※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2011年11月4日号

健康万歩計


このコーナーでは、みんなが健康で元気に過ごすために必要な、ドクターからのちょっとしたアドバイスを紹介します。
●今回のドクター
 松尾 重樹先生
 市立秋田総合病院副院長(泌尿器科)

PSA検査で前立腺がんの早期発見を

PSA(Prostate Specific Antigen)…前立腺特異抗原。前立腺でつくられるタンパク質。

前立腺がんは年々増えています

 「十年一昔」と言いますが、今や日本では食事をはじめ生活環境スタイルが欧米化し、その結果、罹患(りかん)する疾病も欧米に似通ってきました。特にがん疾病では「肺がん」「大腸がん」とともに「前立腺がん」が急増しています。数年前には天皇陛下が前立腺がんで手術を受けられ、日本のマスコミが大いに注目しました。そして最近では、お笑いタレントの間寛平さんがランニングとヨットで地球を1周する「アースマラソン」という偉業を見事に達成されたものの、前立腺がんにかかり、悩んでいたことを公表しています。

50歳からPSA検査を

 前立腺がんは早期であれば96パーセント〜99パーセントの割合で完治できるといわれています。また、早期がんは血液のPSA検査でその存在を推測することができます。前立腺がんは40歳〜50歳代からも出現することが報告されていて、頻尿や排尿遅延などの排尿症状がなくても、検診の一環としてPSA検査を受けることが重要です。一般的にPSA値が50歳からは3ng/ml以上、70歳からは4ng/ml以上10ng/ml未満の人に早期がんの可能性が高いといわれていて、実際、10人中2人〜3人の割合でがんが見つかっています。

生活スタイルに合った治療が可能

 前立腺がんの治療は他のがんと同様に「手術療法」「放射線療法」「薬物(ホルモン、抗がん剤)療法」など、多くの選択肢があります。特に早期がんでは年齢や生活環境に応じた治療が可能で、各治療法による治療成績に関してもほとんど差はありません。ちなみに間寛平さんは「ホルモン療法」、そして米国で特殊な「放射線療法(小線源療法)」を行って前立腺がんを克服し、アースマラソンを貫徹されました。
 現在、秋田においても最新の小線源療法を含め、あらゆる治療に対処できる環境下にあります。高齢社会に突き進んでいる社会構造からも前立腺がんはますます増加するものと思われ、依然、がん死亡率の高い秋田において50歳から検診の1項目としてPSA検査を取り入れることは、がん撲滅の大きな糧になるものと思われます。「まだまだ若いから」と思わず、家族のためにもPSA検査を取り入れてはいかがでしょうか。


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