2005年3月1日号

市長ほっとコラム

秋田市ホームページで市長の動向や記者会見の内容などをお伝えしています。

春の足音

市長●佐竹敬久

 今回の合併に伴い、先月六日には河辺・雄和両地区において市議会議員の増員選挙が行われ四名のかたが選出されました。各議員には新生秋田市の発展と地域の振興にご尽力していただくことを期待しております。
 ひとくちに春の足音と言っても、人それぞれ感じ方が異なるものでしょう。中でも、心もち和らいだように感じられる日ざし、鋭さがなくなり丸みを帯びた軒のつららなど、自然界の現象が代表的なものではないでしょうか。加えて、春夏秋冬が明瞭な日本では、季節の移り変わりを楽しもうとする趣が街角で目につき、暮らしの中にも生きています。
 いつも食べ物の話で恐縮ですが、私は小さいころから「うぐいす餅」「さくら餅」「かしわ餅」と、街のお菓子屋さんに並ぶ春の「餅シリーズ」に目がありませんでした。お酒もそこそこに嗜みますので、甘辛両刀遣いということになります。
 ところで、私はこれまで、黄緑色をしている「うぐいす餅」の由来は、鳥のウグイスの色からきていると思いこんでいました。しかし、ウグイスの鳴き声は聞いたことがあるものの、ウグイスを間近で見たことはなく、雑学大家をめざす私としては気になることこのうえなしです。
 そこで調べてみました。定かではないものの、昔、「ホーホケキョ」というウグイスの声を聞いた人がその姿を探すと、たまたま「メジロ」が居合わせ、それをウグイスと勘違いし、メジロの色をウグイス色と言うようになったとのことです。
 うぐいす餅を色の面から正確にとらえると「めじろ餅」となります。
 しかし、世の中何もかも正確である必要はなく、勘違いをひとつの文化にしてしまう日本人の寛容な精神風土や自然を愛でる心の深さなどは日本人の優れた資質だと思います。
 国際化という錦の御旗のもとに、勝ち組が負け組を下に置くアメリカ流の競争社会の導入が、あたかも唯一無比の日本の再生の道のように言われ、また自己決定・自己責任の社会だけが望ましい未来のように語られる時代に入りました。これらは、現在の日本の状況下では必ずしも否定されるものではありません。 ただ、このようなことだけで二十一世紀の日本社会を展望するというのは、はなはだ寂しい限りです。
 切磋琢磨しながらも、勝ち組は負け組を思いやる心の広さや、協調・互助という日本の柔らかな精神風土も大切にしながら新しい社会を模索する必要があると思われます。
 ところで、ウグイスという鳥は甘いものも好物なんだそうです。

鼻うぐいす餅にさくら餅…。
春はもうすぐです



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