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2013年11月1日号

市長コラム

秋田市ホームページで
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「市長ほっとコーナー」
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わがまちの世界遺産

市長穂積 志(もとむ)

SL秋田こまち号出発式で。右から4人目が市長
(10月12日、JR秋田駅)
 日頃、何げなく見過ごしている日常の風景でも、全国の人が見るとちょっと珍しい非日常の姿として映ることがあるようです。八橋地区や外旭川地区の一画に今も残る石油や天然ガスを汲み上げる「油井」もその一つではないでしょうか。昭和30年代には日本一の産油量を誇った「八橋油田」。昔に比べ生産量が激減したとは言え、今でも息長く産油を続けています。
 “ものなり(収穫)”の秋、ただでさえ豊かさを実感するこの季節。加えて今年は、「秋田デスティネーションキャンペーン」や「国民文化祭・あきた2014」のプレイベントなどもあり、次々に繰り出される成熟度を増した文化や、恵まれた自然資源に改めて感心するものがあります。
 食文化は言うまでもなく、地域固有の民俗芸能、海・山・川・湖の美しく雄大な自然景観、さらには芸術の新たな展開など、観光客に紹介したいものに事欠きません。古いものから新しいものまで全国に誇り得るものの多さに、ここ秋田に暮らす幸せを感じることができます。
と同時に、普段気付かずにいる足元の豊かさも考えずにはいられません。市内に少し足を運ぶだけで、歴史を感じる街の佇まいの中に身を置くこともできます。ありがたいものが身の回りにいくらでもある、こうした私たち一人ひとりの心の中にある風景もまた大切にしていきたいと思います。
さて、冒頭の油田風景。現在、北九州市の八幡製鉄所や釜石市に残る近代製鉄の洋式高炉跡などをユネスコの産業革命遺産に登録しようとする動きがあります。捉えようによっては、この油田風景もまた、秋田市の産業史を物語る「わがまちの世界遺産」とでも言えないでしょうか。
 それはさておき、このバッタのアタマのような形をした油井の姿。のんびりと馬が草を食んでいるようにも見えます。幼い頃は市内各所で見られたごく普通の景色でした。そのせいか、妙に懐かしさがこみ上げてきます。アタマを上下しながら滾滾と大地から石油を汲み上げる姿は、気ぜわしい世の中の動きを横目に、悠久のときの流れの中でいつまでも大地に語りかけているかのようです。
 季節的には、この時期ときおり訪れる小春日和の柔らかな日差しがよく似合っていると思います。そして遠景には、大地の恵みを収穫したあとの田園地帯が広がり、吹き渡る風がいっそう懐かしさを醸し出しています。

今も稼働するポンプ式油井(外旭川地区)


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