※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2012年10月19日号

障がい者を支える人たち

“その人らしさ”をお手伝い



 かつて「障がい者は福祉施設にいるもの」という考えが一般的だった時代がありました。今は地域社会の一員として自立した生活をしているかたが大勢います。しかし、日々の暮らしの中、障がいがあるために周囲の支えが必要なときも…。そんなとき、彼らが「自分らしく一歩前へ進む」ことができるようサポートしている人たちがいます。差し伸べる手、寄り添う気持ち、形はさまざま。そんなみなさんのメッセージをお届けします。

障がい児のヘアカットボランティア

おしゃれを楽しんでほしいから

NPO法人福祉理容美容協会ほわいと代表理事
岩見谷真広さん

男の子は坊主頭、女の子はおかっぱで統一されていたのがショックでした」と話す岩見谷さん。自身が店長を務める理髪店で、特別支援学校に通う子どもを無償で散髪する“スマイルワンコインヘアカット”を行っています。
 岩見谷さんが障がい児支援に取り組もうと思ったのは、お店に来ていた子どもが病気により障がいが生じたことから。その後、活動の必要性を確かめるために特別支援学校を訪れたときの印象が冒頭の言葉です。「障がいが負い目になって髪形を注文できないかたが多いのでは…。でも、それをおしゃれをあきらめる理由にしてほしくない」と活動への思いを強くしました。
 賛同した知人たちとNPO法人を設立し、平成22年7月に活動を開始。子どもの障がいはそれぞれ違うので、声をかけ反応を見ながらヘアカットとシャンプー、顔そりを手際よく行います。
 「時には店内を遊び回る子どもを追いかけながらカットすることもあります。でも、仕上がりに本人も親も喜んでくれたときの達成感は普段の仕事では味わえないですね」と微笑みます。
 取材に訪れたこの日は15人の子どもたちが順番に来店。父親と来ていた藤田晶大くんは、おしゃれに仕上がった髪型に「お母さん、びっくりするかな」と、はにかみながら鏡越しに岩見谷さんと言葉を交わしていました。
 はさみが通るたびに増える笑顔。岩見谷さんが手にするはさみにはそんな“魔法の力”があるのかもしれません。

■岩見谷さんのお店■
 ヘアメークサロンAKAISHI
★実施日→奇数月第3日曜日
★住所→中通六丁目2-20
★問い合わせ→tel(834)4694

*散髪は無償ですが、スギッチファンド(県内の市民活動などを支援している基金)へ500円の寄付をお願いしています。
→岩見谷さんから…お子さんには回数を重ねてスタッフに慣れてもらうようにしています。現在、新たな予約がしづらい状況ですのでどうかご了承ください。

手話で知った新たな世界

お互いの理解の懸け橋に

手話通訳者
石塚澄絵さん

手話は、みなさんが普段話している日本語とは違う体系の言語です。視覚に障がいがあるかたが使う点字とは違い、手話は「日本語を手の動きに置き換えた記号」ではなく英語などの外国語に近いものです。
「聴覚に障がいがあるかたたち独特の文化、コミュニケーション方法に興味があった」という石塚さん。平成16年に手話の勉強を始め、現在は市の派遣事業に登録して手話通訳者となり、聴覚に障がいはないが手話を理解できない人と、聴覚に障がいがあるが手話を使える人とのコミュニケーションの橋渡しをしています。
 手話通訳者の仕事は病院で診察を受けるときの通訳が多く、命に関わるということと医療用語の難しさにプレッシャーを感じるそうです。逆に、所属している手話サークルでは「聴覚に障がいがあるかたの生活について私自身学ぶことが多く、ためになって面白い」と朗らかに笑います。
 石塚さんが普段感じるのは、聴覚に障がいがあるかたへの誤解。「聴覚の障がいは外見からは分かりにくいので、あいさつを無視したなどと思われることもあります。そんな悲しい誤解を減らすためにも、障がいを理解してくれる人がもっと増えたらなと思います」。

就職は自立のスタート

「働きたい」を「働いています」に

ウェルビューいずみ障害者就業・生活支援センター 主任就業支援員
牧野真悟さん

障害者就業・生活支援センターでは、障がい者の就職や生活、企業からの相談に応じ、採用から職場への定着までを支援しています。
 福祉施設で介護などの仕事をしていた牧野さんが職場の異動で就業支援員になったのは平成16年。障がい者向けにどんな仕事があるのかを知るため、まずは会社見学を重ね、仕事内容をリサーチしました。その際、障がい者への偏見がなくなるよう、障がい者の実情を話すことも忘れませんでした。
「最近は障がい者の就労について理解が広がっていて、就職数も増えています」と、牧野さん。「就職できたみなさんが、『親と旅行に行った』『給料でゲーム機を買った』と、うれしそうに教えてくれるんです。本当、ちょっとしたことなんですよ。でもその報告に感極まってしまいます…」。
 働くことに障がいの有無が関係ない社会になってほしいと願いながら、牧野さんは今日も障がい者の就労サポートのために地域へと出かけていきます。

まちなかで安らげるカフェ「仲こまち」

心も体も“ほっと”温かく

石垣亘子さん・渡部逸子さん

仲小路のビルの1階にある喫茶店「仲こまち」。おいしいコーヒーを飲みながらくつろげると評判のこの店は、障がいのあるかたが接客を通じて地域のかたとふれあう場として平成17年にスタートしました。
 お店のスタッフは異なる障がい者施設が交代で担当しています。週の前半、お店で働いているのは「工房こすもす」のみなさん。通所者が接客し、石垣さんや渡部さんなどの施設職員や、保護者、ボランティアのかたが厨房やレジを担当して彼らをサポートしています。
「お店では施設にいるときと違う表情を見せてくれるのがうれしいですね」と、石垣さん。食器洗いが得意という通所者の鈴木久さん(表紙の男性)は「洗い物がいっぱいあるとたいへんですが、お店での仕事は楽しいです」と照れながら話してくれました。
「まちなかにありますが、ゆっくり過ごせるスペースです。気軽に立ち寄ってください」と、渡部さん。これからの寒い季節、スタッフの笑顔とコーヒーの湯気がほんわか温かい仲こまちで、ほっと一息いかがですか。

喫茶店仲こまち
tel(833)1261
営業時間→平日の午前10時〜午後5時(11月から3月までは午後4時まで)
住所→中通二丁目2-1-51明徳館ビル1階

できないことは支え合う。ただそれだけのこと…

 取材させていただいたみなさんが口にしたのは「障がいは関係ない」という言葉。苦手なことに手を貸すのは当たり前のこと。障がい者と接することを戸惑ってしまうとき、足りないのは「理解」です。違いに目がいくのは共通点が多いことの裏返し。まずは共通点を意識することが理解の第一歩です。

計画期間は平成25年度〜29年度

第4次障がい者プランを策定します

 秋田市の障がい者施策の基本となる「障害者プラン」。現行のプランの計画期間が来年3月までであることから、新たに第4次秋田市障がい者プランの策定を進めています。その素案について、11月中旬以降に市民のみなさんのご意見を募集します。 詳しくは後日お知らせします。
●問い合わせ
 障がい福祉課tel(866)2093 ファクス(863)6362

障がい者就職面接会

日時/11月7日(水)15:00〜17:00
会場/ホテルメトロポリタン秋田3階
 身体・知的・精神に障がいがあるかたが対象です。50社の採用担当者が参加予定。写真付きの履歴書をお持ちください。
●申し込み
 ハローワーク秋田専門援助第一部門 tel(864)4111(案内番号43#)


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