※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2012年6月1日号

国の重要文化財

赤れんが館 築100年
〜明治の香りを今に伝える〜


 大町の一角にたたずむ赤れんが館は、明治45年に旧秋田銀行本店本館として建てられてから今年で100年。当時の香りを今に伝える歴史的建造物として親しまれています。


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【写真】
(1)建物全景 (2)石こうのレリーフ(浮き彫り)
(3)旧営業室 (4)窓の装飾 (5)旧貴賓室
(6)屋根のドームと避雷針
(7)象嵌(ぞうがん)装飾の扉
(8)設計者の名前を記した棟札
(9)大理石のカウンター
(10)完成記念絵葉書(明治45年)

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時代の転換期に完成

赤れんが館は、旧秋田銀行本店本館として明治45年7月7日に完成しました。鉄筋コンクリート造りの時代となる直前の明治末期に建てられ、本格的なレンガ造りの建物として全国的に高く評価されています。
 工期は3年、建築費は当時のお金で約5万円を要し、現在のお金に換算すると約50億円にもなる一大事業でした。地盤が軟弱だったため、工期と経費の半分が基礎工事(おもに耐震)に注ぎ込まれたとも言われています。

明治の遺産を後世に

 本店としての営業は昭和16年までで、その後支店に移行。戦後まもなく連合軍に接収され、秋田軍政部が設置された期間もありましたが、昭和44年3月まで引き続き営業店舗として利用されました。
 昭和56年、秋田銀行創業100周年と秋田市制施行90周年を記念して、建物は秋田銀行から秋田市に寄贈されました。市では明治を代表する貴重なレンガ造りの洋風建築を後世に伝えるため修復工事を行い、昭和60年から「秋田市立赤れんが郷土館」として一般公開を開始。平成6年には、特徴ある外観と内部装飾の意匠的価値が認められ、国の重要文化財に指定されました。

象徴的な赤と白の外観

 建物の構造を紹介しましょう。
 外観(表紙の写真参照)は、ルネサンス様式を基調として、1階が白い磁器タイル、2階が赤い化粧レンガという華麗なコントラストが特徴です。屋根には宮城県産の玄昌石、土台や帯石などには男鹿石を使用しています。ちなみに化粧レンガは大阪から取り寄せたと記録されています。
 全国から集められた良質の材料を使い、丹念に造り上げたからこそ、一世紀にわたり変わらぬたたずまいを維持できたのかもしれません。
 また、大町地区は、藩政時代から商業の町としてにぎわっていましたが、そんな町並みの中にあっても赤れんがのモダンな外観がひときわ目を引いたことは容易に想像できます。

豪華な装飾が圧巻

 内装は、バロック様式を取り入れた豪華な装飾が施されています。正面入口を入ると、そこは吹き抜けが開放的な旧営業室。漆喰の白い天井から壁のいたるところに美しい彫刻が施され、洋風建築の醍醐味を間近で感じることができます。
 また、カウンターや腰壁、館内にある3基の暖炉、2階へ続く階段(表紙写真参照)には、国産の大理石がふんだんに使われています。2階の旧貴賓室は、格天井や寄せ木張りの床、けやきの扉には象嵌(工芸技法の一種)が用いられるなど、館内で最も贅沢な装飾が施され、見ているだけで厳かな気持ちになります。

2人の設計士と匠の技

 ところで、外と内で建築様式が違う珍しい建物ということにお気づきでしょうか。実は赤れんが館には2人の設計者が携わっています。
 外観の設計者は、秋田県技師を務めた山口直昭。山口は、秋田県公会堂(明治37年完成)や東宮御所(赤坂離宮)の建築にも参加した人物。内部の設計者は、東京星野工業所の星野男三郎。星野は、日光廟の塗装修理工事にも参加した人物です。
 この2人の設計と地元秋田の職人たちの技により、明治の香りを今に伝える貴重な建物が完成したのです。
 100年目の赤れんが館。その歳月に比例して、ここでは紹介しきれない魅力がまだまだあります。あとは実際に足を運んで、当時に思いを馳せながら時代の息吹を感じとってみてはいかがですか。

※赤れんが郷土館は、重要文化財である「赤れんが館」と、勝平得之記念館、企画展示室、収蔵庫などの総称です。

記念イベント目白押し!

 赤れんが館築100年を記念したさまざまなイベントが開催されます。この機会にぜひ赤れんが郷土館へお越しください。
●問い合わせ
 赤れんが郷土館 tel(864)6851

明治建築100年講演会

 洋風建築の赤れんが館について、さまざまな角度から学ぶリレー方式の講演会を旧営業室を会場に開催します。詳細は広報あきたで随時お知らせします。
●日時
 6月23日(土)、7月14日(土)、9月1日(土)・29日(土)、11月23日(金)
いずれも午後1時30分〜3時

キャンドルナイトと雅楽の調べ

 赤れんが館が完成した7月7日に、ライトアップに代えてロウソクの灯りで演出するキャンドルナイトと、雅楽によるミニ演奏会を行います。会場は同館駐車場。観覧無料。
●日時/7月7日(土)午後7時〜
※事前の準備や運営に携わるボランティアスタッフを募集します。ロウソク容器の作成、ロウソクの点火作業、会場整理など。申し込みは赤れんが郷土館へどうぞ。

展覧会「洋風建築INあきた」

※観覧料200円(中学生以下無料)

●第1部 県内の洋風建築
 明治から昭和初期にかけて建てられた洋風建築の写真パネルを展示し、歴史的建造物の魅力を紹介します。
日時/開催中(6月24日(日)まで)、午前9時30分〜午後4時30分

●第2部 赤れんが館とその時代
 銀行当時の赤れんが館の資料などを紹介し、赤れんが館の歴史を振り返ります。
日時/6月30日(土)〜9月2日(日)、午前9時30分〜午後4時30分

洋風建築で秋田の竿燈

 8月3日(金)〜6日(月)の竿燈まつり期間中に赤れんが郷土館駐車場で、国際教養大竿燈会のみなさんによる竿燈実演をご覧いただけます。実演は日中の予定。詳しくは同館へお問い合わせください。

赤れんが郷土館
 住所/大町三丁目3−21
 観覧時間/9:30〜16:30
 観覧料/200円 ※中学生以下無料


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