2005年10月1日号

市長ほっとコラム

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二〇〇七年問題…ある視点

市長●佐竹敬久

 今月は、最近よく目にする「二〇〇七年問題」という少しシリアスな話題を取り上げることにします。
 二年後の二〇〇七年には、団塊の世代の第一期生の昭和二十二年生まれの世代が六十歳定年を迎え大量に現役から退き、その後も団塊の世代の大量退職が続きます。
 団塊の世代といわれるように人口構成が大きいことから、問題点として、退職金支払いが増える、年金をもらう人が急増するなどがいわれてきましたが、もうひとつの問題点が最近クローズアップされてきました。
 それは、産業技術の社会では、この団塊の世代こそが世界に冠たる日本の高度技術の基礎を築き、信頼度の高い最高品質の工業製品を生み出す中心であったということです。
 優れた工業製品を造るのに、どんなに自動工作機械が発達しても、その根底には神業ともいえる職人技に支えられて造り出された標準機器や精微な調整技術が存在しますし、さらに改良を重ねながらレベルアップするためには、記録に残すことが難しい長年の経験の蓄積が必要です。
 現代社会に欠かせないコンピュータシステムにしても、現在その運用に直接従事しているのは若年層であることから、若年技術者中心の世界であるかのように思われますが、そのシステムの根幹を開発したのは団塊の世代であり、大きなシステムほどオリジナリティを有し、全体を熟知しているのは試行錯誤でシステムを構築してきた団塊の世代です。
 団塊の世代が基礎から築き上げた技術や機器、システムを与えられただけの若年技術者層のみとなった日本の産業界は、根のない浅いものになりかねないのが現実です。
 また、全国各地の伝統工芸品産地でも、団塊の世代に続く後継者が急激に少なくなり、日本文化の象徴が存亡の危機に瀕しています。
 このようなことから、産業界では若年技術者へのノウハウの伝授や、技術の復習、記録などに力を注ぎ始めています。また、多くの伝統工芸品産地でも、厳しい環境のなかで国などの支援のもとで後継者育成に取り組んでいます。
 いずれ、いかに国際化が進み構造変化が進んでも、日本が生きていくための基盤は、これからも世界をリードする「ものづくり」にあることは紛れもない真実だと思います。
 二〇〇七年問題に、あらためて日本の「ものづくり」の奥深さを感じるとともに、その克服を日本再生の足がかりにしなければという感を強くする大事な時事問題です。

秋田市の人口ピラミッド



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