2005年6月1日号

市長ほっとコラム

秋田市ホームページで市長の動向や記者会見の内容などをお伝えしています。

最近のできごとから

市長●佐竹敬久

 本市を取り囲む麗容な山々の緑が輝きを増し、まもなく躍動の季節、初夏を迎えようとしています。
 しかし、私の頭からは多数の死傷者を出した四月末の尼崎の電車脱線事故の悲惨な状況が消え去りません。犠牲になられたかたがたには、ただただお気の毒としか言いようがなく、心からご冥福をお祈りします。
 今回の事故は決して他人事ではなく、本市においても想定外のことが勃発する可能性は存在し、まさに他山の石とすべく多くの事柄を示唆した出来事です。さっそく連休後の幹部会議において、本市での想定外の事態と対策について、あらためて想像力をたくましくして十分に検討・検証するように指示した次第です。
 さて、今回の事故の要因には幾つかの見方があるような気がします。 ひとつは、まさに事故の直接原因とそこに至った会社の安全管理上の問題であり、この点と責任の所在を明らかにするとともに、再発防止に万全を期すことは当然のことです。
 今ひとつは、より大きな視点からの考察で、まさに現代社会の流れや近年の国土形成の方向に対し、原点にも触れるような大きな警鐘を鳴らしているようにも感じられます。
 世の中は、改革あるいは変革という錦の御旗のもとで、企業や公共体などあらゆる組織が、自動化、省力化、コスト削減など、いわば経済効率性の追求にしゃにむに突き進んでいます。もちろん必要性があり、当然にリスクや状況変化に対する新たな対応などを見越しながら進めており、プラスになる面が数多くあることは事実です。
 しかし、自動化の限界や省力化いわば人減らしにより穴埋めできない部分は必ず存在しますし、またマニュアル化や過度の分担化により、人間の総合判断力が減退してきているなどの問題も生じています。
 加えて、機能と人口の大都市部への過度な集中という面を無視できません。今回の事故を契機に電車の運転間隔の拡大やスピード低減などがいわれていますが、膨大な乗車需要をどうするかという問題が生じます。
 地球温暖化対策と言いながら、一方で冷房排熱などによる熱帯化を加速させる大都市圏における巨大ビル群の建設は止まることなく、また過密化した東京など大都市部では、いずれ予想される巨大地震への耐力が極度に低下し、万が一の場合には壊滅的被害を受けると言われています。  
 大都市部集中と裏腹の地方の過疎化と衰退を見るにつけ、国土全体を俯瞰しながら進める大きな政治が必要なのではと思われる事故でした。

秋田は安全・安心! な春でした…
(金足東小学校近くの田んぼで)



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