2005年5月1日号

健康万歩計

このコーナーでは、みんなが健康で元気に過ごすために必要な、ドクターからのちょっとしたアドバイスを紹介します。


今月のドクター/星野良平先生(市立秋田総合病院 心臓血管外科長)


足の調子はどうですか?


 下肢静脈瘤という病気があります。あまり聞いたことがないかもしれませんが、意外に多い病気です。
 朝起きたときには調子がよくても、夕方になると足がだるい、むくむ、重苦しい、そして足の血管が瘤(こぶ)のように膨らんだ、皮膚が変色した、といったようなことはありませんか?

下肢静脈瘤とは

 足の血管の話をしましょう。心臓から全身に血液を送る管が動脈で、血液を心臓に戻す管が静脈です。足の静脈には筋肉の奥を走る深部静脈と皮膚の下を走る表在静脈があります。静脈の内側には血液の逆流を防止するための「弁」がついていますが、表在静脈の弁の機能が損なわれ、足に血液が溜まる病気、これが下肢静脈瘤です。
 原因としては、体質、妊娠、長時間の起立などがあり、1か所にじっと立っているような仕事は特に悪いといえます。
 症状としては、皮下の静脈がクモの巣状、網目状のものから、ミミズ状にはれるもの、血液が固まり炎症を起こすもの(静脈炎)、皮膚に潰瘍を合併するものまで症状はさまざまです。また、下肢静脈瘤のあるかたでよく肺塞栓症(エコノミー症候群)を心配されるかたがいますが、ふつうの生活では下肢静脈瘤が肺塞栓症を引き起こすことはまずありません。

治療法は、いろいろあります

 下肢静脈瘤の治療には、保存療法、硬化療法、手術療法があります。
 保存療法は、医療用の弾力ストッキングで下肢に圧力を加え、血液が溜まるのを防止するものです。完治はしませんが症状の改善にはたいへん有効です。
 硬化療法は、おもにクモの巣状、網目状静脈瘤に対して特殊な薬剤を注入して静脈瘤を詰めてしまう方法です。外来で簡単に行うことができますが、太い静脈瘤には向いていません。
 手術療法は症状の強いかた、静脈炎を繰り返すかた、皮膚潰瘍を合併したかたなどに向いています。通常1週間程度の入院が必要です。
 いずれにしても、心配な場合は一度かかりつけのお医者さんに相談してみてください。専門の診療機関を紹介してもらえるはずです。


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