2005年7月1日号

健康万歩計

このコーナーでは、みんなが健康で元気に過ごすために必要な、ドクターからのちょっとしたアドバイスを紹介します。


今月のドクター/銭谷 明先生(市立秋田総合病院 消化器内科・代謝科)


胃がん治療に内視鏡


 現代では2人に1人が、がんにかかり、3人に1人が、がんで亡くなっています。中でも「胃がん」の数がいちばん多く、がん全体の約5分の1を占めています。
 都道府県別の胃がんの死亡率では、たいへん不名誉なことに秋田県がいちばん高くなっています。しかし、早期に胃がんを見つける技術や治療法の進歩により、胃がんの生存率は最近大きく改善してきました。

治療法 いまむかし

 胃がんは進行の程度により、早期胃がんと進行胃がんに分けられます。早期胃がんの段階で治療できれば、ほとんどのかたが治ります。早期に見つかった胃がんの治療は、開腹手術ではなく、胃カメラ(内視鏡)を用いることが多くなりました。
 内視鏡治療は、早期胃がんの中でもがん細胞が胃の表面に留まっている粘膜がんを対象に行われています。今までは切除する胃がんの大きさに制限がありましたが、最近は技術が向上し、大きさに制限なく切除することができます。当院でも右のグラフのように内視鏡治療が増えてきています。
 内視鏡治療は、胃がんを含めた局所の切除で済みます。治療後は胃に人工潰瘍ができますが、約1〜2か月で元通りになり、ほとんど後遺症がありません。
 このように内視鏡治療は開腹手術に比べ体への負担が少ないこと、機能温存できること、入院期間が短いことや医療費が安いことなどが利点としてあげられます。ただし、がん細胞が胃壁に深く潜り込んだり、血管やリンパ管に入り込んだりして、リンパ節転移の可能性が高い場合は外科的手術が必要になります。
 胃がんには特有の症状がなく、半数以上の人はまったく症状が現れません。胃がんは早く見つかれば必ず治りますので、症状がないからこそ、定期的に検査を受けましょう。



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