2007年1月1日号

新春市長ほっとコラム

産業経済の強化を前面に
家族・地域の絆で、しあわせ実感

秋田市長 佐竹 敬久


 新年おめでとうございます。二〇〇七年、平成十九年亥年のお正月をいかがお過ごしでしょうか。
 おせち料理を囲んでの家族との団らん、地域におけるさまざまな伝統行事、久しぶりに帰省する仲間との再会や遠くに暮らす友人からの年賀状など、お正月は、あわただしい毎日のなかで忘れられがちな、人と人とのつながりを思い出させてくれる機会でもあります。
秋田わか杉国体のボランティアのみなさんと
(左から福田庄悟さん、福田加代子さん、右から三澤麻未さん、山本英理夏さん、小向とも美さん)

新しい視点で新総合計画を策定中

メドレーリレー少年男子
 10月28日に行われた東北高校新人大会で優勝しました。でも、まだスタートの飛び込みやターンのキック、レース後半のスタミナなど、それぞれ課題はあります。来年の国体までの練習で弱点を克服し、表彰台をめざします!

企業の新規投資の動きが強まっています

 一つは産業経済を前面に押し出していることです。
 これまでバブル崩壊後の長期不況の時には、企業は現状を守る、あるいはスリム化により企業存続をはかることを経営の中心に据えていましたが、最近は市内に事業所を置く企業の中にも久々の大型設備投資や新規雇用の動きが見え始めています。また、首都圏に行っていろいろな会社を訪問すると、地方進出の話もたびたび耳にするようになり、一部の先端技術産業などでは、海外に設けた生産拠点の国内回帰の動きもあります。

プロダクト・イノベーションで
ごついテレビが薄型液晶に!
市内にある最先端技術の生産設備

時代はいよいよプロダクト・イノベーションへ

 近年の産業、特に製造業分野の動向について少しお話すると、これまで日本企業は、生産性や品質の向上、あるいは製品の高機能化など、いわゆるプロセス・イノベーションを得意としてきました。
 バブル崩壊後、約十年を経て、日本経済はようやく立ち直りつつあります。しかし、「世界の工場」とも言われる中国など新興国の台頭に伴い、安価な労働力を求める量産型の服飾分野や普及型の家電・電子機器などは、その生産拠点が海外に移りました。これは、既存の製品群のプロセス・イノベーションで世界と渡り合うことが、もはや限界にきていることの表れであると言えます。
 このような中で、我が国の超先端技術分野における研究開発の成果はしだいに実用化の域が広がりつつあり、例えばデジタル家電やロボット、燃料電池などでは海外の追随を許さないものが出現してきています。
 いよいよ、既存製品ではさらなるプロセス・イノベーションを、そしてこれにプロダクト・イノベーションによる新製品が加わる時代を迎え、日本が再び欧米先進諸国をリードする時代に入ってきたという声も聞かれます(分かりやすい例では、ブラウン管テレビは平面型にしても大型にしても、ブラウン管方式である限り、その進歩はプロセス・イノベーションの範疇であり、それとはまったく原理の異なる液晶やプラズマ方式のテレビの開発はプロダクト・イノベーションということができます)。
 こうした新しい産業社会の動向を見据え、この第十一次秋田市総合計画には、本市の実現すべき都市像の一つとして、産業経済分野の強化を位置づけました。地方分権が進み、秋田市が自立していくためには市民の所得を生み出し、本市財政の根幹となる産業経済の活性化が不可欠であり、さまざまな施策を積極的に進めていきたいと考えています。

 また二つ目のポイントは、家族や地域の絆というものを拠り所にして、喜びややすらぎ、安全・安心のある生活基盤をつくりたいということです。
 人は、家族や地域の絆の中で育まれ、恩師や先輩、仲間たちとの出会いを通じて成長します。そこの部分の人と人とのつながりを、今一度少し掘り下げ、温かく血の通ったものにすることができれば、大人にとっても子どもにとっても、もう少し生きやすい世の中になるのではないかと思います。
 いじめや親と子との問題、家庭の崩壊などが大きな社会問題となっており、痛ましい事件が絶えません。手をこまねいてはいられない状況です。行政が家族や心の問題の中にまで触れることはなかなか難しいのですが、避けては通れない問題であり、精神的側面からの「しあわせ実感」も市政の主眼にしていかなければならないと考えています。
 これは福祉行政であったり、地域づくりの行政であったり、教育行政であったり、いろいろな分野に関連してくるわけですが、そこを家庭の絆・地域の絆というキーワードのもとに、全体を結びつけて考えていきたいと思っています。
 幸い、秋田市においてはまだ大きないじめの問題などは起きていません。しかし、この先も秋田市が大丈夫だとは言えず、あらゆる角度からアプローチしていきたいと思います。人間の絆を拠り所に問題を考えていくことは、今までの市政ではなかった捉え方ではなかろうかと思います。

人と人との絆を大切にしていきたい

昨年の秋に雄和で行われた
陸上競技のリハーサル大会
昨年の「兵庫のじぎく国体」開会式。秋田でも感動の開会式となることでしょう!
(秋田魁新報社提供)

西部市民サービスセンター☆今年いよいよ着工

 さて、これまでも折りにふれ話してまいりました市民協働と都市内地域分権。その実現のための拠点施設となる「(仮称)西部地域市民サービスセンター」は、今年、いよいよ着工の予定です。
 必要な機能などについては、地元西部地域でワークショップや地区説明会などを何回も開催し、話し合いを重ねてまいりました。その結果、昨年は建設基本計画がまとまり、現在は、平成二十一年春のオープンをめざし実施設計を進めているところです。
 基本機能となる新屋支所、西部公民館、コミュニティセンターの機能に加え、新たに地域防災や子育て支援、地域活動支援のための機能を兼ね備えます。
 また、建物に関しては、地球環境に配慮し一部に風力エネルギーを利用するなどのエコの観点、さらには、建設費、維持管理費の双方を見据えたトータルコストの削減について、特に留意してまいりました。
 西部市民サービスセンターは、今後市内七地域に整備する市民サービスセンターの第一号であり、今後のモデルでもあります。新屋・勝平・浜田・豊岩・下浜地区を擁する西部という地域特性を十分に生かしつつ、何よりも使い勝手がよく、末永く市民のみなさまに愛されるセンターをめざします。

46年ぶりに戻ってくる秋田わか杉国体 

 終戦の翌年、昭和二十一年に、国民の希望と勇気に明かりを灯そうと始まった「国民体育大会」。その第六十二回大会がいよいよ今年、秋田県で開催されます。
 秋田で開催されるのは昭和三十六年の第十六回大会以来、実に四十六年ぶりです。当時、私は中学生で、八橋陸上競技場で見た開会式の感動は、今でも忘れられません。ボストンマラソン優勝の山田敬蔵選手(大館市出身)が炬火を手に競技場に現れ、スタンドの大観衆が見守る中、秋晴れの空の炬火台に点灯。本紙六ページでご覧いただけるような喜びに満ちた開会式となりました。
 秋田県選手団は、各種目にわたって大活躍し、天皇杯(男女総合)が東京に次いで第二位、皇后杯(女子総合)が東京、愛知、大阪の大都市に次いで第四位という大健闘でした。秋田市出身の遠藤幸雄選手、小野清子選手らを擁した体操一般男女、ラグビーの秋田工業高校などが優勝しています。 
 当時の資料を見ると、秋田市へ宿泊した選手、役員は約六千人ほどでしたが、市内の旅館の収容能力は二千三百人分しかなく、足りない分は一般家庭への民泊や寮、お寺などにお願いしました。民泊には市内で五百十九軒の家庭が協力し、約千七百人の選手、役員を受け入れたそうです。そこでの温かいもてなしが大評判となり、これが「秋田まごころ国体」と賞され、半世紀たった今も語り継がれています。

全国から1万2千人!この機会をチャンスに

 あれから四十六年。この秋に全国各地から秋田県に訪れる選手、役員、報道関係者らは総勢約五万人にのぼります。そのうち約一万二千人が秋田市に集まります。
 平成十三年八月に開催された「第六回ワールドゲームズ秋田大会」でさえ、世界から秋田県に訪れた選手、役員は約三千二百人ほどでした。今回は秋田市分だけで一万二千人ですから、その規模の大きさがわかると思います。
 とにかく日本全国からこの秋田市に一万二千人もの人たちが集まる機会は、一生の間にそうあるものではありません。秋田を初めて訪れるというかたも何万、何千人といることでしょう。
 一日約六千人が市内に宿泊しますから、大会期間の前後も含め約二週間の延べ人数にすると八万人にもなります。経済効果もかなりのものがあるでしょう。
 国体はスポーツの祭典ですから、それに向けて厳しい練習に取り組んでいる選手たちには、秋田の誇りを胸に、精いっぱい頑張ってほしい。と同時に国体は、全国各地の人々の交流とふれあいの祭典でもあります。この機会を逃す手はありません。秋田の観光や物産、さまざまな資源を全国に発信できるまたとないチャンスです。
 今回の広報でご紹介しているように、ボランティアのかたがたをはじめ、多くの市民、県民、企業、各種団体のかたがたの協力のネットワークも広がっています。秋田の「まごころ」が再び全国の人たちの心に通じるよう、どうか温かいご協力をお願いします。


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