2005年10月16日号

おいしさに“真心”を添えて


 お米、野菜、果物、お肉…。農家のみなさんのたゆまぬ努力の結晶が、今日も私たちの家庭へと届けられます。その新鮮な食材がおいしく感じられるのは、作る人たちの真心が添えられているからですね。
 収穫の秋、食欲の秋…です。

交流の輪を広げて農業を元気に

秋田市生活研究グループ連絡協議会のみなさん
 「わぁ、おいしそう!」。目の肥えた農家からもそんな言葉が出るほど、ぱんぱんに実のつまった枝豆。この日の収穫に集まったのは、秋田市生活研究グループ連絡協議会の九人のみなさん。
 この協議会は、市内各地の農家のみなさんや主婦のかたが会員となり、共同栽培や研修会などで交流をはかっています。
 協議会の代表を務める小野淳子さんは、「今年は秋に収穫する枝豆を栽培しました。出来が良くてなによりです」とニッコリ。そして、作業をする会員同士の会話を聞きながら、「こうして農家同士が情報を交換する機会があまりなかったんです。野菜づくりや料理のこと、ここで聞いた話を持ち帰って、それぞれの地域で活かしてほしい」と話します。
 昨年は、県の事業の一環で、消費者と一緒に野菜づくりも試みました。買う立場から、作る立場へ。消費者にはぜひ見てもらいたい“農業の現場”でした。結果、「どんなに形が悪くても、虫食いがあっても自分で作った野菜はおいしい」ことを知ってもらったのが、協議会にとって大きな収穫だったようです。
 ネットワークを広げ、いろんな人とのつながりが生まれる。農家だけでなく、消費者や行政とも。そんな小野さんたちの活動に、担い手不足の農業を元気にするヒントがあるかもしれません。

直売に並ぶ旬の野菜をおいしく調理!

フレッシュランドまごころの加工グループのみなさん(JR和田駅隣り)
 「郷味 喰い亭(さとあじ くいてい)」。JR和田駅隣りにある直売所“フレッシュランドまごころ”内に七月にオープンしたレストランの名前です。
 「直売に並んだ野菜をすぐ調理」をキャッチフレーズに、惣菜を作っている加工部門のみなさんが中心になってスタート。客席五人のこじんまりとしたお店ですが、昼どきともなると、常連さんでにぎわいます。
 「地域の伝統食、いわゆるスローフードを伝えたい」と代表の佐々木直子さん。その言葉どおり、河辺で育った味自慢のお米や野菜を材料にした料理は、おくらとサトイモの辛し味噌あえ、カボチャをトッピングしたカレーなど、日替わりでさまざま。さらに、自分たちで育てた食材の味を引き出そうと、農家のお母さんが自ら調理するので、その味はまた格別です。
 佐々木さんは、「いずれは、惣菜やレストランのメニューを充実させたいですね。そのためには、私も含めて河辺の農家が底力をつけて、直売所を充実させないと」と話します。
 「また喰いて〜」、そんな常連さんがもっと増えるように、「料理の腕と“まごころ”に磨きをかけてお待ちしてます!」
●郷味喰い亭…営業は昼食時のみ。月曜日定休。ただし、冬期間の営業は異なります。
10月29日(土)・30日(日)のボートピア河辺のイベント(19ページ参照)にも出店予定。
詳しくはフレッシュランドまごころtel090-2886-1609

お米に「ありがとう」の心を込めて

堀井秀美さん(雄和田草川)
 「頭の中が真っ白になったことが何度あったか」ー。
 平成十一年から本格的に無農薬の稲作栽培に取り組み始めた堀井秀美さんは、その試行錯誤ぶりを振り返ります。
 「当時、ある講習会で、無農薬野菜の栽培を研究するかたと知り合ったんです。その研究所のみなさんのサポートもあり、無農薬(減農薬)の稲作栽培を始めたんですが、今思えば、『やる!』と覚悟するまでかなり悩みました」と堀井さん。無農薬で稲作に取り組む農家が少なく、栽培のマニュアルもないので、失敗することもたびたび。除草や肥料の管理には今でも細心の注意を払っています。
 約十ヘクタールの田んぼで栽培する品種は、あきたこまち、ひとめぼれ、たかやまもち(もち米)。「田んぼの条件がさまざまで、毎年、無農薬栽培の割合も変わる」そうで、今年は約半分が無農薬。米の粒は小さいものの、買い求めてくれるお客さんからは、「日持ちが良くて、おいしくて、体が喜ぶお米」と評判も上々。全国の家庭やホテル、レストランなどから毎年注文が寄せられるそうです。
 堀井さんが無農薬栽培に取り組む理由は、「良い土や種を次世代に残してあげたい」と明快。「農作物は作る人の“意思”を感じます。『ありがとう』の心を込めると不思議とそれに答えてくれる。愛情を持って接するだけで育ち方は違うんですよ」と教えてくれました。
 堀井さんの感謝とやさしさという栄養をたくさんもらって、おいしく育ったお米は、今年もまもなく全国へ届けられます。


Copyright (C) 2005秋田県秋田市(Akita City , Akita , Japan)
All Rights Reserved.
webmaster@city.akita.akita.jp