2005年4月1日号

市長ほっとコラム

秋田市ホームページで市長の動向や記者会見の内容などをお伝えしています。

卒業、そして門出

市長●佐竹敬久

 弥生三月は卒業や退職、卯月四月は入学や就職と、我が国では人生の大きな区切りの季節となります。
 市長として卒業式や入学式に招かれ、お祝いの言葉を述べる機会をいただくことが毎年数回ありますが、今回は卒業式を取り上げることにします。 
 今では卒業式の内容も、かつてのように「蛍の光」と「仰げば尊し」の二曲が定例のワンパターンではなく、各校各様に特色がよく表される進行になってきているようです。
 そのような中で、私の見た限りでは、特色を出しながらも皆真剣で整然としており、間々報道される他県のかんばしくない事例などに比べれば、本市の教育は正常に機能しているということを実感できます。
 さて式に臨めば、ついつい数十年前の自分の時は、また自分の子どもたちの時はどうだったのかな、と思い起こしながら、希望を胸に抱きつつも、進学や実社会への門出を前に不安な面持ちが見え隠れする卒業生の表情に自然にまなざしが向きます。
 よく、最近の若者はドライになっていると言われます。しかし、大半は神妙な面持ちで、女生徒の場合は式が後半になるにつれ、ついつい涙という風景も多く見られますし、男子生徒でも、退場の際に在校生から花一輪を贈られ、胸から突き上げるものをこらえ顔が紅潮しこわばっていくのが伝わってきます。
 今年のある卒業式で、卒業生ではなく在校生の一人の男子生徒が号泣し始めるという珍しい光景を目にしました。どんな思い出があったのかなと思いつつ、はばかることなく涙を流す彼の姿を見て、決して悪いことではなく、心に深く刻まれるような素晴らしいことがあったんだな、と感動を覚えたひとコマでした。
 保護者席もひと昔前とは少し様子が異なり、最近ではビデオカメラやカメラ付き携帯電話などを手にしたかたが目につきます。きっとしばらくは、映像の中の我が子の成長した姿に目を細めながら、あらためて一家談笑、感無量というところでしょう。
 いずれ、卒業は進学、就職という次のステップへの大きな門出です。 「この子どもたちはどんな人生を歩むのかな、人生は人の数だけあるが、できることなら皆に良い人生を歩んでもらいたいな」というのが、いささか感傷的な雰囲気となる卒業式の最後に抱く偽らざる気持ちです。
 きっと、ともに笑い悩みながら指導された先生がたには、教え子の将来にさらに深く温かい思いを抱いていることでしょう。
 保護者にお祝いを、先生に感謝を、 はばたく若い力にエールを。

この3月に58年の歴史を閉じた
雄和・大正寺中学校の卒業式


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