2005年9月1日号

健康万歩計

このコーナーでは、みんなが健康で元気に過ごすために必要な、ドクターからのちょっとしたアドバイスを紹介します。


今月のドクター/倉光智之先生(市立秋田総合病院 消化器内科・代謝科)


肝がんの予防に肝炎ウイルス検診を


 日本の肝がんは増加しており、年間3万人以上が亡くなり、がん死因の男性では3番目、女性では4番目に位置しています。日本の肝がんの90%(C型肝炎ウイルスが80%、B型肝炎ウイルスが10%)は、肝炎ウイルスの持続感染が原因です。つまり、肝がんに限っては、肝炎ウイルス感染者に適切な治療や定期検査をすることで、肝がんの予防や早期発見が可能です。

健康診査の際、一緒に肝炎の検査を

 現在問題となっているのは、肝炎ウイルスに感染していることを知らないですごしている人が、相当数いることです。肝がん対策の一環として、平成14年から、“肝炎ウイルス検診”が健康診査の際に、一緒に受けられるようになりました。しかし、残念ながらその重要性が健康診査の受診者に十分伝わっていないのが実情です。肝炎ウイルス検診の対象者で、今まで一度も受けたことのないかたは、ぜひ肝炎ウイルス検診を受けてください(健康診査および肝炎ウイルス検診の詳細は広報あきた8月16日号をご覧ください)。
 肝炎ウイルス検診は正しい検査を一度受ければ十分です。B型肝炎やC型肝炎は血液により感染しますが、現在、通常の日常生活の場で新たに肝炎ウイルスに感染することはありません。

治療法の進歩で完全治療も可能に

 肝がんの最大の原因であるC型肝炎ウイルスに対する治療として、インターフェロンという注射があります。現在では、副作用の少ない持続型のインターフェロン(1週間に1回注射)、さらにインターフェロンの効果を高める内服薬(リバビリン)との併用治療も登場し、治療を受けた半数以上のかたのウイルスを完全に排除できるようになりました。
 肝がんも、早期に発見された場合は、おなかを切ることなく肝臓の中のがんに直接針を挿入し凝固する内科的な治療法(ラジオ波焼灼療法)で完全治療も可能となってきています。


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