2007年8月3日号

市長ほっとコラム

秋田市ホームページで市長の動向や記者会見の内容などをお伝えしています。
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プロ不在の危うさ

 最近、悪質な犯罪とは異なるものの、さまざまな重大な問題や痛ましい犠牲者が出る大事故が頻発しています。
 それらの出来事をある角度から見ると、共通したひとつの側面があるように感じられます。
 それは、プロの不在、あるいは関わった人のプロ意識の希薄さです。
 東京の温泉のメタンガス爆発を例にとれば、ほんの初歩的な科学知識があれば危険性があることはすぐ分かり、多重安全システムは不可欠との結論に達したはずです。責任分担が明確でなかったという次元以前の問題として、施工・管理に携わった人に問題意識が生じなかったとすると、素人の仕事ということになります。

7月8日の秋田市消防団消防操法大会で
 もし、分かっていて経費節減のために手を抜いたというのであれば、経営者とともに、関係者はプロの風上にも置けないということになります。
 新興の急成長企業の福祉産業部門の不祥事も、プロ不在そのものです。
 従業員は介護のプロですが、経営陣には金もうけのプロはいても福祉のプロはいないようでした。福祉のプロであれば、当然に民間事業者としての健全経営を追求しつつも、福祉という公共的側面を担う立場としての一定の問題意識が働くものではなかったかと思います。
 年金記録の問題も年金を扱うプロとしての意識の欠如から生じたものといっても過言ではないでしょう。
 公務員の仕事にもミスはあるものの、あまりの「わっぱか仕事」、上から下まで、よくぞ給料をもらっていたものと言わざるをえません。
 我が秋田市役所においても、いささかプロらしからぬことが間々散見されますので、他山の石として職員のプロ意識の徹底に努めます。
 さて世の流れは、現場無視の改革病が蔓延し、規制緩和による過度な自由競争、不安定な雇用制度への移行や経費削減のための熟達者の軽視などにより、責任を担える知識・経験を積み重ねたプロの存在という面が危惧される状況になってきました。
 プロという言葉は、芸能やスポーツの世界だけのものではありません。
 社会は多くの分野のプロの存在で成り立っています。職人さんであれ、学者や公務員であれ、それぞれの知識・経験、技術・技能により、仕事への誇りと責任を持って社会の一員としての役割を担うからこそ、社会が前に進むのではないでしょうか。
 多くの国々がプロの育成を国家目標としているとき、何故こうなったのか責任の所在はどこにあるにせよ、日本がプロ不在の国になりつつあることに危うさを感じるこの頃です。

何事にも、プロの目、プロの技術が大切です。
(川尻町大川反の(株)船木鉄工所)




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