、そして退院の日も正さんは車いすに乗ったままでした。退院してもしばらくは「一度横になれば起きられない」「座っていても、ちょっとバランスを崩すとすぐに倒れてしまう」という状態でしたが、正さんは意欲的にリハビリに取り組んできました。
 入院中に介護サービスのことを知り、正さんは要介護認定を受けて、退院後すぐにデイサービスを利用しました。「デイサービスは、みんなの話を聞いたり、お菓子を食べたり、とても楽しみ」と正さん。そしてデイサービスの間は、禎子さんもお友だちと外にでかけたりして、気分もリフレッシュ。二人とも心にゆとりが持てるようになったそうです。
「正さんがここまでよくなったのはお母さん(禎子さん)がよく面倒をみてくれるから」│看護師の石黒さんはそう話します。指のリハビリのための小豆が入ったお手玉、車いすの座布団、悪い方を冷やさないようにと左側を厚くした服…みんな禎子さんの手作りです。「正さんが歩けるように、また散歩できるように」、そのことが禎子さんの願いです。
「私ががんばれるのは、信頼できる看護師さん、何でも相談できるケアマネジャーさんたちがいるから。ほんとに感謝しています」。
 思いやりと信頼。大切なのは、介護する人と介護される人がこの二つで結ばれていることかもしれません。

野嶋さんの介護サービス

◆介護サービス自己負担額→月約13,000円
◆訪問看護/週1回
 看護師が血圧や体温などを診て、健康状態をチェック。歩行訓練、マッサージリハビリなども行います
◆居宅療養管理指導/月2回
 医師が訪問して療養上の管理・指導を行います
◆通所介護(デイサービス)/週2回
 デイサービスセンターで、食事・入浴などの介護サービスを日帰りで受けます。お風呂でさっぱりしたあとは、お茶を飲みながら、リハビリや介護などに関する情報交換も
◆福祉用具の貸与(レンタル)
 介護ベッド、エアマット、車いすなどを借りています。手すりがついた介護ベッドは、寝起きや夜中のトイレにとても役立っています

再確認!
在宅サービスを利用するまで


まずは要介護認定申請を

介護保険証を持って、市役所介護保険課、土崎・新屋支所、市民サービスセンター(アルヴェ1階)、各地域センターで申請します

認定の結果が届きます

「要支援」「要介護1〜5」の認定結果をお知らせします

ケアマネジャーのいる
居宅介護支援事業者を選択

居宅介護支援事業者に、サービス利用の計画(ケアプラン)づくりを依頼すると、担当してくれるケアマネジャーが決まります

どの事業所に依頼したかを市に届け出ます

ほとんどの場合、居宅介護支援事業所が市に届けてくれます

ケアプランをつくりましょう

●ケアマネジャーは本人や家族の要望をもとに各サービス事業所と連絡・調整し、ケアプランの原案をつくります
●サービス内容・費用などに、利用者・家族が同意したらケアプランのできあがり

サービス提供事業者と契約します

●わからない点は質問し、説明を受けましょう●契約するときはサービス内容や料金などをよく確認しましょう

サービス開始


大きく伸びる在宅サービス


 今年七月末現在、秋田市の要介護認定者数は一万千百五十五人。秋田市の人口は約三十一万八千人ですから、ほぼ三十人に一人、また、高齢者(六十五歳以上)人口約六万二千人のほぼ六人に一人が、認定を受けていることになります。
 介護を必要とするかたが増え続けるなか、介護サービスはどのように利用されているのでしょうか。

■おもな介護サービスの種類と平成15年度の利用件数


※施設サービスは、1か月あたりの平均入所者数を示しています

在宅サービスの利用が2年前の2倍に

 上の表は、平成十五年度のおもな介護サービスの利用状況です。
 在宅サービスでは、もっとも多く利用されているのが訪問介護。「入浴やトイレ、食事の手助けがほしい」「買い物や通院を手伝ってほしい」というかたのためのサービスで、ホームヘルパーが訪問してお手伝いをします。ホームヘルパーの利用は前年より七千件あまりも増加し、おととしと比べると約二倍に増えました。要介護認定者が増えたことはもちろんですが、介護保険制度そのものが〃定着〃してきたことも、利用が増えた要因の一つと考えられます。
 施設サービスの利用件数を見ると、介護療養型医療施設が昨年度より大きく減っています。これは、療養型病床(ベッド)が、介護保険の適用から医療保険の適用へ移行したためです。

4割が在宅サービス、6割が施設サービス

 平成十五年度に秋田市で介護サービスに使われた費用は、約百二十八億円でした。
 その内訳を見てみると(グラフ1参照)、在宅サービスが五十二億八千五百万円(前年度と比べ二二%増)、施設サービスが七十五億五千四百万円(前年度と比べ一四%減)でした。在宅と施設の利用割合(グラフ2参照)は、在宅のほうが年々大きくなってきています。
 また、平成十五年度に在宅サービスにかかった費用を十三年度と比べると二十億円も増加しており、一五七%と大幅な伸び率になりました。これは昨年策定した「第二期秋田市介護保険事業計画」の予測数値を一億五千万円も上回っている状況です。

40〜64歳の保険料も大きな支えに

 介護サービスに要する費用の負担は(グラフ3参照)、半分が国・県・市の公費(税金)、残り半分が第一号被保険者(六十五歳以上)と第二号被保険者(四十〜六十四歳)から納めてもらっている保険料です。
 介護サービスを受けているかたの大部分を占める第一号被保険者の保険料は、総事業費全体の約一八%ですから、公費、そして第二号被保険者である四十〜六十四歳のかたの保険料も、介護サービスを行っていくための大きな支えとなっています。

 介護保険は、今介護を必要としているかただけでなく、今は介護が必要でないかたについても、介護が必要になったときにいつでも安心してサービスを受けていただけるようにつくられた制度です。
 社会全体の助け合い、支え合いが、介護保険制度の根を広げ、安心という太い幹を支えています。

“ふれあいさん”を募集

 秋田市社会福祉協議会では、病気やケガ、産前・産後などで家事援助や介助の必要な世帯に、短期間の生活支援をする「ふれあいさん(ヘルパー2級・3級修了者)」を派遣しています。
 「ふれあいさん」として活動してみたいかたを対象に、下記のとおり説明会を開催します。ヘルパー研修修了者は、ぜひご参加ください。
とき/11月9日(火)午前10時〜11時30分
ところ/市老人福祉センター3階会議室
●申し込み
10月28日(木)から11月8日(月)まで秋田市社会福祉協議会tel(862)7445
※ふれあいさん派遣を利用したいかた、サービスの内容などを知りたいかたは、市社会福祉協議会へお問い合わせください。

介護予防講演会

「介護予防でこころ元気、からだ元気、ずっとずっと元気!」
とき/11月9日(火)午後1時〜4時
ところ/アルヴェ2階多目的ホール 参加無料
 東京都老人総合研究所から講師を迎え、「ためしてみよう、あなたの寝たきり危険度?!」「からだ元気!簡単で効果的な筋力アップ!」「こころ元気!ボケたくない人必聴!」の講話と実技。
 参加者には、健康づくりに役立つ冊子をさしあげます。定員350人。
●申し込み
秋田市中央在宅介護支援センターtel(883)1465 ファクス(883)1467

◆シンポジウム◆
高齢社会をすこやかに生きるために

とき/11月21日(日)午後1時〜4時
ところ/アルヴェ2階多目的ホール 参加無料
 「高齢社会をよくする女性の会」代表の樋口恵子さん(東京家政大学名誉教授)の講演と、日赤秋田短大介護福祉学科長の三浦正樹さんらを迎えたパネルディスカッションなど。先着300人。
●申し込み
11月10日(水)まで、往復はがきに住所、氏名(1枚につき2人まで)、電話番号を書いて、〒010-8799 秋田中央郵便局留め (社)全国消費生活相談員協会シンポジウム係tel090-2974-5561


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