※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2011年7月15日号

健康万歩計


このコーナーでは、みんなが健康で元気に過ごすために必要な、ドクターからのちょっとしたアドバイスを紹介します。
●今回のドクター
 中川 正康先生(市立秋田総合病院内科診療部長)

心臓病のCT(※)診断

※CT=コンピュータ断層撮影

動脈硬化がCTで見える!

 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は、心臓の筋肉へ血液を送る冠動脈という血管が、動脈硬化によって狭くなったり閉塞(へいそく)するために起こります。心筋梗塞は突然発症し、死に至ることも少なくないとても怖い病気です。
 これまで冠動脈の動脈硬化を調べるには、太ももや手首の動脈からカテーテル(細い管)を挿入し、造影剤という薬剤を注入して血管を撮像する「心臓カテーテル検査」を行わなければいけませんでした。しかしCTの性能が向上したことにより、カテーテルを用いずに、造影剤を静脈から点滴するだけで冠動脈の撮像が可能となり、血管の狭窄(きょうさく)や閉塞が診断できるようになりました。検査に必要な時間は30分程度で、検査前後に特別な処置や経過観察を必要としないため、外来での検査が可能ですし、カテーテル検査と比べて患者さんの身体的負担や合併症の発生も少なく安全です。

CTで早期発見が可能に

 これまでの検査では、ある程度進行してからでないと動脈硬化を検出できませんでした。その一方で、急性心筋梗塞は症状を伴わない軽度の動脈硬化から発症することも多く、発症する前にその危険性を予知することは困難でした。しかし冠動脈CTでは、あまり狭窄のない段階でも粥種(じゅくしゅ)やプラークと呼ばれる動脈硬化病変の検出が可能です。この段階で糖尿病や高血圧、脂質異常症、喫煙、肥満などの危険因子のコントロールや改善を厳重に行えば、心筋梗塞を予防することが可能と考えられています。ただし、冠動脈CTは妊婦さんなどのX線被ばくが好ましくないかたや、腎臓が悪いかた、不整脈があるかたなどは施行できないこともあります。まずは担当医師にご相談ください。


CTの画像。白矢印部に狭窄、黒矢印部にプラーク。


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