2008年11月7日号

市長ほっとコラム

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日本人ノーベル賞四人の快挙に思う

 今年のノーベル賞は、日本人としては物理学賞の南部陽一郎、小林誠、益川敏英先生の三人、化学賞の下村脩先生の計四人で過去最高となりました。四人の先生方には心からお祝いを申し上げます。
 また、日本人の受賞は二〇〇二年の小柴昌俊博士と田中耕一さんから六年ぶりで、日本人初の一九四九年の湯川秀樹博士から数え、今回まで十六人となります。田中耕一さんは私と大学が同窓で同じ工学部の出身でしたので、自分の成績は棚に上げ、あちこちで「俺の後輩が受賞した」と自慢げに話したことを思い起こします。
 今回もそうですが、自然科学系の受賞者に共通するのは、人柄がにじみ出るような飾らぬ謙虚さです。

市民ミーティングで(10月20日)
 当然にノーベル賞のレベルは、我々凡人には持ち得ない生まれながらの並はずれた才能が必須条件でしょうが、それ以上に努力を重ねなければ到達し得ない領域でしょう。また、決して賞を得たい、富を手にしたいというような俗な思いで研究を続けて手に入るものではないようです。
 まさに利益というものとは別の次元のもので、飽くなき探求心、突き詰めるまでやり抜く、という純粋な思いをエネルギーに研究活動を続けた結果のように感じられます。
 しかし、日本人が一挙に四人も受賞したといって喜んでばかりはいられないようです。
 これまで日本は、教育水準の高さをバックとした高度な科学技術で世界をリードしてきましたが、近年いささか心許なくなってきています。
 ひとつに「理科離れ」という、一夜漬けが効かないコツコツと積み重ねなければ身に付かない数学、理科系が嫌われる風潮があげられます。
 また、学界も産業界も基礎学問は金にならない、まずは目先の利益ということで、実践技術ばかりに目が向く世の中になっています。
 さらには、自由な研究環境に乏しく、実利とは距離を置く真の研究者を重んじない最近の風潮は、優秀な人材の国外流出を促しています。
 今、米国発の未曽有の金融危機がまたたく間に地球を覆い尽くし、世界はもとより日本経済の先行きも極めて不安になっています。
 まさに、コツコツと努力することの対極にある、一攫千金の金融システムにどっぷりと浸かった「欲望の不幸な結末」が現在の状況です。
 世界的経済危機の最中で、まさに無欲の天才ともいうべき先生方の快挙に、これからの望ましい世界への一筋の光明を見出すことができるような今回のノーベル賞でした。

実験って楽しいよ!(子ども実験教室)


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