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2012年3月2日号

市長コラム

秋田市ホームページで市長の動向や記者会見の
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「市長ほっとコーナー」
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しあわせって

市長穂積 志

 2月9日、園芸振興の推進に関する協定を、新あきた農業協同組合、秋印秋田中央青果(株)、丸果秋田県青果(株)、秋田生花(株)と結びました。互いに連携・協力して野菜・花き農家を支援していきます。
 幸福の黄色いハンカチ、幸せのちから、幸せのカタチ…。思い付いた「しあわせ」で始まる映画のタイトルです。そういえば、今頃アメリカはアカデミー賞の季節ですが、何年か前の受賞作に「しあわせの隠れ場所」というのもありました。すぐそばに幸せがあっても気づかないこともあるのでしょうか。それとも幸せは自分で見つけるものなのでしょうか。
 それはさておき、これだけタイトルに使われるということは私たちにとって「幸せ」ということがいかに大切か、ということを示しているように思います。
 昨年の暮れにかけて、幸せを考える上で興味深い3つの出来事がありました。一つ目は、内閣府が経済的な指標とは違った幸福度の指標の試案をまとめたことです。経済社会状況、心身の健康、家族や社会との関係性の3つを柱に132の指標を示しました。二つ目は、法政大学大学院の坂本光司教授が発表した47都道府県幸福度ランキング。「生活・家族」「労働・企業」「安全・安心」「医療・健康」の4部門において40の指標を設定しています。双方とも幸福度を数値化したもので、家族や健康、自由時間などにも配慮され、それなりに参考となる指標であることは間違いありません。しかし、人それぞれが多様な価値観を持ち、幸せの物差しが違うことを考えれば、その数値に一喜一憂することもないようにも思います。
 それよりも私が興味深く感じたのは、国民総幸福量(経済的・物質的な豊かさよりも心理的な幸福や環境、時間の使い方などを重視する考え方)を取り入れているブータン王国のジグミ・ケサル・ナムギャル・ワンチュク国王夫妻が来日した際の立ち居振る舞いです。テレビのニュースで見たのですが、凛とした中にも常にほほ笑みをたたえた柔和な表情、話しかけるときの慈しみに満ちたまなざし、それでいてなぜか懐かしいようなほのぼのとした空気。ブータンからきた国王夫妻の身のこなしは「人間にとっての真の豊かさや幸せ」を、どの数字よりも雄弁に物語っていたように思います。
 昨年3月11日の東日本大震災。地震と津波と原発事故は家庭や学校、そして職場で、それぞれの幸せを一瞬のうちに奪い去っていきました。あの日からまもなく1年です。少しは幸せが戻ってきた人、一方でまだまだ幸せにほど遠い人もいるでしょう。1日も早く「しあわせの隠れ場所」を見つけてくれることを祈るばかりです。

子どもたちの笑顔の奥にもきっと幸せが…。


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