※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2014年7月18日号

チャレンジ! 6次産業化

若き挑戦者たち



(株)上新城ノーザンビレッジの柳さん(右)と藤田さん

 地域の活性化や雇用創出などをめざす「6次産業化」。秋田市がこの事業に取り組み始めて3年を迎えました。今年度もさまざまな支援体制を充実させる一方で、地域では頼もしい“いぶき”も芽吹き始めています。そんな6次産業化の今をご紹介します。
●問い合わせ
 農林総務課6次産業担当tel(866)2115

6次産業化 秋田市の取り組み

 6次産業化とは、農畜産物や水産物などの生産(1次産業)と加工(2次産業)、販売(3次産業)を一体化し、農林水産業を中心に、地域で新たな付加価値を生み出そうとする試みのこと。
 市では、次の4本の柱を軸に、さらに6次産業化を進めます。今年度は、今まで研修に参加したかたなどが、実際に6次産業化に取り組むための支援に、より力を入れていきます。

(1)6次産業化を担う人づくり・気運醸成のため、研修やPR活動を実施
(2)有望な1次産品の発掘と商品創出のため、市内の農林水産資源を活用した商品開発や販路拡大を支援
(3)6次産業の芽を育てるため、モデル的事業を支援するほか、農家の加工への参入を促進
(4)本格的な事業化を促すため、農産加工施設の整備や技術・研究などを支援


「ハピネッツヴィレッジ構想」の取り組みで、4月、上新城小学校児童がブルーベリーを植え付けました。市では、このようなモデル的事業も支援しています

上新城地区で始動! “ハピネッツヴィレッジ構想”

 自然豊かな上新城地区。今ここで、6次産業化の新たな取り組みが始動しています。それが「ハピネッツヴィレッジ構想」。これは、旧上新城中学校周辺を拠点に、地元農業者やプロバスケットチーム・秋田ノーザンハピネッツが協力して、周囲が一体となって、農業を中心とした地域活性化を図ろうとする取り組みのことです。


5月、飯島南小学校児童がじゃがいもを植え付けました(写真右は上新城ノーザンビレッジの伊賀 翔さん)

「食」とスポーツの連携を図る


(株)上新城ノーザンビレッジ取締役の奥田さん

 この構想の“幹”になるのが、1月に設立された農業法人(株)上新城ノーザンビレッジ。同社取締役の奥田慎一郎さんは「ハピネッツと連携し、そのブランドを活かして、秋田の豊かな食をもっと県外のかたに知ってもらいたいです。同時に地元のかたとの交流、子どもの食育の場としての機能も果たしていければいいですね」と話します。
 構想が具体的に動き出したのはこの春。まずは旧上新城中のグラウンドで畑作りを開始し、ハピネッツカラーのピンク色のブルーベリーや、学校給食用のじゃがいもなどを周辺地域の小学生と一緒に植えました。今後、収穫した農産品の加工や農家レストランの運営、チーム選手と市民の交流などを行えるようになるのが当面の目標です。
 自身も農業に携わる奥田さんは「農業は難しい。1年目の今年は助走期間です。実際に野菜を作り出し、地に足をつけた農業をめざします。将来的に、ハピネッツのメンバーとブルーベリーを一緒に収穫するなど、ファンイベントに農業を組み込めたらおもしろいかな」と、そのアイデアの一端を教えてくれました。

“夢”を耕す若い力

 そして、“夢がつまった”畑を実際に管理しているのが、同社社員の柳 智仁さん、藤田裕貴雄さん、伊賀 翔さんの3人(いずれも20代!)。県外出身の柳さん(東京)と藤田さん(広島)が秋田にやって来たのは、「農業を仕事にしたい!」という強い思いからでした。
 入社後、早速グラウンドの開墾から始まった農作業。土を掘り返し、近くの川でタンクに水を汲んで持ってくるなど、慣れない寒さの中ではその作業もひと苦労。でも、地元のかたにこの地の土壌の質を教えてもらったり、トラックや重機を貸してもらったりと、みなさんの温かい協力を得ながら、日々前に進んでいるとのこと。
 「毎日が楽しい。成長する作物や自然の変化に、日々発見があります」と柳さん。藤田さんも「農業の良さを子どもたちに伝えたいです。じゃがいもを植えた飯島南小の子どもたちが、興味を持ったようで、学校でも苗を植えてくれた時はうれしかったな」と笑顔で話してくれました。
 でも、「まずは順調に収穫できるように畑作りを成功させることが大事。その上で6次産業化に取り組み、多くの人に商品を食べてもらいたいです。プレッシャーもあるけど楽しいから頑張れる。気を引き締めてがんばります!」と2人とも力強く答えてくれました。

地元・上新城も一丸で


構想を支える地元協議会の渡辺さん

地元として支援するハピネッツヴィレッジ構想協議会事務局次長を務め、昨年の構想の立ち上げから関わっている渡辺一幸さんは、「上新城は、地域のまとまりは良いけど、外との交流が今まで少ない地区だったと思います。この構想を通して、さまざまなかたと交流し、自然豊かな上新城を広く知ってもらいたいですね。今までにない、新たな展開がこの地区に起こればうれしいです」と期待を込めて話します。
 そして、今後は地元のみんなでこの取り組みに全面的に協力して盛り上げていきたいと、その次のステップを見据えている様子でした。    
     ◆
 さまざまな人たちが関わり、動き出したばかりの「ハピネッツヴィレッジ構想」。若者の夢、地域の夢が“たわわな実”に育つのが今から楽しみです。

未来の可能性が広がる6次産業化。
自由な発想と行動力でステップアップ!


■母の味、地元の味をみなさんの食卓に


有限会社 まこと農産(雄和)代表取締役 佐藤 樹さん

野菜作りから、いぶりがっこの加工、営業までを行っている、まこと農産の佐藤 樹さん。以前は野菜作りだけでしたが、市の補助金を受けて加工施設を整備したほか、真空包装機などの機械も導入して、昨年冬から本格的に“いぶりがっこ”作りを始めました。
 佐藤さんは「秋田駅などのお土産店や、東京の物産展などでも販売しています。このいぶりがっこはビールを使った液に漬けて作るので、独特の風味があります。実はこれ、私が親しんできた母の味、地元の味なんです。みなさんからはおいしいと好評です」と、うれしそうに話してくれました。 
 今回の整備で、「いぶりがっこ以外に、普段育てている野菜で何か新しい加工品ができないか考えるようになりました。6次産業から逆に、今度は1次産業(野菜の生産)のことが気になったりして、アイデアの幅が広がりました」と、新たな可能性に手応えを感じた様子。「今は別の野菜の加工品を試作中です。この設備を活かして色々と挑戦したいですね」と、熱い思いを語ってくれました。

整備した加工施設


★補助金をご活用ください

 農業者などが行う市内産の農林水産物などを活用する開発や、加工のための施設整備などに対して、市では補助金を交付します。詳しくは農林総務課へ。tel(866)2115
(1)市内産の農林水産物などを活用した商品の開発や改良など…補助額は、開発費などの2分の1以内、上限は50万円
(2)市内産の農林水産物などを加工するための施設および機械設備の整備など…補助額は、整備費などの2分の1以内、上限は200万円

 6次産業化について詳しく知りたいかたは、農林総務課6次産業担当へご連絡ください。
 各地区や団体単位で、無料の出前講座も行っています。6次産業化のメリット、成功事例、加工や販売のノウハウなどについて話します。詳しくはお問い合わせください。tel(866)2115

■食べてみて! 力を合わせた17歳の自信作


秋田工業高校3年生(畠山 優さん・佐藤優香さん・伊藤颯希さん)

平成24年度から行っている、秋田工業・秋田商業・金足農業高校の生徒が協力して市内産の農産物などを使った商品を開発する「17歳の6次産業化プロジェクト」。昨年5月から始まった、第2期メンバー(32人)のプロジェクトで完成したパスタやスイーツなどの商品(下の写真)が、いよいよ11月からコンビニエンスストアなどで販売されます。
 プロジェクトに参加した伊藤さん、佐藤さん、畠山さんは「とても楽しかったです。一からみんなで協力して作り上げた商品が販売されるのがうれしいです。多くの人に食べて欲しいな」とニッコリ。さらに、「秋田で6次産業化が盛んになって地産地消につながるといいですね。この17歳のプロジェクトが、広まるきっかけになったらもっとうれしい!」と話してくれました。
 今年も5月からプロジェクト第3期が始まり、商品作りが順調に進んでいます。先輩たちを越える商品ができるか、乞うご期待!

「私たちの直売所」が なかいちプラザに オープン!

 エリアなかいちの“なかいちプラザ”の総合食品売り場内に、秋田市産農産加工品などを販売する「私たちの直売所」がオープンしました。
 ここでは、6次産業化に取り組む「秋田市農産加工品等販売促進協議会」のみなさんが作った自慢の加工品を販売中です。営業は、午前10時〜午後7時30分(土・日、祝日は午前9時30分から)。6次産業化をPRしながら、おいしい秋田の味をお届けしています。みなさんぜひ味わってみてください。

●出店一覧/おもな商品
・秋田県産資源開発研究所/あきた蕗茶
・(株)秋田県食肉流通公社 秋田高原ハム/ウインナー、カレー
・秋田まるごと加工/ふぐジャーキー
・農事組合法人 河辺農産加工組合/味噌
・酵房 春夏秋冬/いぶり漬け、梅干し
・(有)華の豆会/豆腐、湯葉、厚揚げ
・農事組合法人 雄和トールケーゼ組合/チーズ、チーズのお菓子
・大地の恵み母の味 旬/寒麹
・(株)四季菜/プリン、シュークリーム
・宝川みさこ餅/あられ
・秋田十條化成(株)/秋田華まいたけ


生産者が分かるタペストリーが目印です

秋田市地域特産品アイデアコンテスト

 新たな秋田市の地域特産品となるアイデアを募集します。募集は一般と事業者の各部門(個人・団体問わず)で、一般部門のグランプリは賞金10万円! 細かな規定がありますので、詳しくはホームページをご覧ください。
農林総務課6次産業担当tel(866)2115
http://www.city.akita.akita.jp/city/ag/mn/

●募集内容
指定の食材を使ったお菓子、パン、保存食品(乾物・漬け物など)、総菜などの加工食品のアイデア。加工食品として店舗での販売が可能なもの
●指定の食材(次の食材を1つ以上使用)
 米(米粉、もち米含む)、リンゴ(ジュース含む)、枝豆、山菜、秋田蕗、まいたけ、豚肉、牛肉、鶏卵、寒麹、あめこうじ、味噌、豆腐、豆乳、いぶりがっこ、チーズ、その他応募者が特に秋田の特産品として推薦するもの
*応募の時点で産地は問いませんが、商品化の際は、秋田産の商品などを使用します。
●応募資格
 (1)一般部門…職業として加工食品の製造・販売をしておらず、応募作品を自ら製造・販売する意思がないかた
 (2)事業者部門…市内に事業所があり、すでに加工食品の製造・販売を職業とし、応募作品を自社商品として販売する意思があるかた(入賞作品は原則、自社で商品化)
●審査
 斬新さ、商品化の可能性、おいしさ、見た目のよさなどを基準に審査します。8月下旬に第1次の書類審査を実施し、最終審査は、9月上旬にアルヴェで調理(応募者本人か、主催者が用意した料理人)をしてもらいます
●入賞と特典
 一般・事業者部門ともに、グランプリ各1点、優秀賞各5点。特典として、一般部門は、グランプリが賞金10万円、優秀賞が秋田市地域特産品詰め合わせ。事業者部門は、市などが商品化と販売促進を支援します
●申し込み
 市ホームページからダウンロードするか、委託先のノリット・ジャポン(株)に連絡して所定の用紙を入手し、必要事項を記入してEメールか郵送、持参で、8月17日(日)まで、
〒010-0951 山王五丁目14-2 ノリット・ジャポン(株) 
tel(874)7547 FAX(874)7548 Eメール info@norit.jp


 6次産業化について詳しく知りたいかたは、農林総務課6次産業担当へご連絡ください。
 各地区や団体単位で、無料の出前講座も行っています。6次産業化のメリット、成功事例、加工や販売のノウハウなどについて話します。詳しくはお問い合わせください。tel(866)2115


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