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2014年4月4日号

市長コラム

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親と子 -その1- 認知症を考える

市長穂積 志(もとむ)

4月から活動拠点を東京に移した、初代“住みます芸人”桂三若さんの落語会にゲスト出演しました(3月15日、文化会館で)
 4月は学校や企業、官庁にとって新たなスタートのとき。みなさんの中にはお子さんの入学式や始業式を終えて、ホッと一息つかれているかたも多いのではないでしょうか。いくつになっても親と子。親は親で、子は子で、いつも何かしらお互いが気がかりなものです。
 私の母は、大正12年生まれで現在90歳。軽度の認知症が認められます。妻は時々母の家に顔を出していますが、先日久々に、私も妻と一緒に母を訪ねました。その際、母の「ラーメンを食べたい」という希望で一緒に外に出かけたところ、とても美味(おい)しそうに食べてくれて、むしろ私たちの方がうれしくなりました。
 「親には1日三度笑って見せよ」とも、「孝行のしたい時分に親はなし」とも言います。私ももう少し足繁く母を訪ねて顔を見せたいと思っています。ただ、これには後日談があって、後で妻が母に会ったとき、母が「志(もとむ)は最近さっぱり来ねなあ、しばらく顔見でね」とぼやいていたそうです。
 私のことはさておき、ここで考えさせられたのは認知症のこと。本格的な高齢化社会を迎え、誰もが避けては通れない切実な問題です。会話の少ないことが認知症の進む原因の一つとも言われていますが、国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、人との会話が2週間に1度以下のかたが、65歳以上の一人暮らしの男性で16.7%、女性で3.9%もいるそうです。
 一人暮らしや核家族化が進む一方で家族がいても会話がないなど、生活形態は大きく変化しています。普段会話のない高齢者の中には、宅配便の配達を心待ちにする人もいる、といった悲しくなる話も聞こえてきます。高齢者に、もっと会話する機会を増やしてもらうために市としてできること。一つは交通手段を確保し、外出しやすい環境を整えることです。
 秋田市エイジフレンドリーシティ構想のもとで進めている高齢者コインバス事業もその一つです。事業がスタートして3年目になりますが、昨年10月から対象年齢を70歳から68歳に引き下げたこともあり、資格証明書交付数は3万6千人を超えました。
 また、バス事業者が昨年11月に行った調査によると、1日に4,400人以上のかたがバスを利用しており、前年比で16.6%も増加したそうです。
 季節は春本番。うららかな日差しを浴びながら、とにかくもっと外に出かけ、もっと多くの会話を楽しみたいものです。認知症の予防にもなるそうですよ。

※エイジフレンドリーシティ=高齢者にやさしい都市のこと。


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