2005年9月1日号

市長ほっとコラム

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感動の夏

市長●佐竹敬久

 今年も暑い夏が終わりました。   
 さて、暑い夏はまた、スポーツや祭りなどに心を熱くする季節でもあります。しかし多くの物事に接しながら年を重ねるうちに、心底感動する、心の底からこみ上げる、というようなことが少なくなりました。
 ところがこの夏は、あまりの感動に我を忘れ、思わず涙し、テレビに向かって「よくやった」と呼びかける出来事がありました。
 夏の甲子園をめざす高校野球県大会における決勝戦、秋田商業対金足農業の試合です。息詰まる熱戦の行方は、大逆転劇の末、九対八のサヨナラゲームで秋田商業が甲子園のキップを手に入れ幕を閉じました。
 甲子園連続出場をめざす執念の秋田商業と、ノーシードながらまさに根性野球の金足農業との手に汗握る熱戦は、本県高校野球史に永く名を刻む試合になることでしょう。
 ところで、厳しい勝負では、負けた方はくやし涙、勝った方はうれし涙、最近ではむしろ勝った方は得意満面の笑みというシーンも見られます。
 しかし、あの決勝戦は違いました。秋田商業は、勝ったうれし涙というよりは、力を出し尽くしたというこみあげる感動の涙、一方の金足農業も、負けたくやし涙というよりも、限界まで頑張り抜き悔いはないという感動の涙のように思えました。
 両校の選手を見ているうちに、私自身、思わず涙していました。心底こみ上げるさわやかな感動でした。
 また、翌日の新聞報道によれば、これまでにない不思議な光景として、なんと金足農業の選手が秋田商業の小野監督を胴上げしたとのことでした。まさに熾烈な試合を勝敗を越えて両チームが共有していた証であり、金足農業の選手の純粋さに心を洗われ、またしても感涙でした。
 小野監督の心中、如何ばかりであったでしょう。
 形の上では秋田商業が優勝ということになりましたが、できることなら両校とも甲子園に出場させたい。高校野球ファンならずともそう思ったのではないでしょうか。   
 残念ながら、県代表の秋田商業は、甲子園で石川県代表・遊学館との初戦突破は果たせませんでしたが、終盤には来年への飛躍につながる猛追を見せてくれました。       
 同じ夏は戻ってくることはありませんが、両校の選手諸君は、この夏、これからの野球生活のみならず、長い人生にとって大きな糧となる素晴らしい青春を自らの力で手にしたのです。大切にしてください。
 選手諸君、感動の夏をありがとう。

金農の選手たちが秋商・小野監督を胴上げ
写真提供:秋田魁新報社



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