2007年3月16日号

長い間ありがとう


太平小学校木曽石分校 三月閉校
山の校舎で過ごした日々


 四月から、太平小学校と統合されることになった木曽石分校。
 山あいの小さな分校でしたが、そこで育まれた愛情の絆は、強く、そして、あたたかいものでした。


山と川に囲まれて

 木曽石分校の歴史が始まったのは、昭和二十三年七月。緑に囲まれた太平山のふもと、木曽石地区に小さな木造校舎が建てられました。本校である太平小学校までは約五?。子どもの足で約一時間三十分の距離です。当時、太平小学校の児童数は五百人ほど。そのうち木曽石分校には十九人の児童が通いました。
 分校の周辺は、まさに自然一色。校舎のすぐ下を八田川の清らかな水が流れ、晴れた日には、太平山の頂も手が届くかと思うくらい近くに見えます。時にはカモシカ、タヌキがひょっこり顔を出すことも。自然の豊かさは、市内のどこの学校にも負けません。
 分校の児童数は、団塊の世代が小学生だった昭和三十二年には四十二人にまで増えましたが、その後はだんだんと減り続けました。昭和五十年ころからは、十人を割る状態が続くようになり、とうとうこの春の統合が決まりました。
 現在は一年生一人、二年生四人、四年生三人の、合わせて八人の子どもたちが通っています。校舎には、一・二年生用の教室が一つと、四年生用の教室が一つ。給食は八人いっしょに仲良く食べます。休み時間は体育館に集まって、みんなで一輪車。まだうまく乗ることができない一年生に、二年生、四年生がやさしく教えます。思いやりの心で結ばれた八人の絆。小さな分校だからこそ、こんなに強いものになったのかもしれませんね。 

最後の分校

 秋田市の小学校には、いくつかの分校がありました。八田分校(下浜小)、中ノ沢分校(大正寺小)、平尾鳥分校(種平小)、左手子分校(種平小)、そして木曽石分校(太平小)…。木曽石分校以外はすでに閉校していますから、木曽石分校が秋田市最後の分校です。五十九年の歴史とともに、今、その役目を終えようとしています。
 閉校式は三月二十五日。子どもたちは春から、スクールバスで本校に通います。
 分校さん、さようなら。たくさんの思い出をありがとう。

閉校によせて

太平小学校木曽石分校四年
佐藤優紀さん
 分校では、たくさんの思い出ができました。川探検が一番楽しかったな。なくなってしまうのはとても悲しいけど、分校のことは、いつまでも忘れません。

太平小学校木曽石分校一年
高橋響子さん
 秋のお店ごっこが楽しかったな。山で拾ってきた松ぼっくりやどんぐりを使ってリースを作ったり…。分校、ありがとう。太平小学校では、友だちをたくさんつくりたいです。

ありがとう、さようなら
金足東幼児園

四十三年間、地域の子どもたちの保育を担ってきた金足東幼児園。
園児数の減少などにより、今春、その長い歴史の幕を閉じます。

地域の熱い思いで開設

 金足東幼児園が開設されたのは昭和三十九年。それまで金足東地区には保育所や幼稚園はなく、地域のみなさんは、幼児教育と保育の場の必要性を強く感じていました。その熱意が実を結び、金足東小学校の空き教室を利用し、三十四人の園児で幼児園の歴史が始まりました。
 当初は、地元の運営委員会が運営する簡易保育所でしたが、昭和四十九年には、公設の「秋田市へき地保育所」(運営は運営委員会に委託)となりました。「へき地保育所」は、山間地などの、諸条件に恵まれない地域の子どもたちの保育を行う施設です。現在、市内のへき地保育所(幼児園)は、太平、山谷、金足西、金足東、上新城の五つ。へき地保育所には、国から交付金が支給されていますが、支給対象となる園児数がおおむね十人。平成十五年には、下浜八田幼児園が園児数の減少などにより閉園しています。なお、上北手地区にも幼児園がありましたが、昨年四月、住宅地の開発などで園児数が増えたことにより、認可保育所になっています。

園目標は「じょうぶで元気な子」

 現在の園舎は、小学校の改築に合わせ、昭和五十九年に建てられたもの。園舎建設にあたっては、地域のかたがたの多大な支援もありました。日当たりの良い、明るい園舎からは、園児たちの楽しく遊ぶ声がいつも響いてきました。
 幼児園のまわりには、自然もたくさん。裏山を探検したり、花を摘んだり、幼児園での毎日は、元気いっぱいの日々でした。
 園児たちが元気な理由はもうひとつ。長い間続けてきた、金足東小学校との交流です。二月二十六日に行われた最後の交流会では、紙芝居やゲームで楽しい時間を過ごしました。小さな子どもに対する児童たちの思いやりが、園児たちをいっそう元気にしてくれました。

 五人の園児たちは、春から小学校、幼稚園に通います。幼児園で過ごした毎日、遠足、運動会、地域の人々との交流…。園児たちの小さな胸に刻まれたたくさんの思い出の灯は、ずっと消えないまま灯り続けることでしょう。

幼児園ありがとう!

金足東幼児園園長
櫻田侑宏さん
 家庭的な雰囲気、密度の濃いふれあいは、恵まれた自然環境とともに、園児たちの心をやさしく、たくましく育ててくれました。閉園はとても残念です。これまで、幼児園をあたたかく見守ってくれた地域のかたがたに感謝しています。

応援してるよ!
主任保育士/比企優子さん(右)
保育士/佐藤友美さん
 幼児園の子どもたちは、みんな個性豊かで、いつも元気いっぱいでした。これからも、いろんなところで自分を発揮してくれることでしょう。幼児園がこの場所にあったことを、いつまでも覚えていてほしいと思います。子どもたち、がんばってね! 先生たちも応援しています。

いっぱい、いっぱいあそんだね。ありがとう!
(みうら のいちゃん)

ようじえん、さようなら〜
(みうら あゆむくん)

いっぱいあそんでたのしかった
(みうら さやちゃん)

ようじえん、たのしかったよ
(すずき ゆうやくん)

ありがとう!ちょっとさみしいな
(いとう のんちゃん)


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