2005年6月1日号

健康万歩計

このコーナーでは、みんなが健康で元気に過ごすために必要な、ドクターからのちょっとしたアドバイスを紹介します。


今月のドクター/添野武彦先生(市立秋田総合病院院長)


家庭での食中毒の予防


 毎年、梅雨の季節、少し蒸し暑くなる6月ころから食中毒のニュースが時々飛び込んできます。例年のことなので簡単に予防できそうなものですが、そこは人間の悲しさ。すぐに前例を忘れてしまったり、自分は大丈夫という油断から食中毒は起こってしまいます。

犯人は細菌。これからが要注意!

 多くの場合、食中毒は細菌や細菌の毒素、またはウイルス(ノロウイルス)で食品が汚染されたために発生します。なお、お断りしますが、腐敗や発酵とは異なり、食品には外見的にまったく異常は見られません。
 食中毒の中には腸チフスやO157など、少数の細菌でも体内で増殖し、発症する例外的なものもありますが、多くの場合、1ml中に100万個以上という非常に多数の細菌が増殖したものを食べたときに発症します。夏に多い食中毒の原因である腸炎ビブリオに代表されるように、細菌の多くは高温多湿の条件下で増えますので、これからの季節、注意が必要になります。

予防の決め手は「手」

 食品の汚染の原因は、何と言っても「手」を介してのことが多いのです。つまり、「細菌に汚染されたものに手指が触れる(用便後、履き物、衣服、容器、水道のカランなど)」→「手指汚染」→「食品に触る」→「食品の中での細菌の増殖」という順で汚染が拡がり、食中毒になるのです。
 そこで、この予防のためには、石けんでよく手を洗うことが重要となります。家庭でも爪の周り、指の間などは念入りに洗い、手首よりも少しひじ寄りまで洗うことが原則となります。せっかく愛情を込めた「おにぎり」を作っても、細菌まで一緒に握り込めることがないようにしましょう。また、もしも手に傷や手荒れがあるときには、使い捨てのプラスチック手袋を使ってください。しかし、手袋の中では汗をかき細菌が増えますので、手袋に穴があいているのは論外ですが、過信しないことが大切です。
 このほか、調理器具、調理環境の清潔保持や、食材を加熱するなど適切に扱うことは言うまでもありませんが、手の清潔が食中毒予防の決め手であることを忘れずに、おいしく食事を楽しんでください。


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